Attack On Titan


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ラブソングをキミに


条件と期限 2


翌朝以降、


「おはようございます。」
「……あぁ。」


私がリヴァイさんの腕の中で目覚めることはなかった。
それがきっと、当たり前のことなんだ。
けど…。


「リヴァイさん、これ、」
「あ?…あぁ、お前の好きにしろ。」


私はきっと、呆れられたんだと思った。
私の行動で、リヴァイさんを怒らせたんだ。


「…お帰り、なさい…。」
「あぁ。」


リヴァイさんはまた、お酒と、そして女物の香水の臭いをさせて帰ってくるようになった。
何を、どう、思ったのか、自分でもはっきりとはわからない。
ただ、わかっているのは…。


「お帰りなさい。早かった、です、ね?」


その日、リヴァイさんは私が部屋に戻ってきた直後に戻ってきた。


「いや、すぐ出る。」


そう言いながらチェストの引き出しの中をゴソコソとしていた。
一拍後で、目当ての物が見つかったのか、引き出しを戻してリヴァイさんは私を見ることなく、無言でドアに向かった。


「どこに、」
「あ?」


いつもリヴァイさんは帰りが遅く、部屋に戻ってくるのは「出掛けた後」だった。
例え忘れ物を取りにきただけとは言え、こんな時間に部屋にいることはない。
…だから、部屋から無言で出ていこうとするリヴァイさんを、無意識で呼び止めてしまったのかもしれない。
私の言葉に、足を止めこちらを振り返ったリヴァイさんに言葉を続けた。


「どこに、行くんです、か?」


私の問いに、


「お前には関係ない。」


リヴァイさんはそれだけ言うと、私に再び背を向けた。
「私には関係ない」
確かにそうだろう。
私に問いつめる権利もなければ、リヴァイさんに答える義務もない。
…けど。


「い、嫌ですっ…!」


今、このまま見送ったら、またリヴァイさんは、誰か知らない女の人の香水の臭いをさせて、帰ってくるかもしれない…。


「何がだ?」


私の言葉に、リヴァイさんが再び足を止めた。


「っ、い、行かないでくださいっ…!」


どうして私はこんなことを言うのか、どうしてこんなこと、言ってしまっているのか…。
自分でも自分の抑えが利かなかった。


「…俺は、」
「リヴァイさんっ、『また』女の人のところに行くんじゃないんですかっ…?」
「……………」
「私が、こんなこと言うのはおかしいってわかってます!でもっ…、行ってほしく、ないんです!」


視界が滲む。
心が震える。
言ってしまったことはもう、取り消すことなんて出来ない。
リヴァイさんはきっとまた、


「…え、…っ!?」


そう思った瞬間、床に物が落ちる音が聞こえ直後、腕を引っ張られドサリ、と、ベッドの上に倒された。


「……………」
「……………」


ベッドの上に倒された私の上に、覆い被さる様にリヴァイさんがいた。
ほんの一瞬の出来事に、脳が全く、ついていかない。
頭の中を真っ白にさせた私に、リヴァイさんが顔を近づけてきた。


「っ、」


その行動にビクリ、と体が反応してしまい、思わずキツく目を閉じた。
…………それからしばらくしても、何も起こらない。
恐る恐る目を開けると、


「っ!」
「………………」


いつかも、そんな状況に陥ったように、あと2〜3センチ、と言うところに伏し目がちのリヴァイさんの顔があった。


「……………」
「……………」


なぜそうしたのか、本当に、わからない。
だけど…。


「……………」
「……………」


その至近距離にいるリヴァイさんに抵抗することなく、目を閉じた。
直後、


「……………」


本当に、ふわり、と、優しく柔らかく、クチビルに何かが触れた。


「……………」


本当に、ただ柔らかく、微かに触れるだけ。
長くて短い、その時間は、…まるで名残惜しむかのようにゆっくりと終わりを告げた。


「…今日はエルヴィンの書類整理の手伝いに行くだけだ。ただかなり量があるから帰りは遅くなる。先に寝てろ。」


クチビルに触れた感触と、体の上に感じていた重みが離れたことに、ゆっくりと目を開けると、リヴァイさんはもう、ドアの前に立っていた。


「いって、らっ、しゃい…。」
「…行ってくる。」


リヴァイさんはそれだけ言うと、バタン、とドアを閉めて足音をたてながら廊下の向こうに歩き去っていた。


「……………」


指先で、今「何か」を感じたクチビルに、微かに触れた。
「それ」がどういうことなのか、どういう意味を指すのか…。
私の思考は、あの瞬間で止まったようで、何も考えられなかった…。


「……………」


ただなんとなく。
今起こった出来事に顔をあげていられなく、小さく踞っていた。




「おや?この書類の確認に必要な資料を取りに行ったんじゃないのか?」
「(あのまま置いてきちまった…)あぁ、俺の勘違いだ。部屋には無かった。」
「そうか…。ミケあたりが持ってるか、な?」
「(許せ、エルヴィン)俺が聞いてくる。」
「あぁ。…すまないな、リヴァイ。お前に雑務を手伝わせて。」
「問題ない。」




「…あ、れ?これ…、リヴァイさん取りにきたヤツじゃ…?」


ドアの隅に落ちていた書類は、所謂調査報告書作成にあたる裏づけ資料で。
きっと必要なものだろうと、テーブルの上にあげ、その日は1人、眠りについた。

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bkm

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