Attack On Titan


≫Clap ≫Top

ラブソングをキミに


変化した日常の定着 3


リコちゃんと2人でお酒を飲んでいたこともあったし、リヴァイさんの…曰く「教訓」と言う行動に驚きすぎたのもあり、その日はほんとーに1人爆睡した。
だからリヴァイさんがあの後帰ってこなかったって気づいたのは、明け方目が覚めた時だった。


−テメェ、今ウォール・ローゼ内でどれだけ治安が悪化してるかわかってんだよな?−


ウォール・マリア奪還作戦で、ウォール・マリアに住んでいた者は駆り出され、捕食された。
でもそれは所謂大人に対してだけで、「政府の寛大な措置」と言う名の下「成人前の子供たち」は、奪還作戦に加えられなかった。
…結果、住む家も、仕事も、そして頼るべき大人も奪われた子供たちが、ウォール・ローゼの街並みを、荒らしていった。
そのため、シガンシナ陥落以前ののどかで穏やかな街並みはどこか、殺伐としたものとなっていた。
駐屯兵団からの報告によると、最近は特に1人で歩いている女性を狙った犯行が絶えないそうだ。
だから、リヴァイさんの言い分はわかる。
わかるんだけど…。


−なんだ?どうかしたか?−
−…いえ、なんでもありません…−


どこか、納得がいかなかった…。


「フィーナ!やっほー!元気かい?」
「ハンジさん!それにモブリットさんも。」
「こんにちは。」


翌日、本部で大規模な会議があると言うことで、普段は各々班単位での活動を義務付けられている調査兵団兵士たちが一同に会した。
ハンジさんは分隊長になった。
…ただし、それには条件があって、「モブリットさんをハンジさんの副官としてつけること」と言うものだった。
ハンジさんの巨人に対する洞察力は並外れている。 
それを買っているエルヴィンさんは、巨人となれば全てを投げ出し飛びつくハンジさんの抑制としてモブリットさんをハンジさんの副官にした。
ハンジさんの、リヴァイさん曰く「奇行」に最初は目を白黒させていたモブリットさんも自分の役割をしっかり把握したらしく、今ではすっかり「ハンジストッパー(これもリヴァイさん談)」になっていた。


「あ!ミケも来たね。」
「ミケさん、お疲れ様です。」
「ミケ分隊長、お疲れ様です、って、どうしたんですか?その右頬…。」
「…初めて見る女兵士の臭いを嗅いだらあの女殴りやがった…。」
「ミケ…。」
「それは…。」
「…ハァ…。」


ミケさんの発言に、ハンジさん、私は「あぁ、またか」と思ったけど、ミケさんのこの行動にまだ慣れていないモブリットさんは「なんでこんな人が分隊長なんだ」とありありと書かれた顔でため息を吐いた。
…2人とも、と言うかリヴァイさんも、だけど、それぞれに階級があがり分隊長、兵士長と言う名がついたけど、


−兵長、すみません、今エルヴィンさんから配られたこの書類なんですけど、−
−…………………−
−…なん、です、か?−
−フィーナ、リヴァイは『兵長』って呼んでほしくないみたいだよ?−
−…誰もそんなこと一言も言ってねぇだろうがクソが−
−あ、ちなみに私も『分隊長』って呼ばないでね!−
−え?で、でも…、−
−フィーナ、上官命令だ−
−…じ、じゃあ、リヴァイさん、ハンジさん?−
−ついでに俺もミケのままでいいぞ−


誰1人、私がそれで呼ぶことを快く思わなかったようだ。
私が、と言うか、階級が上がる前から交流のあった人間が、と言った方がいいのかもしれない。
その人たちから階位名で呼ばれることを、快く思わないようだ。


「あれ?リヴァイ、今日は遅いね。」
「…別に普通だ。」


私たちが話し込んでいると、いつもはわりと早めに行動するリヴァイさんが珍しくぎりぎりで部屋に入ってきて、そのまま幹部用として用意されている席へと行った。
じゃあ私たちも、と、それぞれ席についた。




「お前も辛いところだな。」
「は?なんのことだ、ミケ。」
「抱けない女の代わりに商売女を相手にするんだから。」
「…………………」
「睨むくらいなら、もっとよく臭いを消してから来い。」
「…テメェの鼻が良すぎんだろうが。」
「俺じゃなくてもわかると思うぜ?少なくとも『同じ部屋』で生活してたらな。」
「…」
「お前がどういうつもりなのかは知らんが、女は男が思ってる以上に鼻が効く。そう言うことに関して特にな。」
「…」
「『何もしない』も紙一重で、自分だけ『何もされない』って思われたら後が大変だ。お前がそういうことばかりしてると、いつか手咬まれて同じことされるぜ?それが嫌なら、もう少し綺麗にさせることだな。得意だろ?綺麗好きな兵士長殿は。」
「…グダグダうるせぇ奴だな…。」



「フィーナ!ここ空いてるよ?」
「エルドさん。それにグンタさんも。」
「どうも。」


一般兵のために用意された席に向かうと、エルドさんとグンタさんが声をかけてくれた。
エルドさんはリコちゃんが言う通りの「良い奴」で。
たびたびすれ違う時に声をかける仲になった。
そしてそのエルドさんと同じ部屋割りになりわりと2人でいることの多いグンタさんとも話すようになった。
グンタさんは、


「今日もメモ帳持ってきたんですね。」
「大事なことを忘れるといけないので。」


その頭がなんだかコニーが成長したらこうなるんじゃないか、って想像させてしまって(顔もどことなくコニー系だし)親近感が持てた。
ただコニーと違うところは、グンタさんは、とても寡黙で生真面目、と言うことだった。


「みんな揃ったか?」


エルヴィンさんが1番最後に部屋に入ってきて、今後の調査兵団の方針説明が始まった。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -