Attack On Titan


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ラブソングをキミに


変化した日常の定着 2


「じゃあ、また連絡する。」
「うん、またね。」


初めてリコちゃんと「お酒」と言うものを飲んで、ほろ酔い気分になった頃、明日も仕事だと、名残惜しいけどお別れをした。
リコちゃんとは、暗黙の了解で同期の誰が亡くなった、とか。
誰が負傷した、とかは、一切話さなかった。
だからこそ、お互い理性を保ったままで酔えたんじゃないかなと思う。
どこかふわふわとするような心と体で宿舎に戻ると、


「…………………」


リヴァイさんがすっごい難しそうな顔して(基本いつもそうだけど…)書類に目を通していた。


「ただいま、戻りました。」
「あぁ…。」


リヴァイさんは書類から目を離さずに短く(これもいつものことだけど)返事した。
…これは邪魔しないように、早くお風呂に入って寝ようと、リヴァイさんの横を通り過ぎた時、


「おい、フィーナよ。」


リヴァイさんが物凄い低い声で私の名前を呼んだ。


「はい?」
「…テメェ、酒飲んで来たのか?」


ガタン、とそれまで座っていたイスから立ち上がったリヴァイさん。
…酒飲んで来たか、って、私そんなに飲んでない(と言うか初めてでそんなに飲めなかった)んだけど、もしかしてお酒臭いんだろうか…?
店内はお酒よりも、タバコの臭いのする場所だったから、自分がお酒臭いとか、ぜんぜん思いもしなか


「きゃっ!?」


私が黙って考えていたら、リヴァイさんに腕を引っ張られてドン!と壁際に叩きつけるように投げ飛ばされ、尻もちをついた。


ダンッ!!!


少し酔っている頭ではワンテンポ遅れて、痛い、なんて思った瞬間、私の顔のすぐ左横の壁にダン、とリヴァイさんが右足をついた。


「俺の質問が聞こえなかったか?」


それはもしかしなくても、壁際に追い詰められている状態なわけで。


「テメェ、酒飲んで来たのか、と聞いてんだろ。」


投げ飛ばされて打った背中もお尻も痛いけど、


「答えろクソガキ。」


今のこの状況がただ事ではないことを感じて、痛みなんて消えていった。


「す、少、し?」


ダンッ!!


私の顔の左横の壁をついていた足をダン!と蹴り飛ばしたリヴァイさん。
その音にビクッと体が動いた。


「テメェ、どういう状況かわかって言ってんだよな?」


私が何をしてきたか、と言うのは、リコちゃんとお酒を飲んできたわけで。
リコちゃんがどうのはとりあえず除外するとして、リヴァイさんはとにかく「私がお酒を飲んだ」ことに対して怒っている、と言うことは感じた。


「おい、聞いてんのかグズが。」


リヴァイさんは右足を依然私の顔の横につけ、両腕を組みながら物凄い形相で私を見下ろしてきた。
…兵士がお酒を飲むって、そんなにいけないことなんだろうか?
だってこの世界は18歳で成人、ってことだし、リコちゃんだって飲んでたし。
だいたい「飲んだ」って言っても私なんてグラス2杯で終わっただけだし。
そもそもリヴァイさん自身はどうなんですか?
たまにですけど、お酒と女物の香水の臭い撒き散らして帰ってきますよね?
それはアリで私のたった2杯はダメなんておかしくないですか?


「よくわかった。フィーナ・スプリンガー、今のお前には言葉による教育ではなく教訓が必要なようだな。」


私がぐるぐると考えていた時、ひどく冷静な声が辺りに響いた。
直後、


「…っ、…やっ!?」


グィッと両手で胸倉を掴まれ一気に壁の前に立ち上がらされた。
そのままドン!と壁際に押し付けられたことで、一瞬目を閉じた。
そして再び目を開けると、


「っ!?」
「……………」


顔色1つ変えずに、それでもあと2〜3センチで触れる、と言うところまで目を軽く伏せたリヴァイさんの顔が迫っていた。


「………………」
「………………」


もともと私とリヴァイさんはそんなに話す方じゃない。
そして私は今、少しだけどお酒を飲んでいて、今のこの状況に全く頭がついていっていない。
だから余計、お互いの沈黙があたりを包んだ。
一体、今がなんで、どうなっているのか…。
そう思った一拍後、


「テメェ、今ウォール・ローゼ内でどれだけ治安が悪化してるかわかってんだよな?」


それまで伏目がちだったリヴァイさんが、至近距離のままギロリ、と私を睨んできた。


「俺の手さえ解けねぇ奴が、夜中に酒飲んでフラフラしてるような状況じゃねぇんだよ!」


そのままの距離でリヴァイさんが凄む。
…でも「人類最強」なんて言われてるあなたの手を振り解ける人間て、いるんですか?なんて。
妙に頭がクリアになって、おかしなところで冷静な自分がいた。
でもそんなこと、口に出せるわけもなく…。


「す、みま、せん…?」
「…チッ!」


口から出たのは謝罪の言葉で。
それを聞いたリヴァイさんは、舌打ちしながら手を離してくれた。


「いいか?今後は俺の許可なく酒を飲むことを禁止する。」
「…」
「返事しねぇか!」
「は、はいっ!」
「だいたいテメェ、自分の歳考えろ。あんまりふざけたことばっかしてると今度はコレだけじゃ済まさねぇからな?」


言うだけ言って、リヴァイさんは部屋から出て行った。
扉が閉まる音を聞いた直後、へなへなと、体の力が抜けて、私は再び床に座り込み、しばらくはそのまま固まっていた。

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bkm

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