Attack On Titan


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ラブソングをキミに


反撃の狼煙 1


「兵長!こっちに来てたんですか?」
「モブリットか…、エルヴィンに直接話すことがあったからな…。」
「用はもう済みましたか?」
「あ?あぁ。なんだ?何か用か?」
「…分隊長から聞いていると思いますが…、」
「…」
「医務室1番奥のベッドにいますよ。」
「そうか。」
「会っては、行かれないんですか?」
「…」
「『リヴァイさん、ごめんなさい』」
「あ゛?」
「倒れているところを発見され、意識が回復するまでの間うわ言のように呟いていた言葉の1つだそうです。」
「…」
「…まぁ、俺には関係ないことですけど、ね…。」
「……」
「あ、っと、俺そろそろ行かないとなんで、」
「あぁ。……………ごめんなさい、か…。」
「兵長!ここにいらっしゃったんですか?…て、右手どうかされたんですか?」
「…いや、なんでもない。それでどうした?」
「はい、団長がもう1度部屋に来てほしいと、」
「わかった、すぐ行く。」




私の左手が、ただ黙って握りしめられていた日から2日後。


「あぁ、ようやく片目は腫れが引いたね。」


なんとか片目だけ、包帯が取れた。


「…改めて見ると、随分物々しい姿だったんですね…。」
「ははっ、そんなこと言えるくらいは回復したようで良かった。」


救護班の医師が苦笑いしながら言ってきた。
全身に殴打の痕はあるものの、取り立ててどこかが折れた、など言うことはなく、見た目よりはずっと早く回復しそうだった。


「もう動くつもりかい?」
「…動かないと逆に体が鈍るので…。」


片方だけとは言え、視界が開けたことでベッドから起き上がった私に医師は驚いた声をあげた。


「なるほど…。兵長の言う通りだ。」
「え?」


その言葉に、私を診ていた医師の顔を覗き込むように見た。


「『骨に異常がねぇなら目が見えるようになった段階で動こうとするはずだ』と、そう言われてる。」
「…」
「あの人は君のことをよくわかってるね。」


私が使い汚れた包帯を処理しながら、医師は言った。


「そして起き上がった君に兵長から伝言だ。『片腕を失くしたエルヴィンに当面世話係が必要だ。お前がやれ』だそうだよ。」
「…エルヴィンさん、です、か?」
「あぁ、団長は今、」


医師にエルヴィンさんの居場所を聞いて、医務室を後にした。


−あの人は君のことをよくわかってるね−


「…だから余計、辛いんじゃないですか…」


誰に言うわけでもなく呟いて言葉は空に溶けていった。

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bkm

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