Attack On Titan


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ラブソングをキミに


信じるバカ 4


「ニックさん?フィーナです。」


既に廊下はシン、としていて、誰1人出歩いてなどいない時間だ。
そんな中、少し小声で、でもはっきりと、ドアを叩き、中にいるニックさんに声をかけた。


「ニックさん。何か物音がしたんですが、大丈夫ですか?」


中からは返事がない。
普通なら、このまま引き下がるところだけど、一応「世話係」となっている手前、もし何かあったら、そう思ったら引き下がるわけにはいかず、


「ニックさん?開けますよ?」


ドアノブに手をかけた。


ギィィ


独特の音を立て、ゆっくりドアを開ける。
ドアを開け、室内に目をやると、


「え?」


正面に、椅子に縛られ、猿轡をされているニックさんの姿が目に飛び込んできた。


「っ、」


何があったんです、と、叫ぼうとした瞬間、首に、衝撃が加わった。
直後、私の意識は途絶えた。




「音が漏れていたとはな。」
「サネス、その女どうする気だ?」
「…そこの窓を破って『強盗』を追ってやられた、ってことにしようぜ。」
「だったらお前、それ以上やったら死ぬぞ。」
「そりゃあコイツの持ってる運次第だろう?今ここで意識戻されても困るじゃねぇか。俺は小心者だから念には念を、だな。」
「よく言うぜ…。もうその女の顔、原形止めてねぇじゃねぇか。」
「コイツももう少し色気ある体だったら、こんなことされず俺たち楽しませた後で売り飛ばされた地下街で楽出来たかもしれねぇのになぁ。」
「よせよせ。職業兵士なんて選ぶような女、ヤったら噛みちぎられるぞ。」
「違いねぇ!」




「リヴァイ。」
「あ?」
「…さっき、ニックが殺されたって言った時に、言わなかったことがある。」
「なんだ?」
「…兵士が1人、巻き込まれた。」
「『巻き込まれた』?」
「…ニックの部屋の窓が壊されていて、そこから強盗を追いかけ力及ばずやられたんだろう、と、サネスが…中央憲兵の奴らが言ってたけど…、」
「奴らの姿を見て消されたか。」
「いや、まだ生きてるんだよ!生きてるんだけど…、酷く、暴行を受けた痕があって…、私がこの隠れ家に来る前はまだ、気を失っている状態だった。」
「そうか。」
「酷く、暴行を受けて…顔は見る影もない。」
「…」
「それに、もしかしたら性的暴行も受けたかもしれない。いや、そんな形跡は全くなかったけど、でももしかしたら、ってこともあるし、」
「女兵士なのか?巻き込まれたのは。」
「…あなたも知ってるでしょ?『誰が』ニックの世話係だったか…。」
「………」
「さっきはコニーもいたし…、さすがに、ね…。」
「…それでフィーナは?」
「命に別状はない。だけどさっきも言った通り、酷く暴行を受けたらしく、顔は全体的に腫れ上がってて、あの瞼じゃ当分両目とも開かないと思う。」
「………」
「私はエレン硬質化実験の計画を煮詰めるために少し時間がほしい。つまり、その間あなたたちは待機、ってことになるわけだけど、」
「けど、なんだ?」
「…待機、ってことになるわけだけど、あなたはその間、少しでも、会いに行ったらどうか、って、」
「必要ねぇな。」
「リヴァイ!あなたがどんな状況でも冷静でいられるのは」
「別に、」
「え?」
「…言う必要もねぇから黙っていたが、『俺たち』のことを言うなら、もう終わってる。」
「…え?終わってるって、どういうこと?」
「言葉通りだ。『終わりにしてくれ』と言われた。」
「……は?フィーナに言われた、ってこと?なんで!?」
「俺が知るか。あぁ、だが、俺の傍にいたくねぇと言ってたから、そういうことなんだろう。」
「傍にいたくない、ってどうして!?」
「だから俺が知るか。とにかくそういうことだから、要らん気を回すな。」
「あ、ちょ、リヴァイッ!!」
「………分隊長!ここにいたんですか!」
「…モブリット、」
「エレンの硬質化実験の場所ですが、…って、なんかあったんですか?」
「……あぁ、私は『こういうこと』には本当に、気の利いたことも言えない。」
「え?」
「…せめて、ミケが戻って来てくれたら…」




「…っ…」


椅子に縛られているニックさんを最後に見た翌日、私は目を覚ましたものの、両瞼が腫れ上っていたようで、目を包帯を巻かれていて、ろくに物が見えないような状況だった。
簡単に状況を説明されたけど、起き上がることも出来ない私は、ただ頷くしかなかった。
幾度となく、眠りに落ち、幾度となく、意識が覚醒した。
殴られたせいか、体中が熱く、包帯で巻かれた目では、今が昼か夜かもわからない。
ただ…、いつからかはわからないけど、左手に、誰かの手の温もりを感じていた。



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bkm

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