Attack On Titan


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ラブソングをキミに


信じるバカ 3


「私たちはこれからエルヴィンのところに報告に行くんだけど…。」


ラガコ村での調査が終わり、ハンジさんが私にそう言ってきた。


「少し、先を急ぐんだ。」
「…はい、私は兵舎へ直行します。」
「そう。…ごめんね。」
「いえ。」


ハンジさんが私に謝罪を入れた後、エルヴィンさんがいる、あの日怪我をした兵士たちの収容所として設けられた場所に向かうべく、ハンジさんの班はラガコ村を離れて行った。
ちょうど昨日、ローゼ内の安全が確認されたと言い渡され、晴れて、ローゼ内を1人で行動することが出来るようになった。
ハンジさんやコニーの姿を見送った後で、1人、ラガコ村を離れた。
…ローゼ内に現れた巨人は、やっぱりラガコ村の人だった…。
ううん…、確証、まではいってない。
その瞬間を見た人間は、誰もいないんだから…、
ただ…。
その仮説の信憑性が増すばかりで…、否定出来る材料が、何1つ、ないだけだ…。


「ニックさん、夕飯を持ってきました。」


何を思い、何を考え、兵舎に戻ったのか…。
正直なところ、覚えていない。
ただ…。
いつになく、重い足取りだったのは、覚えている。


「いつもすみません。」


ニックさんは、少し、ほんの少しだけ、私と話すようになった。
でも、余計なことは言わない。
…だからだろうか…。


「今日、ラガコ村に行って来たんです。」


何故か、今日の出来事を、打ち明けていた…。


「私の家があって、…両親が住んでいるんです。」
「ご両親が…。」
「はい。今回のことで…、村は壊滅しました。」
「…」
「それも、ただの巨人じゃなく…、村全体が巨人化し、彼らが壊したようです。」


普通、こんな話を突然されても、信じるわけ、なかった。
だけど…。


「そうですか…。」


ニックさんは、私の言葉を、信じたようだった。


「…信じるんですか?」
「疑った方が良いですか?」
「…どう、でしょう…。」
「…」
「もう、よく、わからないんです…。」


何もかもが、よく、わからないんです。
私がニックさんと会話したのは、それが最後だった。
…リヴァイさんの部屋を出て、ニックさんの部屋の真上、ナナバさんの部屋に移動したことは、ラッキーだったのか、そうじゃなかったのか…。
私にはわからない。
ただ、この日の夜、真下である、ニックさんの部屋から、物音が絶えなかった。
ニックさんは、とても静かに過ごしていた。
聞こえてくるそれは、もしかしたら大した音じゃ、ないのかもしれないけど、ニックさんが今までこんなに物音を立てたことはなかった。
だから少し、疑問を覚えた私は、夜中だけど、何かあったのかもしれないと、ニックさんの部屋のドアを叩いた。



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bkm

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