Attack On Titan


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ラブソングをキミに


沈む世界と 5


ここ最近の私たちの作業と言うのは、早い話が調査兵団の立て直し。
今のトロスト区にある「仮宿舎」からウォール・ローゼ内に調査兵団の宿舎兼本部を設けるための準備に追われていた。
その作業中に、


「フィーナ…?」
「え?…リコちゃん!!」
「フィーナっ!」


懐かしい顔に、出逢った。


「お前、生きてたなら連絡しろ!」
「…うん、ごめんね。リコちゃん、ごめん…。」


どちらからともなく抱きついて、涙を浮かべながら再会を喜んだ。


「…リコちゃんは、トロスト区防衛担当になったの?」
「あぁ…。」


駐屯兵団はウォール・ローゼの突出区にそれぞれ振り当てられ、警護をすることになっている。
リコちゃんは4つある突出区のうちの、…1番危険な南区、トロストに配属された。


「調査兵団も…、大変だったな。」


でもそれは、調査兵団だけが大変だったわけじゃない。
駐屯兵団は政府の命を受け、どんなに罵倒されても、ウォール・マリア奪還作戦に、多くの人々を送り出さなければいけなかったはずだ。


「…今度、時間作って会おうか。」
「うん。必ず…。」


毎夜、話をしていた訓練兵時代。
ずっと、そういう時間が続くと思っていた。
けどそれは、「現実」を知らない愚かな私たちの幻想に過ぎなかった。
もうリコちゃんはあの頃のように「巨人に食われなかったら」なんて、言わない。
私も「簡単に食べられない」なんて、言わなかった。
そして「お互い無事で良かった」なんてことは、口が裂けても言えなかった…。
リコちゃんと別れ、今日の作業を追え、仮宿舎の私が与えられた自室へと戻る時、


「おい、フィーナ。」
「はい?」
「お前どこで寝るつもりだ?」


リヴァイさんに声をかけられた。
………「どこで」?
どこで、なんて、そんなの、


「自分の部屋、ですが…?」


1つしかない。
だけど私のその言葉に、


「そうか。じゃあ俺の部屋に来い。」


リヴァイさんは全く違う答えを返してきた。
………………………は?


「え、や…、な、何か、用、です、か?」
「はぁ?…お前が1人で眠れねぇってピーピー喚いてたんだろうが。」
「…べ、つに、ピーピー喚いてなんか、」


少しだけ、リヴァイさんの言い方にムッとした。
それを見越したかのように、ジーーーッと私を見てきたリヴァイさん。


「……………」
「……………」


少しの沈黙が流れた後で、


「…ハァ…。」


リヴァイさんがため息を吐いた。


「お前、現状を理解しているのか?」
「え?」


リヴァイさんは睨んでいるわけではないけど、私を見遣った。


「今は人手不足もいいとこで、それこそ内地で肥えてる豚共の手でも借りてぇほどなんだ。そんな状況下で何度も倒れられても迷惑なんだよ。」
「…私、倒れてなんて、」
「時間の問題だろーが。寝不足でフラフラされりゃあ、何1つ任せられねぇ。それを理解してんのか?」
「…」
「わかったら荷物まとめて俺の部屋に来い。いいな?」


そう言ってリヴァイさんは自分の部屋へ行ってしまった…。
職業「兵士」として生きていくにあたり、男女同じ部屋もしくはテントで過ごさなければいけないことも多々ある。
それに私とリヴァイさんは同じベッドで本当に文字通り寝ると言うことは過去何度かあった。
…あったんだけど、なんかちょっと、何かを間違えているような気がするのは私だけなんだろうか…?
でもリヴァイさんのあの物言いに(仕事が出来ないと迷惑と言う部分には特に)反論するだけの正当性も、言語能力もない私は、


「…」


とりあえず自室の荷物をまとめてリヴァイさんの部屋に転がり込むことにした。

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bkm

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