Attack On Titan


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ラブソングをキミに


沈む世界と 4


リヴァイさんのベッドで寝た(というか寝かされた)日。
大泣きしたこともあり、助けられなかった人たちの声が聞こえることもなく、久しぶりに「寝た」と言う実感が湧いた。
でもそれは所詮一時のまやかしに過ぎず、


「…っ!?…ハァ、ハァ…っ、」


その翌日から再び、目を瞑ると今もありありと蘇る、生きている人間の、断末魔。


「…っ、震えが、とまらなっ、」


どんなに布団を被っても、記憶に残る音がかき消されることなどなく…。
私はまた、寝不足の日々を過ごすことになった。
だけど、


「おい、フィーナ。」
「え、っ!?」


4日もすると、リヴァイさんがやってきて強制的に寝かされた。
それを3〜4回繰り返したある日、夜、目が覚めると、


「………」


あの日と同じように、私の隣で横になっているリヴァイさんが目に映った。


「…リヴァイさん…」
「テメェには学習能力って言葉がねぇのか?」


呟くように小さく言った言葉に、目を閉じたまま眉間にシワを寄せ、リヴァイさんが返事をした。


「1人になると、眠れないんです…。」
「…」
「『怖い夢』見て眠れなくなるなんて、子供みたいですよね…。」
「ハッ!ガキがなに言ってやがる。」


リヴァイさんは、私の方に向いていた体を、どさり、と音を立てて仰向けにして月明かりの差し込む天井を見上げた。


「リヴァイさん、」
「なんだ?」
「人は、巨人に捕食されるために、生まれるんでしょうか?」
「…」
「なんのために、」
「…」
「人は、なんのために、生まれてくるんでしょうか?」
「そんな小難しいこと、わかるわけねぇだろ。」


バカかお前、とでもつきそうな勢いでリヴァイさんは言った。
…確かに、誰にも「何のために生まれてきたのか」なんて、わかるわけ、ない。


「だが…。」
「え?」
「何のために生きるのかはわかる。」
「…え、」
「お前はこの狭い『籠の中』で満足か?」


私もリヴァイさんも、仰向けのまま、目だけお互いの方に向けていた。


「こんな籠の中だけで一生を終えるなんて冗談じゃねぇ。」
「…」
「『だから』生きる。自分が後悔しないためにもな。」


それはつまり、「自由のため」に生きると言うこと。
…なんだかすごく、リヴァイさんらしかった。


「今日は、よく喋ります、ね…。」
「お前が喋らせてんだろうが。気済んだらいつまでもくだらねぇこと考えてないで、さっさと寝ろグズが。」


そう言うだけ言って、リヴァイさんは口を閉じた。
…私は、何のために生きているんだろうか…。
もう薄れてきている「記憶の中の世界」に、帰るため?
それとも……。


「おい、起きろフィーナ。今日は休みじゃねぇだろ。」


翌朝、リヴァイさんの声で目が覚めた。
あぁ、私また寝てしまったんだ…。


「…なん、です、か?」


ベッドから起き上がり、いつものスカーフを巻いて、兵団ジャケットを羽織ったらリヴァイさんがジーッと見てきた。


「お前、いつまでその汚ぇスカーフ巻いてるつもりだ?」


チラリと私の首に視線を投げながらリヴァイさんが言う。


「いつまで、って、…ずっと?」
「…」


私のその言葉に、物凄く嫌そうな顔をしたのがわかった。


「これ、は、…お守りみたいなものです、から…。」


「あの日」温めてもらった心を、手放すなんてこと、今の私には出来ない。
…それにリヴァイさんが言うほど「汚いスカーフ」じゃないと思うし。
確かにリヴァイさんが巻いてるものと比べたら、汚れてるかもしれないけど…。
でもそんな「汚いスカーフ」って言われるほど汚くなんて、


「そこのチェストの右側1番上の引き出しだ。」
「…え?」


私が首に巻いたスカーフを見ているとリヴァイさんが口を開いた。


「同じ物が入ってる。好きなだけ使え。」
「え、」
「だからその汚ぇスカーフさっさと捨てろ。」


ほら出せ、とでも言うかのよに手を前に出すリヴァイさん。
その勢いに少し体を仰け反らせた。


「こ、これはダメです。」
「あ?」
「…巻くのが、ダメなら、巻きません。でも、これは、捨てません。」


どうせスカーフなんて、どれも同じものだ(実際デザインも色も材質も同じだし)
だけど「この」スカーフには、あの日の涙が沁みこんでいる。
それを他のスカーフ同様に扱うなんて、出来るわけがなかった。


「…チッ!勝手にしろ。」


リヴァイさんはそう言うと、今日はこれを使えとでも言うかのように、無言でチェストからスカーフを1枚取り出し私に投げつけ部屋から出て行った。
それを改めて首に巻き、リヴァイさんの後を追うように私も部屋を後にした。

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bkm

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