Attack On Titan


≫Clap ≫Top

ラブソングをキミに


ただ一言 6


「おーい、フィーナ!迎えに来てやったぞー!って、あれ?」
「フィーナなら自室に戻ったよ。」
「…どっちだ?」
「うん?」
「どっちが先に折れた?フィーナか?リヴァイか?」
「逆に聞くけど、」
「うん?」
「リヴァイが先に折れると思う?」
「……だよなぁ…。」




リヴァイさんの部屋に行った翌日の午後、エルヴィンさんの号令により、全兵士が招集された。


「今回の遠征においての班が決定した。今日からはその班単位で行動してくれ。」


リヴァイさんが昨日言った通り、


「班長ディータ・ネス。班員、ルーク・シス、フィーナ・スプリンガー、アルミン・アルレルト。」


私はアルミンと一緒に、ディータさんの班員になった。
そして…。


「班長ゲルガー・ハッセ。班員、トーマ・ビュッセル、ミカサ・アッカーマン、コニー・スプリンガー。」


リヴァイさんが言った通り、コニーは、ゲルガーさんの班員になった。
同じ班員には、歴史的逸材との評価もある、ミカサもいる…。


−さすがにエルヴィンもお前に悪いとでも思ったんだろうな−


私の場所からエルヴィンさんを見ても、団長として他の兵士に囲まれ、何を考えているかわからない。
だけど…。
5年、共に過ごしてきた日々があるからこそ、と、見てないとはわかっていながらも、エルヴィンさんに一礼した。




「……頭を下げられるような人間ではないんだがな……。」
「団長?どうかしましたか?」
「いや…。これから遠征に必要な武器を、」




「よぉ、フィーナ!お前が俺の班とは、怪我した遠征ぶりだな!」
「ディータさん。ルークさんも、それからアルミンも、よろしくお願いします。」
「あぁ、よろしく。」
「よろしくお願いします。」


ディータさんの側に行くとすでにルークさん、アルミンがいて、3人に簡単に挨拶した。


「フィーナさんはネス班長の班になったことあるんですか?」
「あ、うん…。」
「そーそ!初の最前線索敵班に抜擢されたと思った矢先に大怪我して、なぁ?フィーナ!」
「その節は大変ご迷惑おかけしました…。」
「いーって、いーって!俺は何にもしてねぇどころか、結局リヴァイの良いとこ取りだっただろ?」
「班長、」
「あ、っと…、まぁ、あれだ。今回もよろしくな!」


ディータさんの発言に、ルークさんが止めに入った。
ちなみにルークさんはエルドさん同様、駐屯兵団からうちに入ってきた人だけど、今のこの口ぶりは、知ってるんだろうな、と思った。
でもアルミンは新兵なわけで、ルークさんのこの態度とそれに反応したディータさんを見ると、やっぱり「隠していた方が良いこと」なんだろうと思う。
だけど…。


「………」


アルミンは顎に手をあて、何かを考えるような素振りをしていた。


−やたら頭の回転早そうだから気をつけな。たぶんさっきので気づいたと思うよ。お前とクソチビのこと−


…………うん、私も今、そんな気がしたよ、リコちゃん……。
そんなことを思っていた時、ディータさんが小声で話しかけてきた。


「でもお前、俺の班なんて縁起悪いんじゃねぇか?」
「え?」
「今度も怪我で済めばいいけどな。」
「…そう、いう、のは、冗談でも、やめてください。」
「いいや、本気だ。」
「…」
「特にお前は女だから言っておく。手足の1本や2本、なくたって生きていける。だがな、殺されちまったらおしまいだ。手足の1本や2本『残念だ』程度に割り切って、それで済むなら躊躇わず差し出して生きることを考えろ。」
「………ディータさんらしく、ない、です、ね。」
「…今回はそれだけやべぇかも、ってことだろうが。」


くしゃり、と、ディータさんは私の頭を撫でた。
…今回は、それだけヤバく、今までとは、違う…。


「ま、俺たち一般兵は与えられた任務に終始するだけだ。」
「はい。」


ディータさんが、ニッ、と笑った。
そしてディータさんは少し離れたところにいるアルミンに声をかけた。


「おい、アルレルト。お前ラッキーだったぞ。」
「ラッキー、です、か?」
「あぁ!フィーナの『耳』を初遠征で拝めるんだからな!」
「…ディータさん、そんな貴重なものみたいな言い方、」
「何言ってる!お前の耳でどれだけ助かってるか!」
「耳、って、なんですか?」


アルミンが小首を傾げ、目をぱちぱちと瞬きながら聞いてきた。
…………なんだろう、今すごく、敗北感が生まれたような気が……。


「あぁ、コイツ、耳がすっげぇ、いいんだよ!嗅覚で巨人を感知出来るミケレベルの耳!」
「え?嗅覚で巨人を感知?ミケ、って、分隊長のことですよね?」
「そーそ!アイツはな、」


綺麗な金髪で、目も大きくて、肌も白くていいなぁ…。
それはまるで、……まるで………。
…なんて。
いろいろと説明しているディータさんの声を聞きながら、アルミンを見ていた。
その後、エレンの実験に向かう途中のぺトラ(リヴァイさんたちは先に向かったようだった)と遭遇した。
お互い仕事中と言うこともあり、取り立てて何かを話したわけじゃない。
ただ、私と目が合ったぺトラは、良かった、と、呟くように言った。
綺麗な金の髪を靡かせながら。
ぺトラが言う、「良かった」が何を指しているかなんて、明白だ。
それに対して、ありがとう、とも、ごめん、とも、どう言ったらいいのかわからなかった私は、曖昧に笑って誤魔化した。
…ほんのたった一言。
良かった、と、私たちを心配して、そう呟くように言ってくれたぺトラのように、ただ一言、ありがとう、でも、ごめん、でも、言っておけば良かった、って…。
この時口にしなかったことを、後悔することになるだなんて、思いもせずに…。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -