Attack On Titan


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ラブソングをキミに


ただ一言 5


泣きすぎたからなのか、どういう流れからそうなったのかよく覚えてないけど…。
気がついた時には、リヴァイさんと2人、ベッドに横になっていた。
リヴァイさんは私の方に体を向け片肘を立て頭を支えながら、もう片方の手で何度も何度も、私の髪を梳いていた。


「…まだ正式に発表されたわけじゃねぇが…、」


どこか穏やかなその時間に、リヴァイさんがひどく優しい声で言葉を発した。


「コニーにはゲルガーをつけることになるだろう。」
「………え?」


その言葉にリヴァイさんを見ると、優しい声とは裏腹に、相変わらずの無表情だった。


「さすがにエルヴィンもお前に悪いとでも思ったんだろうよ。」
「…」
「ゲルガーを実行部隊から外して、班長として立てそこにコニーを入れるつもりらしい。」


淡々とリヴァイさんはそう語った。


「ゲルガー、さん、が…。」
「あぁ。アイツの実力は俺よりもお前の方が知ってるだろう?」


そう言って、それまで梳いていた私の髪を軽く掴み、口づけた。


「じゃあ、」
「うん?」
「私、は?誰と同じ班なんです、か?班長のミケさん、は、実行部隊ですよ、ね?」
「あぁ…。」
「ゲルガーさんの班、て、ことです、か?」


私の言葉に、リヴァイさんは私の髪から手を離し、仰向けに寝転んだ。


「それはまずないだろうな。」
「…」
「あのエルヴィンがお前とコニーを同じ班にするわけがない。」
「…はい。」
「新兵と同じ班にするならば恐らく、エルヴィンが『信用に足る』と言ったエレンの馴染みの2人、どちらかの班だろう。」
「…ミカサとアルミンのことですか?」
「そんな名前だったな、確か。…女の方はその能力を買われて他の新兵数名と同じ班にしても戦力的偏りがないと言っていたから古株の班長1人に新兵の班にする気じゃねぇか?同じ班になるならあの金髪の方だろう。」
「…アルミン、と…。」


少しずつ、着実に…。
その日に向けて準備が進んでいく…。


「捕獲場所は巨大樹の森だとは聞いたな?」
「はい。」
「…お前は恐らく、伝達班に配置されるだろうから、班長命令で森の中には入らず待機となるだろうが…。」
「…はい。」
「お前の耳だとその位置からでも俺が撃つ音響弾が聞こえるはずだ。」
「…音響弾、です、か?」
「あぁ。囮作戦が成功し、諜報員を捕獲ポイント付近まで誘い込むことが出来たら、俺がエルヴィンに向けて撃つ合図だ。」
「合図…。」
「それが聞こえてから撤退の合図があるまで、絶対に森に入るな。」


どういうつもりでリヴァイさんがこういうことを言ったのかわからない。
だけどリヴァイさんも…。


「『命令』には、従います。」
「あぁ…。」


もしかしたら、今までとは全く違う、今回の遠征に、不安があるのかも、しれない…。


「リヴァイ、さん、」
「なんだ?」
「…みんな、大丈夫ですよ、ね?」
「………」


リヴァイさんが私のその問いに答えることは、なかった。
その変わりに、リヴァイさんは隣で横になっていた私を抱きしめてきた。
それに答えるように、リヴァイさんの背中に回した手でぎゅっ、と、服を握り締めた。


「…♪〜…」


その直後、少し掠れた声で、リヴァイさんがハミングし始めた。
今私は、リヴァイさんに抱きついていて、その表情が見えない。
でもきっと、この人はいつもと変わらず無表情ながらも、優しく口ずさんでいるんだと思う…。


「リヴァイさん、」
「〜♪〜…」
「お願いです。絶対に死なないでくださいっ…。」
「…〜♪〜…」


やっぱり、リヴァイさんがそれについて答えることはなかった。
ただずっと、泣く私が寝つくまで、どこか掠れた声で、歌っていてくれた…。

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bkm

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