Attack On Titan


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ラブソングをキミに


104期入団歓迎式 5


それからどのくらい経ったのか…。
窓の外から聞こえた蹄の音に、ピクリ、と体が反応した。


「…ん…今度はなんだ?」


上体を起こした私に、どこか掠れた声でリヴァイさんが言った。


「…誰か、来たみたいですよ?」
「………あ?誰かって誰が?」
「さぁ…?……でも、下、が、なんだか騒がしくなってる気が、」


ドンドン!


「兵長!お休みのところすみません!エルドですっ!!」


その時、エルドさんが物凄い勢いでドアを叩いて来た。


「チッ!おい、お前服は?」
「え?あ、着てます。」
「……入れ。」
「はっ!失礼します!」


エルドさんの声にベッドから体を起こしたリヴァイさんは、私が服を着ていることを確認した後、エルドさんに入室を許可した。


「朝から申し訳ありません!」
「何があった?」
「たった今トロストでの掃討作戦時に捕獲した2体の巨人が何者かに殺されたとの報告がきました!」
「何!?」


ベッドから起き、窓から下を覗き込むリヴァイさん。
その目線の先にはモブリットさんとハンジさんがいた。


「すぐ準備する。下で待ってろ。」
「はっ!」
「聞いた通りだ。お前も準備しろ。」
「はい。」


慌ただしく、1日が始まる。
急いで顔を洗って着替えて、10分後には騎乗し巨人が、ソニーとビーンが殺された場所へと向かった。


「うわぁぁぁぁぁっ!!!!ソニィィィ!!!ビーーーンッ!!!!嘘だと!!!嘘だと言ってくれぇぇぇぇっ!!!」


ハンジさんたちに遅れること少し、私たちが到着した時には、ハンジさんはもうソニーとビーンがいたであろう場所で大泣きしていた。


「貴重な被検体を…!兵士が殺ったのか?」
「あぁ。犯人はまだ見つかってない。夜明け前に2体同時に殺られたらしい。見張りが気づいた時には立体機動で遥か遠くだ…。」


そう囁き合う周囲の声。
…「夜明け前」に…。


「…リヴァイさん、」
「考えるな。」


もしかして、と口にしようとした私に気づいたリヴァイさんは、先手を打つかのようにそう言った。


「俺には何も聞こえなかった。それが全てだ。いいな?余計なことを考えるな。」


そう言ってリヴァイさんはエレンの元へ行った。
その時、


「君には何が見える?」


エルヴィンさんが、私の隣にやってきた。


「いや、違うな。…君には何が『聞こえる』?」
「…え?」
「…………」


私にそう言ったエルヴィンさんのガラス玉のような瞳が、どこまでも冷たく光っていた。


「な、にが、って…、」
「すまない。忘れてくれ。」


そう言ってエルヴィンさんもエレンの元へと向かった。
…何が、聞こえる…?
どう、いう、ことだろう、か…。


−エルヴィンは、誰より優しく、誰より非情な男だ−
−エルヴィンは俺たちでは考えもしないようなことを考えるだろう−


いつかのハンジさんとリヴァイさんの言葉が、胸を過ぎる。
それまで閉じられていた蓋が開かれ、ざわり、ざわり、と沸き起こる予感は、もう2度と、収まることなど、ないのだろう…。
去っていくエルヴィンさんの後ろ姿が、とても冷たいものに見えた…。
そしてその後、すぐさま、憲兵団による犯人捜しが行われた。
古城にいた私やハンジさん、そしてリヴァイ班の面々も例外なく捜査対象になったわけだけど…。


「記録通りだ。行っていいぞ。」
「はっ!」


随分あっさりと解放された。
でもその後ソニーとビーンの後始末とでも言うべき処理がある生態調査班、つまり、ハンジさんの班はその場に残り(そこにいれるほどの知識、頭脳が私にはないため)私は今日だけ一旦ミケさんの班に戻ることとなった。


「よぉ、出戻り!」
「…すみません、落ち着きがなくて、」
「構わんさ。それがエルヴィンの命令だ。」


相変わらずのミケさん、ゲルガーさんに迎え入れられた。
そして今夜、新兵勧誘式…つまり、104期訓練兵の所属兵科が決定する…。
エレンが調査兵団である以上、ミカサとアルミンはもう間違いなく、うちに来るだろう。
けどコニーは…。
本人は、憲兵団を希望していた。
そのつもりで3年間、やってきたはずだ。
だけど…。


−コニー!良かった、やった会えた!−
−姉ちゃん…!−
−調査兵団がいない時になんて…、大変だったでしょう?−
−大変、ていうか…−
−でももう大丈夫。穴も塞いだし、コニーはなんの心配もせずに憲兵団に行ってね−
−………−
−もうすぐ所属兵科を決めなきゃでしょ?憲兵団、なんだよね?−
−………−
−…コニー?−


トロスト掃討作戦の最中、偶然会うことの出来たコニーは、昔のように「憲兵になる」とは、言わなかった…。


「フィーナ、そろそろ始まるぞ。」
「はい。」


ゲルガーさんに促され、私たちも所定の位置(壇上脇)についた。


「訓練兵、整列ー!壇上正面にならえっ!!」


それとほぼ同時に、整列の声がかかる。


「私は、調査兵団団長、エルヴィン・スミス。」


夜の帳が降り始めた頃、エルヴィンさんの声が響き渡った。

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bkm

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