Attack On Titan


≫Clap ≫Top

ラブソングをキミに


104期入団歓迎式 3


「最高に滾るヤツをだよ!」


そう興奮気味(どころか興奮真っ只中なようだけど…)で、話すハンジさんに、若干引き気味のエレンが答える。


「許可については、自分では下せません。自分の権限を持っているのは、自分ではないので。」


…目の前でそう言ったこの子は、コニーと同じ15歳の男の子。
どういう気持ちで、そう、口にするんだろう…。
自分のことなのに、自分で決める権利がない、なんて、普通15歳の子は、言わない。


「リヴァイ!明日のエレンの予定は?」
「庭の掃除だ。」
「なら良かった!」
「は?掃除?」


まるで当然のルールか何かのように口にしたリヴァイさんに思わず言葉が漏れた。


「なんだ?」
「…エレンに、庭掃除、させるんですか?」
「当然だ。」
「庭、って、だってここお城ですごく広いんですよ?」
「知ってる。だからだ。」


何が悪い、とでも言いそうなほどリヴァイさんはあっさりと言った。




「(いいぞー、フィーナ!もっと言え!!初日の掃除は仕方ないとして、いくらなんでもこの広い城の庭掃除なんて…!!止められるのはお前しかいない…!!)」
「(おもしろい展開になってきた!来た甲斐あったよ!)」




「だから、って、」
「あ?」
「お城の庭掃除、なんて、そんなエレンをイジメてるみたいなこと、」
「あ゛?俺の班員を俺がどうしようがお前には関係ねぇだろうが。」
「そ!そう、かも、しれないですが、でも普通に考えて、」
「だったら普通に考えるな。ここでは俺がルールだ。」


そう言ってリヴァイさんは目の前のカップを傾けた。


「い、いくらリヴァイさんが『班長』と言っても、そういう横柄な態度は良くないと思います。」
「なんだと?」
「だってそうでしょう!?自分の班だから自分がルールだ、なんてそんなこと、」
「テメェはいつから俺に指図出来るほど偉くなったんだ?」
「え、偉い偉くないの問題じゃないじゃないですか!人としてもっと『エレン』をちゃんと、」
「煩ぇ!喚くくらいならさっさと帰れ!おい、誰か部屋に紅茶持って来い。」


そう言ってリヴァイさんは部屋から出ていった。




「(これは…。もしかしてもしかしなくても、明日から機嫌の悪いあの人の世話をしねぇとなんだろうか…。ただでさえエレンが増えてオルオの先輩風吹かせてる姿に手焼いてんのに…)」
「(…でたっ!ちっちゃいリヴァイの男の嫉妬!!しかも相手はでっかいエレン!!これはますますリヴァイ班から目が離せないっ!!)」
「(………あの2人の事情がわかってから冷静に見ると、こういう時のエルドやハンジ分隊長の顔も、バレる一因だ、ってことがすっごいわかるわ…)」




「…あー、っと、じゃ、まぁ、決定、ってことでいいよね?」
「え?」
「エレン!明日はよろしくね!」
「あ、はい。…しかし、巨人の実験とは、どういうものですか?」
「ん?」
「え?あ、あの、巨人の実験とは、」
「おい!やめろ!聞くなっ!」


エレンがハンジさんに対して投げかけた疑問に即座にオルオが反応した。
…けど、時すでに遅し…。


「あー?やっぱりぃ?聞きたそうな顔してると思ったぁ…!!」


その直後、エルドさん、グンタさん、ぺトラ、オルオが立ち上がった。
……………モブリットさん、私これ、どうしたら…。
その時、壁(と言うか木で出来ている現在開け放たれているドア)をコンコンと叩く音がした。
そちらに目をやると、エルドさんが私を見ていて、手招きしていた。
チラッ、と、エレンを見ると、がっつりハンジさんに手を掴まれ身動きが取れなさそうで。
今のうちに、と、エルドさんの方へ向かった。
エルドさんの近くまで行くと、エルドさんはパタン、とドアを閉めた。


「え、ちょ、中にエレンが、」
「フィーナ。さっき聞いていただろう?兵長が紅茶を所望している。持って行ってくれ。」


たった1人、ハンジさんの生贄になってしまうエレンの元に戻ろうとドアに手をかけようとしたら、エルドさんが言ってきた。


「…………な、なんで私、が、」
「お前しかいない。行ってくれ。」
「ぺ、ぺトラやオルオに任せればいいじゃないです、か。」
「私たちが持っていくより『恋人』に持って来てもらった方が兵長も喜ぶんじゃない?」
「………………えっ!?」


私とエルドさんの会話に随分サラッと入ってきたぺトラを見遣った。


「な、に、言っ、」
「知ってるよ。と、言うか、うちの班みんな知ってる。ねぇ?」


ねぇ?と言ってエルドさん、グンタさん、オルオを見たぺトラに、みんな大きく頷いた。


「…………や、あの、これには、」
「別に今更隠すようなことじゃないし、誰も驚かないよ。」


それはそれで、私が驚きます…。
なんで?いつから?なんて言葉が喉まで出かかっている時、


「まぁ、そういうわけだから、フィーナのせいで機嫌が悪くなった兵長の責任、取ってきてね。」
「………えっ!?私のせい!?」
「じゃあ他に誰のせいって言うの?」
「え、………ハンジさん?」
「分隊長のせいならその場で分隊長がボコられてるだろう。」


そう言ったエルドさんの言葉に、みんなうんうん、と、頷いた。


「で、でも、」
「うん?」
「私、モブリットさんにハンジさんを止めて、って、言われて、」
「それなら大丈夫だ。」
「え?」
「エレンが犠牲になってくれたおかげで被害は最小限に留まった。」


………エレンを…見捨てるんだ……。
エルドさんの言葉に、今だ人が出てくる気配のないドアを見た。
じゃあそういうわけだから調理室と兵長の部屋は、とエルドさんに話しを進められた(と言うか押しつけられた)
物凄く納得いかないまま、じゃあ俺たちはこれで、とみんな去っていってしまったため、仕方なく紅茶を淹れて(最近リヴァイさんは薄くなっていくコーヒーより紅茶を好んで飲むようになった)リヴァイさんのいる部屋に持っていくことにした。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -