Attack On Titan


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ラブソングをキミに


絶望への前奏曲 7


「おい、リヴァイいるか?」


リヴァイさんの熱も下がり始めた日の夕方。
部屋にゲルガーさんが部屋にやってきた。


「あ、ゲルガーさん。ちょうどこれからリンゴ剥くんですが、食べていきます?」
「おー、1つくれ。」


ゲルガーさんはミケさんに頼まれた書類をリヴァイさんに届けに来たらしい(ミケさん本人はエルヴィンさんのところに行っているようだ)
ミケさんも言ってくれれば私が届けたのに、なんて思いながらリンゴの皮を剥いていた。


「はい、ゲルガーさんどうぞ。」
「おぉ、サンキュー!」


1つだけフォークを刺して取り、残りをお皿ごとゲルガーさんに渡した。


「お前いつから復帰すんだよ?」
「さぁな。」


ゲルガーさんとリヴァイさんの会話を聞きながら、そのフォークを持って、リヴァイさんがいるベッドへと近づいた。
まだ少し微熱があり、今日も寝ていたリヴァイさん。
でも「微熱」なだけで、正直かなり暇そうで、寝ていることが苦痛そうに見えた。


「はい、リヴァイさんも…あーん、」
「………」


リヴァイさんが病気になって、ずっとそうやって食べさせていたため、抵抗というものを全く感じることもなく、ベッドの縁に座り、リンゴの刺さったフォークをそのままリヴァイさんの口に持って行った。
それに対してリヴァイさんもいつものように口を開け、シャリッ、っとリンゴを噛む音を響かせた。
その時、


ゴトッ


何かが床に落ちる音が聞こえた。
振り返ると、ゲルガーさんがフォークを刺したリンゴが床に落ちたようだった。


「…大丈夫ですか?」
「お、おぅ。」
「おい、食い物粗末にするな。」
「わ、悪ぃ…。」


そう言いながらゲルガーさんは立ち上がった。


「じ、じゃあ俺もう行くな。」
「…リンゴ食べて行っていいですよ?」
「いや!お前らで食え!俺は急用を思い出した!」
「そう、です、か…?」
「じゃあな!」


そう言ってバタン!とドアを閉めて出ていったゲルガーさん。


「どう、したん、ですか、ね?」
「からかい甲斐のある奴だ。」
「え?」
「リンゴ。」
「あ、はい、…あーん。」
「………」


シャリッ、と、再びリンゴを食べる音が室内に響いた。




「ナナバァァァァ!!!」
「…ゲルガー煩い。何のよう?」
「ここは!!兵舎だろっ!!!?」
「…はぁ?」
「ここは!!アイツの!!別荘じゃねーってのっ!!!」
「(アイツ?)何?何があったの?」
「何が、あーん!だっ!!ふざけんな!!『おっさん』に片足突っ込んでる人間が年下の女捕まえたからって何やってんだよっ!!!」
「(リヴァイとフィーナか…)落ち着けって、」
「お、俺だって!」
「うん?」
「俺だって7つも8つも年下の女がいたらっ…!!」
「………男の嫉妬は醜いよ…。」
「煩ぇっ!!!」




「あー…、なんか体痛ぇ…。」


私が片付けをしていると、リヴァイさんが首をコキコキと鳴らしながら呟いた。
やっぱり、普段あれだけ鍛えている人が数日とは言え寝たきりだから、大変なんだろうな…。


「マッサージ、」
「あ?」
「しましょうか?」


私の提案に、マッサージ、と、リヴァイさんが小さく呟いた。


「はい。訓練兵時代に、リコちゃんとマッサージしあってたし、足を怪我した後は、救護班の先生にいろいろ教えてもらって、結構うまいんですよ?」
「…………」


その言葉に、ジーッ、と私を見遣ってきたリヴァイさん。


「マッサージなど、やってもらったこともない。」
「え?」
「なんで誰だかわからん奴に体を撫で回されなきゃならねぇんだ?」
「………別に撫で回すわけじゃ、」
「余計体に悪い。」


…あぁ、リヴァイさんだな、と。
潔癖と言うか、神経質と言うか…。
訓練兵時代も、他人にマッサージされたくない、って人、いたよなぁ…。


「でも、」
「あ?」
「私がマッサージするのも、嫌ですか?」
「…………」


リヴァイさんはその言葉に、何かを言いかけるように、数回、口を開けては閉じた。


「上手いんだろうな?」
「はい!ミケさんもゲルガーさんも喜んでましたし。」
「お前、」
「はい?」
「なんでアイツ等にマッサージしてる?」
「え?…班単位の訓練の後に、マッサージする、って流れになって、私もゲルガーさんに肩とか腰とか足とか、揉んでもらいましたけど?」
「…………」


リヴァイさんが無表情に私を見遣った後、大きなシワを眉間に刻んだ。


「リヴァイさん?」
「……何してる、さっさとやれ。」
「え?あ、はい。じゃあうつ伏せになってください。」


その言葉に、リヴァイさんはため息を吐きながらうつ伏せになった。

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bkm

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