キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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New York Case


Wild Drive


私の名前は芳賀あおい。
同級生で探偵(見習い)の工藤新一、彼の幼馴染の毛利蘭と共にロスに向かう途中殺人事件に遭遇した私は、事件を解く彼の邪魔にならないよう、息を潜めていたら、そのまま爆睡!
目が覚めたらアメリカ上空に着てしまっていた…!!


「結局犯人誰だったの?」
「オメー、犯人捕まってない殺人事件あったのによく寝てられたよな」
「それがさー、しばらく電話できないねー、って昨日うっかり快斗くんと長電話しちゃったんだよね!」
「まだ別れてねーのかよ!」
「縁起でもないこと言わないで!!」
「ふぁーあ…。あおい、元気いいねー…」


新一くんに着いて回って一緒に事件を解決しようとしていた蘭は、すっかり目がギンギンになってしまったらしく、飛行機の中でずっと起きていたようで、今すごく眠そうにしていた。


「あおいちゃん、蘭ちゃーん!いらっしゃーい!!」


お出迎えに来てくれたのはやっぱり有希子さんで。


「有希子さーん!お世話になります!」
「あおいちゃん、相変わらずちっちゃくて可愛い!」
「お世話になります」
「蘭ちゃんもますます英理に似て美人さんになってきたわね!」
「うぃーす」
「新ちゃんはもう少し愛想よくしなさい!」


工藤家所有のプライベートジェットなるものでこのままニューヨークへ。
なら最初からニューヨーク合流にすれば良かったと思うなんて、連れてきてもらう人間としては口が裂けても言っちゃいけないことだと思った。
プライベートジェット機に乗ってもまだイマイチ眠れなかった様子の蘭は(ちなみに私と新一くんは安定の二度寝…二度寝?)到着後車に移動する時、ちょっと(だいぶ?)目を擦っていた。


「ちょっと車で寝かせてもらう?」
「んー…そうする、かもふぁーあ…」


その言葉を最後に蘭は眠りの森のお姫様になった。


「ねぇ新一くん」
「んあ?」
「蘭て寝顔も可愛いね」


ううーん、あどけない?って言うのかな…。
でも寝ていても顔が整ってるのがわかる。


「オメーさぁ、あんま寝顔見るのヤメてやれよ…」
「でもさ、可愛い寝顔だなーってついつい見ちゃうよ」
「いやオメー、可愛いかどうかは知らねーけど、寝顔見られて嬉しい奴いなくね?」
「えー?でもさ、可愛いは正義って快斗くんも言ってるし、」
「出たよ」
「快斗くんてだぁれ?」
「あ、有希子さんにはまだ言ってませんでしたっけ?私の…か、彼氏、です!」


自分的には彼氏の後ろにハートをつけて言ったんだけど、


「はぁぁぁ!?!?」


有希子さんにそのハートをぶっ飛ばされた気がした…。


「は!?えっ!?あおいちゃんなに彼氏ってどーいうことっ!?!?」
「ちょ、母さん!運転中なんだから前見ろって!」
「え、ど、どういう、って、彼氏は彼氏、です…?」


有希子聞いてない!みたいな勢いで言う有希子さん。
えっ、これもっと早く言わなきゃマズかったのかな!?
有希子さんが運転席から助手席にいる新一くんを睨みつけたのがわかった。
新一くんがそれを丸っとスルーして、窓の外に目を向けた。
そしてこの騒動でモゾモゾと蘭が動き出して、


「…ん…ちょっとあれっ、て、」
「Statue of Liberty、日本で言う自由の女神だ。まぁニューヨーカーはMiss Libertyって呼んでるみてぇだけど」
「ちょっとどうして起こしてくれなかったのよ!このブルックリンブリッジからのマンハッタンの夜景すごく楽しみにしてたのに!」


ニューヨークの夜景に覚醒したようだった。


「あおいも起こしてくれたらいいのに!もう、だいぶすぎちゃったじゃない!」
「でもほら、ギリ起きれたからセーフ!」
「セーフじゃないわよー!もう、私ほんとに楽しみにしてたのに、」
「飛行機の中でちゃんと寝ないから今頃眠くなっちまうんだよ」
「あんな事件があった後に寝られるわけないでしょ!真相を見抜いて満足して爆睡してた探偵さんと違ってね!」


…私事件の真っ只中でも寝てた!
だって例え事件があっても新一くんがいればきっと大丈夫っていう(謎の)安心感があるからほら…。
これがおじさんだったら寝てられないけどほら…。
新一くんだったら、ねぇ…?
なんて思っていた私を置いて話しは進み、今日はミュージカルを観るぞー!っていう有希子スケジュールのお達しが出た。
…そう、このミュージカルから始まる。
今までも新一くんは事件に遭遇していた。
でもそれは私の知らないもので。
私がはっきりと認識しているニューヨークでの事件。
だからこそ、ここに来て確認したかった。


「7時前だろ?サマータイムになってんだから」
「…あーー!!サマータイムってことすっかり忘れてた!」
「母さんが趣味で買ったこのイギリスのお嬢様じゃとても間に合いはしねぇって!」
「…言ったわね?新一」
「え?」
「あおいちゃん蘭ちゃん、奥歯かみ締めて何かにつかまってて」
「え?」
「ジャガー社が命運をかけて作ったこのジャガーEタイプ。なめないでくれる?」


少しずつ、少しずつ、時が近づいていく。


「だ、大丈夫かよ!?この車先月修理に出してついさっき受け取ったばかりじゃねぇか!」
「ええ!こっちのメカニックに見てもらったら蘇ったわ!246馬力の心臓も、ルマンで優勝した足回りもね!!」
「っおい!…いー加減にしろよ!パトカーがうろついてんだぞっ!?」
「あら平気よ、反対車線だったから!新ちゃん、あおいちゃんと蘭ちゃんで例のヤツやってくんない?この先ちょっと厳しいの。ね?お願い」
「たっく」
「任せてください!」
「ふふっ!あおいちゃん、頼もしいわね」


だってこれはもう、ロスで経験済のことだし!


「な、なぁに?」
「蘭ちょっとこっちにきてくれ」
「え?ええ…」
「蘭は新一くんに捕まってて!大丈夫、怖いのは最初だけだよ!」
「…しっかりつかまってろよっ!」


そう言って車外に身を乗り出して車体の横転を防いだ。


「ね?怖いのは最初だけだったでしょ?」
「そーそ!大したことなかっただろ?」
「どこが大したことなかったのよ!あおいもあおいよ!何考えてるのっ!」


楽しいと思ったのは私と新一くんだけで、この後しばらくこってりと蘭から怒られてしまった…。

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bkm

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