キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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卒業までの過し方


年のはじまり


ふわーっと目を開けると、辺りはもう明るくなっていて。
ボーッとする頭で、あれ?って思って周りを見ると、あぁここ快斗くんちの客間だ、って。
私寝てた?…あれ?昨日どうやって寝た?昨日確か手巻き寿司食べて、空いたお皿片づけて…あれっ!?その後覚えてないよ!?!?えっ!?!?


「あ!あおいちゃん起きた?大丈夫?」


どうなってるのか、って、バタバタとリビングに行くと快斗くんがいて、爽やかに微笑まれた。
…あぁ、もう!朝からマイナスイオン!!


「あ、あのっ、私、昨日の最後の方、覚えてなく、て、」
「あぁ!なんかねー、俺が風呂入ってる間にお袋のグラス間違えて飲んじゃったみたいで、酔いつぶれたんだよ」
「…ェェエエ工」


頭痛いとかない?って快斗くんが聞いてくるけど、そんな頭痛いってもう昨日の自分に頭が痛いよ!!


「わ、私なんか変なことっ、」
「えっ」
「え?」
「………いや、何もなかったんじゃない?」


ニッコリと笑う快斗くん。
………私、絶対なんかやらかした気がする!


「それよりあおいちゃん!」


ヤバい何やらかしたの私って、うぇああってなりかけた時、快斗くんが私の正面に立って両手を広げながらすごく爽やかに


「あけましておめでとう!」


笑っていた。
……私っ!!今年の初言葉を快斗くんとしたっ!!!
今年良い年になりそうっ!!!!


「あ、あけましておめでとうございます!」


快斗くんはそう言った私の腕を引っ張って、


「今年もよろしくな」


ほっぺにチュッ、てした。
…ほっぺにちゅう!?!?


「だ、」
「うん?」
「だめェェエエ工!!!!」


腕を引っ張られたことで近づいた身体を、両手を使って思いっきり離した。


「私まだ顔洗ってないどころか、なんなら昨日お風呂入ってないから近くに来ちゃだめぇ!!」


私の言葉に快斗くんは、ふはっ、と笑った。


「なら風呂入ってくる?どーせお袋もまだ起きねーし!」
「…うん。そーする…」


快斗くんのお言葉に甘えて、お風呂に入らせてもらうことにした。
…私もう、どうなんだろう…。
快斗くんちにお泊りはそりゃあ初めてじゃないとはいえ、まだ2回目なのに記憶を失くすほどお酒飲んだくれて寝ちゃうとかもうサイアクじゃん。
しかもそれしたの大晦日っていう1年の締めの日でさ、今年もいろいろあったねーとか快斗くんとお話しながら年越ししたかったのにお話どころか夢の中ですら快斗くん出てこなかった(正確には覚えてないけど!)
快斗くんの彼女として初めての年越しなのにサイアクだ…。


「あおいちゃん、おはよう!二日酔いとかない?」


うえーん、てなりつつもあまり待たせるわけにもいかないしって、お風呂を済ませ諸々の支度も済ませてリビングに行った頃にはお母さんも起きていて。


「あ、あのっ、私昨日のこと覚えてないんですがっ、変なことしたり言ったりしたんじゃ、」
「…可愛かったから大丈夫よー!」


ニッコリ、と笑うお母さん。
…これ絶対なんかやらかしたじゃん!!
もうやだ、もうサイアク!
快斗くんにもお母さんにもヤバい奴って思われたんだ…!


「ではでは、改めて。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


お母さんの言葉に、私と快斗くんも改めて挨拶しておせち料理をつついた。
今年の煮豆は私とお母さん制作のものだけど、私が介入するとちょっと味が変わった気がするから料理って難しいと思った。


「私これから友達と初詣に行くけど、あなたたちはどうするの?」
「あー…まぁ適当に家で過ごして駅まで送ってくけど」
「そう?あおいちゃんなんならもう1泊してく?」


お母さんの提案に、


「いえっ!帰ります…!」


昨日のことがあるし、強い意思を持って帰宅することを伝えた。
そしてお母さんが出かけて快斗くんと2人、リビングのソファに座ってテレビを見てた。
そういえば去年(もう一昨年?)もここで過ごしたよな、って。
あの時快斗くんにくっついて寝ちゃったんだよな、って。
いろいろ思い出した。
前はそんな快斗くんと「くっついて」なんて考えられなかったけど。
で、でもさ、今は私、くっついてもおかしくない、し…!
だって彼女だし…!!
昨日やらかしてしまったみたいだからちょっと怪しくなるかもしれないけど、でもなら怪しくなる前にもっとくっついていたい、とか。


「うん?どーした?」


そんなちょっと、ヨコシマなことを思って、快斗くんに少し、近づいた。


「お、」
「お?」
「お風呂、入った、し、」
「…」
「か、顔も、洗った、し?」


みんなこういう時どうしてるんだろう。
さっきみたいにちゅうして!とか、言えたらいいんだけどそんなの絶対無理なわけでだってそんな恥ずかしいこと言って、え、肉食…とか思われても嫌だし、そんなんじゃないし、でもやっぱり一緒にいたらちょっとはだってそう思っても


「今年もよろしくな」


ソファの上で膝を抱えてた私の意図を汲み取ってくれた快斗くんが、もう1度ほっぺにチュッて、してくれた。


「よ、よろしくお願い、します」
「…うん」


顔を上げた私の目には、快斗くんだけが映っていて。
快斗くんの目にも私だけが映っていることが嬉しくて。
しばらくの間、ちゅっちゅっ、って、快斗くんのクチビルを感じていた。

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bkm

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