キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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変わる今


志望校決定


「なぁ、青子」
「なにー?」
「俺気づいちまったんだけどさ、」
「うん?」
「可愛いって、罪だよな」


あおいちゃんと無事つきあうことになった翌々日の学校。


「どうした、快斗?頭打った?」
「打ってねーよ!!」


昨日は友達と遊ぶって言ってたし(工藤新一ではないことは確認済)連絡あんましねー方がいいと思っていたら夜になって、ちょっとお話したいです、なんて可愛いメール着たもんだから平静装って電話したら、今日会った友達に早速言ったらおめでとうって言われたんだけどちょっと照れちゃうよねー、なんて聞かされた俺が照れちゃうしなんでそんな可愛い報告してくるんだよって


「快斗、聞いてる?」
「あ?なにが?」


いつの間にか青子が俺の目の前の席に座り、プリントを指差しながらこちらを見ていた。


「だから進路調査!志望校、江古田高でしょ?って聞いてるの!」


そーいやそろそろ最終決定させろって言ってたな。


「俺、」
「うん」
「帝丹にしようかなっていってぇな!!何すんだよ!?」


俺が口にした言葉に青子がグーパンしてきた。


「青子、おばさんから『うちのバカ息子が万が一にも女の子追っかけて高校決めようとしたら殴ってでも止めて』って言われてるの」


そう言って目の前でファイティングポーズを取る青子。
…あのクソババァ!!


「あのねー、快斗。快斗が帝丹でやりたいことあるなら止めないけど、あおいちゃんに合わせて帝丹にするっていうなら青子も止めるよ」
「なんでだよ!?」
「だってそんな男嫌だもん、カッコ悪い」


青子とはなんでも言い合える。
同性の友達と話してるような感覚になる女。
だから日頃からポンポン言い合ってるが、コイツの口から「カッコ悪い」とはっきりと言われるのは稀だ。


「別に俺は」
「女に振り回されてカッコ悪いし、何より愛が重い」


今日の青子は鋭利なナイフだ。
やたらと鋭角に痛いとこ突いてくる。


「快斗も冷静に考えなよ?」
「何が」
「普通に考えて怖いからね?つきあってもない男が志望校変えて自分と同じとこに来るの!」
「あ」
「え?」
「言ってなかったけど、つきあうことになったんだ俺たち」
「…ェェエエ工!?」


俺の言葉に心底驚いた顔した青子に、勝ったような気になった。


「なにそれ!青子初耳!!」
「いーだろー!オメーもせいぜいイケメン彼氏作れよ」
「は?何調子乗ってんの?今まで黙ってやってたけど、青子知ってるんだからね!快斗のケータイ、あおいちゃんが待ち受けだ、って!」
「んなっ!?オメーいつ見たんだよっ!!」
「さぁ?いつでしょうねー。でもあおいちゃんが知ったらどう思うかなー。つきあう前からでしょ?待ち受けにしてたの!」
「お、まえ…!」
「嫌われないといいねー、愛が重い、って!」


ベーっと舌を出して去って行った青子。
別に重いとか重くないとかじゃなくて、せっかくなら近くにいたいと思うし、なら放課後デートとか、それこそ修学旅行とか?一緒に行けるとか思うとなー。


「あおいちゃんは内部進学で決定なんだよな?」


夜電話した時に、改めて進路について聞いたら、


「うん、そうだよ。快斗くんは江古田高だよね?」


断定系で返事が来てしまった…。


「んー、まぁそうなんだけどさー」
「うん?」
「だってどーせなら同じ学校に行きてぇなーとか思うじゃん?」


まぁ冷静に考えて毎日電車乗って通えるか、って言ったら微妙だし、やっぱり江古田高なんだけどな。


「な、なん、か、」
「うん?」
「今のすっごい、か、彼氏っぽい、よね」


あーあー、なんて思ってた俺にあおいちゃんがちょっと照れちゃうね、なんて言ってくる。
……こういうところだっ!!!


「俺、帝丹にしようか?」
「えっ!?」
「まぁ受験もなんとかなるだろ」
「い、いやいやいやいや」
「毎朝電車で通うのがちょっとネックだけど」
「だ、ダメだって!!」


あおいちゃんが珍しく声を大きくした。


「ほ、ほら、お母さんが言ってたよ?快斗くん朝弱いって。そりゃあ同じ学校もいいなー、って思うけど、絶対通うの大変で嫌になっちゃうよ。それに快斗くん頭がいいって言ってもやっぱり今から志望校変えて勉強するのは大変だと思うし、それにそれに」


珍しく捲し立てるように言うあおいちゃんに、昼間の青子の言葉が蘇ってきた。
女に振り回されてカッコ悪いし、愛が重い、ってやつが…。


「まぁ、俺あんま朝強くねーから電車通学無理なんだけどな」
「で、でしょー?だから近くの方がいいよ」


あからさまとまではいかなくとも、ホッとした(と感じた)ようなあおいちゃんに少し頭が冷静になった気がした。

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bkm

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