■一年の計は
10、9、8、
今年は本当にいろいろあった。
きっと私の人生で忘れられない年トップ3に入ると思う!(ちなみに1番忘れられない年はこの世界に来た去年だと思う!)
7、6、5、
だって快斗くんと知り合えて友達になれたんだもん!
4、3、2、
しかも大晦日にお泊まりまでさせてもらえるくらい仲良くしてもらえてるなんて、私すっごいラッキーじゃない!?
1、0
「「「あけましておめでとうございます!」」」
テレビから聞こえるカウントダウンの声が0と言った瞬間、快斗くんと快斗くんのお母さんと挨拶を交わした。
快斗くんのお母さんから、今年「は」よろしくね、と言われたのがちょっと嬉しかった。
「あれっ?どうしたの?」
無事年も越して挨拶もしたし、一旦寝るか、って話しになって私用にって言われた客間に行ったはいいけど、ちょっとソワソワしちゃって眠れないからお水でももらおうかと思ってキッチンに行く途中、廊下でトイレ帰りの快斗くんに会った。
「ち、ちょっと眠れないから、お水でももらおうかと思って、」
「眠れない?なんで?」
そんななんで眠れないかなんて、同じ屋根の下に快斗くんがいるかと思うとソワソワしちゃうからです、なんて言えるわけもなく。
「う、うーん…、初めての場所だからどうしていいかわからないから、かな…?」
当たり障りなく答えた。
「じゃあ少し話してく?俺もどーせすぐ寝ねぇし!」
そう言ってリビングを指差した快斗くんに大きく頷いた。
「今日は本当にありがとう。すごく楽しかった!すき焼きも美味しかったし!」
ホットミルクを用意してくれた快斗くんと隣同士でソファに座った。
「緊張することもなかっただろ?うちの親!」
「う、うん…!快斗くんとはあんまり似てないけど、優しくて綺麗なお母さんだね」
快斗くんが持ってきれくれたホットミルクは温かくて心も体もぽかぽかだ。
それから取り止めない話しをしていた。
去年出逢ってからのこと。
出逢う前のこと。
弓道のこと。
学校のこと。
そして、快斗くんがやっと青子のことも話してくれた。
昔から知ってる「女友達」っていうより「男友達」みたいな奴って言い方をして。
その違いがわかるような、わからないような…。
その後もずっと2人で話していた。
…はずなんだけど。
「あらあらー?こんなところで仲良さそうに何してるのかしらー?」
「ふぇ?」
「…んー、るせぇなぁ」
いつの間にか寝てしまっていたらしい私は、これまたいつの間にか寝てしまっていたらしい快斗くんに寄りかかっていて。
目を開けたら、快斗くんの体が目の前に広がっていた。
「ひぃぃ!!?」
「うげっ!?」
ソファに座ったまま快斗くんの胸辺りに私の頭が来ていて、その私の頭の上に快斗くんの頭が来ているっていう姿勢で目が覚めた私は条件反射で快斗くんから飛び退いた(しかも快斗くんのミゾオチを思いっきり押した)
「大丈夫?あおいちゃん、うちのバカ息子に変なことされなかった?」
快斗くんのお母さんが心配そうに見てきたけど、そんなまず今の状況がわからなくてむしろ私が変なことしなかったかの心配があるんですがっ!?
「自分の息子をろくでなしみたいに言うなよな…」
ケホッと咳をしながら快斗くんが言った。
…昨日!(もしかして今日!?)最後の方覚えてない…!
え、なんで快斗くんと一緒に寝てたのなんでなんであの体制だったのなんでなんでなんで
「さぁ、今日もどんどん食べて!」
うわぁぁってなっていたら、すっかりテーブルの上におせち料理が並べられていて。
わぁ、美味しそう!って早速箸をつけさせてもらった。
「これ美味しい!うちのお母さんと同じ味だ!」
快斗くんのお母さんが用意してくれたおせち料理は、手作り半分、購入半分だそうで(うかつに買うと魚があるからほら…)
こっちは私が作った物、って出された中にあった煮豆の絶妙な味付がうちのお母さんの味付と同じだった。
「良かったら作り方教えてあげましょうか?」
「本当ですか!?知りたいです!」
甘過ぎずしょっぱ過ぎずの絶妙な煮豆は、私の中ではお正月料理と言ったらコレ!って言えるくらい好きな物だったから、快斗くんのお母さんからの提案はすごく嬉しかった。
「いろいろありがとうございました!」
おせち料理もたらふく食べさせてもらって、遅くなる前に帰ろうとした時。
お母さんに向かって深々と頭を下げた。
「こちらこそ、楽しかったわ!またいつでも来てね」
「はい!ありがとうございます!」
快斗くんのお母さんにお見送りされ黒羽家を出た(快斗くんはナチュラルに駅までお見送りしてくれるらしい)
「じゃあ気をつけて」
「うん!…本当にありがとう!」
「また明日な!」
快斗くんは自然に「また明日な」って言った。
今年は快斗くんとの「また明日」が日常になりますように。
そう思いながら江古田を後にした。
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bkm