キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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年末年始の過ごし方


イブの過ごし方


「は?オメー今年こっち残んの?」


とりあえず年末年始っていうか、冬休みはずっと快斗くんとうちで過ごす、ってまとまってから数日後。
工藤くんから今年もロス行くんだろーくらいなお誘いを受けた。


「う、うん。今年はき、弓道部関係の人と過ごす、かな」


嘘は吐いてない。
決して嘘は吐いてないけど、なんだか心がちょっと痛い…。


「あー…過ごす奴いんならいーや。じゃあ母さんにそう伝えとく」
「ご、ごめんね。せっかく誘ってくれたのに」


そう言った私に、工藤くんは気にするなとでもいうように手をヒラヒラさせて去っていった。
…すごく胸が痛い!
やっぱり工藤くんに言う?
いやでもまだ言うほどの関係でもないし…。
なんてモヤモヤぐるぐる考えていたらあっという間に期末テストも終わり、もうすぐ冬休み!って日。


「あおい、ちゃんと用意したの?」


園子の最終確認とでも言うようにトイレに拉致られた。
ちなみに前回も思ったけど、蘭はどーしたの?って聞いたら、3人でずっと消えたら工藤くんが怪しむから蘭は工藤くんのお守り!って言われた。
…さすが園子。
工藤くんの恐ろしさを理解してる…!


「う、うん。一応、」
「何用意したの?」
「ほ、ほら、弓道で全国2位ってくらいの人だから、部活で使えるようにタオルを」
「タオルか…。まぁ、悪くないわね」


目の前の園子から及第点をもらえて、ちょっとホッとした。


「ケーキは?」
「それなんだけど、やっぱりそういうつもりで会うわけじゃないのにケーキまで用意するのはどうかと思って、」
「そんなこったろーと思ったのよね!」


ニヤッと笑った園子が、何やらチケットを出してきた。


「…何これ?」
「鈴木財閥が経営するホテルのクリスマスケーキバイキングの招待券!」
「えっ!?!?」


チケットにはベルツリーホテルで開催されるイブの日のケーキバイキングお昼の部ご招待と書かれていた。


「なっ、なんでっ!?」
「あんたが私が誘ったクリスマスパーティに来ないからでしょ!」


園子主催、帝丹中学2-B会費1000円(会費なんていらないって言う園子に蘭がそういうのはダメ!って言ってのこの額になった)のクリスマスパーティには快斗くんとのことがあって欠席することにした私(ちなみに工藤くんはロスに行くから欠席)
なんでもそこで鈴木財閥選りすぐりの料理が提供されるらしく(会費以上の料理提供だと思う)不参加の私を不憫に思ったらしい園子父が(たぶん親がいない身の上プラスで金銭的に参加できないとでも思われた気する…)ならケーキバイキングのチケットあげたら?って言ったようで。
え?ならクリスマスに強制的に予約入れればよくね?って園子は思ったらしく。


「そ、園子っ…!」
「褒めてくれてもいいのよ?この園子様を!」
「園子様すてき!!嬉しい!!ありがとう!!」
「おーっほっほっほっ!!!」


すっかりノリノリな園子様と私はトイレの中で抱き合っていた。


「ここまでお膳立てしてやったんだから、上手くやんなさいよ!」


ニシシと園子は笑う。
…上手くやれるか、は、わからない。けど。


「あ、あのね、快斗くん。クリスマスイブなんだけど、」


でも私に気を遣ってくれた園子の優しさに答えなきゃ、ってその日の夜快斗くんに電話した。


「ベルツリーホテルのケーキバイキングってめちゃくちゃ混む奴じゃん!」
「そうなんだ…。友達のお父さん?の、ホテルなのかな…?その招待券なのね」
「財閥の友達いんの!?あおいちゃんすげーな」


私の言葉に快斗くんは驚いていた。
…鈴木財閥そんなにすごいんだ…。
知ってたけど、快斗くんがここまで言うってほんとにすごいお金持ちなんだな、園子…。


「そ、それで行く?ケーキバイキング」
「行く!それ絶対ぇ美味いじゃん!」
「だよね!良かった」
「俺も良かったよ。あおいちゃんにプレゼント用意したけど、掃除するのに渡すのもどーかと思ってたから」


はははーって笑う快斗くんに、今日も心臓を銃弾で撃ち抜かれた気がした。


「わ、私も!」
「うん?」
「快斗くん、に、プレゼント用意した、よ…」
「マジで?ちょー楽しみ!」


笑う快斗くんにドキドキしながら、イブの予定が確定した。

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bkm

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