キミのおこした奇跡ーAnother Blue


≫Clap ≫Top

突撃お家訪問!


お家訪問!(する方)


「ではでは!第一回黒羽快斗のお料理教室ー!」
「ふーっ!」


快斗くんちに着いて、手を離されたことで正気に戻った私(ここが!快斗くんち!!ってなってたからある意味正気か怪しいかもしれない)
そんな大興奮を抑えるためにもちょっと一息ついてから、本日のメイン、カレー作りに入ることになった。
快斗くんがお料理番組のスタートみたいなノリで言うから思わず拍手しながら歓声をあげた。


「ははっ!あおいちゃんはノリいいねー!」


私の歓声が嬉しかったのか、快斗くんは笑顔で言った。
ちなみにエプロンどうする?俺しない派って言われたけど、そんな快斗くんに料理してた時の服に飛び散った何かを見せながらご飯食べる勇気がなかったから、私は家から持ってきたエプロンをつけると言ってエプロンを装着をした。


「今日はバターチキンカレーを作ります」
「えっ!?」
「え?」
「普通のカレーじゃないの!?」
「え、普通のバターチキンカレーだけど?」


何か問題でも?って顔をしてる快斗くん。
…だって!カレー作りって言ったら!!オーソドックスなカレーだと思うじゃん!!!
なんでバターチキンカレーなの!?
私作ったことないよっ!?!?


「あ、もしかしてバターチキンカレー作るの初めて?」


私の表情で何かを読み取ったらしい快斗くんは、簡単だから大丈夫って言って材料を出してきた。
…ど、どどどどどどうしよう…!
まさかだってそんなバターチキンカレーだなんて思いもしなかったから、作り方ぜんっぜんわからないんだけどっ!!!
えっ、コイツ独り暮らしだよね?なんでカレーも作れねーの?とか思われないっ!?
ねぇ、私大丈夫!?!?
このままここにいていいのっ!?!?!?


「あおいちゃん」
「う、にゅ」


うえあーってなってた時に、隣に立っていた快斗くんに名前を呼ばれて。
返事しながら振り向いたら、快斗くんが私のほっぺに人差し指をぷにって突き立ててきて。
うん、て返事をしようとしたけど、その人差し指が邪魔して変な声になった。


「…」
「…」


快斗くんはしばらく人差し指を私のほっぺに突き刺したまま立っていて。
私もどうしていいかわからなくて、黙って突き刺されてたから無言の空間が黒羽家を包んだ。


「ふはっ!」


と、思ったら快斗くんがすごく柔らかく笑った。


「失敗したらどーしよー、とか、上手く作れなかったらヤバいー、とか?もしそんなん思ってんだったら、心配しなくていいぜ?例え失敗したとしても、俺が全部食うからさ」


だから作ろう、と快斗くんが包丁を取り出した。
……もうだめっ!


「これさー、俺の手に合わせてるからあおいちゃんにはちょっと大きいかも、って、だからなんで泣いてんのっ!?」


そもそもさっき、て、手を繋いじゃったり?しちゃったから、快斗くんにそんなつもり全くなかったとしても、私はその段階ですでにキャパオーバー寸前だったわけで。
しかも今日は初快斗くんち!
そんなのお邪魔しますって言っちゃった段階でキャパ超えカウントダウンだったわけで。
なのに快斗くん、もし私が料理失敗しても「俺が全部食う」なんてそんなの


「だって失敗したらボロクソ言われたんだもん!!」
「……………」


泣いちゃうじゃんかっ!!
クソまずいだなんだとボロクソ言われ続けてたのに、俺が全部食うなんて快斗くん優しすぎる!
工藤くん!!
見習ってっ!!
快斗くんをっ!!!
見習ってぇぇっ!!!!


「俺だって前は失敗してたし。料理出来ねぇくらいじゃ別に何も言わねーよ」


だから泣くなって、って快斗くんが頭を撫でてくれる。
私より大きい手で。


「私、快斗くんと友達になれて良かった」


優作さんも、頭を撫でてくれる。
でもやっぱり、優作さんの手とは違う。
優作さんと同じように温かい。
優作さんと同じように優しい。
でも…。
優作さんには思うことない、ドキドキが快斗くんにはある。


「俺もあおいちゃんと仲良くなれて良かったよ」


私が泣き止むまでの少しの間、快斗くんはずっと頭を撫でてくれていた。

.

prev next


bkm

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -