キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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突撃お家訪問!


初江古田


快斗くんの提案でお家で作ったご飯を食べるってことになったんだけど、じゃあいつ?って聞いたら夏休み最終日にしよ、って言われた。
それって明後日じゃん!て言ったら、だって学校始まってからだと時間合わせるの大変かもしれないじゃん、て言われた。
確かに言われてみるとそんな気もしたから、じゃあ最終日に、ってなったんだけど。


「どーする?俺んちでもいいし、あおいちゃんちでもいいし!」
「わ、私っ!」
「うん?」
「江古田に行ってみたい…!」
「…おっけー!じゃあ俺んちで作ろっか」


私、江古田(というよりも快斗くんち)に行ってみたい!なんてうっかり口走らなかった自分を褒め称えたい。
じゃあ米花駅からはこの路線の電車に乗ってもらってー、と快斗くんは細かく指示をくれた。


「それで何作るの?」
「そーだなー…、じゃあ、カレーは?」


料理がちょっとアレです、って自己申告したのは私。
でも1番最初のメニューとして快斗くんから提案されたのは、たぶん小学生が調理実習で作る、1番オーソドックスな料理で。
あ…、私完全に料理ダメだと思われたんだ…、って、口にはしてないけど快斗くんの思惑が垣間見えちゃってちょっぴり切なくなった。
そして快斗くんちに行く当日。
ちなみに昨日はカレーおさらいってことで自分でもひっそりカレーを作ってみた。
工藤くんに、は?オメーこのクソ暑ぃ中カレーかよって言われたけど、カレー自体への文句はなかったからきっとそれなりに、だったと思う。
だから大丈夫…!


「…」


ガタンゴトンと電車は揺れる。
快斗くんに会うためにあてもなく彷徨うのはさすがにどうかと思ってたから、今日初めて江古田に行くって言うのは、快斗くんと会う!って言うのとはまた違ったドキドキがあった。


「…うわぁ…」


江古田駅に近づくにつれて、だんだん人が増えてきたからそんな気してたけど、なかなか人口密度の高い駅だった。
確か待ち合わせの改札は、とキョロキョロしてたらあっ!という間に人の波に飲まれてしまい、場所がよくわからないまま改札を出ていた。


「はいはーい。あおいちゃん、着いた?」


これ迷子フラグだって思った私はすぐに快斗くんに電話することにした。


「な、なんか人に押されて改札出ちゃったんだけど、」
「マジで?今何が見える?」
「え、えーっと、カフェとドラッグストアと、立ち食い?のお店と、」
「あー、そっちね!おっけ!すぐ行くからそこ動かないで」


通話を終了させて、快斗くんが来るまでの間キョロキョロと辺りを見回していたら、鏡のようになっている柱を見つけた。
家を出る前に確認したけど、さっき人の波に飲まれちゃったし、もう一度身だしなみチェックしとこう。
鏡のようになっている柱の前に来て、髪型チェックして、


「あ!いたいた!あおいちゃ」


服も大丈夫かどうか、柱の前でゆっくりフワリと身体を一周回して、もう1度正面もしっかり見て。
正面はもちろん、ちゃんと背中まで大丈夫かチェックした。
…うん!大丈夫!
って思った時、


「快斗くん?」


柱の近くで両手で顔を覆って蹲ってる快斗くんらしき人を見つけた。


「どうし」
「優勝ー!」


近づいて声をかけたら、快斗くんは立ち上がって親指立てながらそう言った。
…なにが???
って思ったけど優勝と言われたからとりあえず、


「い、いえーい…?」


快斗くんにピースして言ってみた。
その私の反応に快斗くんは一瞬目を大きくしたけど、すぐに笑顔になって、


「ようこそ、あおいちゃん!」


そう言ってくれた。


「人が多くてびっくりしたよ!」
「米花駅とあんま変わんなくね?」
「そうかなー?あんなに人に押されるなんて思わなかった!迷子になるかと思ったもん!」


そう言った私に、


「んじゃあ、迷子にならないように手繋いでよっか」


にっこり、快斗くんは笑って言った。
…………………えっ!?!?


「ほら!俺んちこっち!」
「わっ!?」


快斗くんは躊躇うことなく、驚いている私の右手を取って歩き出した。
…ひーーーーっ!!!
今っ!!快斗くんとっ!!!手っ、手ェェエエ工!?!?!?


「必要なのはもう買ってあっから、そのままうち行こうぜ」


快斗くんの突然の行動に、繋いだ右手を凝視して他のことが考えられなくなってる私に快斗くんがチョロっと何かを喋ってきたけど、そのまま快斗くんちまで無言で歩き続けた。

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bkm

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