キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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突撃お家訪問!


帰国後の急展開


射撃やセスナの操縦(地面から離れることは許されなかったけど!)までさせてもらったハワイ☆バケーションが終わり、工藤くんと米花町に戻ってきた。


「オメー、ほんとに宿題全部終わってんのか?」


ガラガラとスーツケースを引いてる時に工藤くんが尋ねてきた。


「大丈夫、大丈夫。今年の勉強合宿は夏休みの最初じゃなかったから宿題滞ってる人間もいるだろー、って合宿でちょっと見てもらえたから!」
「そりゃ良かったな」


勉強合宿も良いとこあるじゃん!なんて思っていた。


「メシどーする?なんか買って食うか?」
「あ、あー…疲れたから、帰って寝ようかなー」
「まぁ、そりゃそうか」


米花駅からは工藤くんちの方が近いんだけど、わざわざマンションの方まで回り込んで私を送り届けた後、俺も寝よーって言って工藤くんは去って行った。
工藤くんが角を曲がるのを見届けてから、ケータイを取り出した。


from:黒羽快斗
sub:無題
本文:うち着いた?


全然悪いことなんてしてないんだから、もっと堂々としていればいいんだと思う。
でもなんか…、気分的に…、なんかすごく…、工藤くんの前で黒羽くんの存在を勘づかせるようなことしてはいけないという気分に襲われている(現在進行形)
ハワイ帰りで工藤くんだって疲れているはずなのに、わざわざうちの方まで回り込んで送ってくれた人に対して物凄い罪悪感があるんだけど、私の吐いてしまった嘘のせいで本当に毎日連絡をくれる人を前にしたら勝者・黒羽快斗!みたいになるわけで…。
そう思ったらなんて言うかちょっとこう…ねぇ…?


to:黒羽快斗
sub:ただいまー!
本文:今マンションに着いたよー!


先に黒羽くんにメールを送って、それからマンションの中に入ってエレベーターに乗って、やっと家の扉の前まで来た!ってところで、


ピリリリリ


ケータイが鳴り響いた。


「は、はい?」
「あおいちゃん、おっかえりー!」


耳元で聞こえる爽やかオーラ全開な快斗くんの声に思わず口元が緩んだ気がした。
ドアを開けて自宅に入りつつ、快斗くんとお話しする。


「た、ただいま!」
「楽しかった?」
「うん!射撃にセスナの操縦もちょっぴりさせてもらったの!」
「ほんと帝丹のお金持ちすげーな」


快斗くんのお家の懐事情はわからないけど、快斗くんのお父さんが世界的に有名なマジシャンだったし(しかも大怪盗!)快斗くんちだって決して貧乏だとか、そういうわけじゃないと思う。
…ただでも、工藤家がちょっと桁が違うって言うか…。
いや、でも鈴木家なんてさらにその上を行くからやっぱり「帝丹のお金持ちすげー」になるんだろうな…。
私うっかりこの世界に来なかったらきっと一生関わり合うことなかった人たちだと思うもん…。


「快斗くんにお土産買ってきたよ」
「マジで?サンキュー。じゃあいつ会う?」


すっごくナチュラルゥに快斗くんが会う日を聞いてくる。
…もうっ!私!!
本当に快斗くんにとっての安定お友達ボジションに着けたと思うのっ!!!


「快斗くんはいつが都合いいの?」
「俺はいつでもいいんだけどさー、あおいちゃん時差ボケでしばらく家から出れなくね?」


海外旅行あるあるな時差ボケ。
例に漏れず毎回の如くそれに陥る私(工藤くんには時差がなくてもボケてるって失礼なこと言われたけどっ!)
そこを見事に察知した快斗くん。


「だ、大丈夫じゃないかなー…たぶん…きっと…恐らく…」
「それ絶対大丈夫じゃない奴だな」


ははっ、と快斗くんは笑った。
…もうさ、時差ボケにならないように誰かが早急に薬か何かを作ればいいと思う!!


「あおいちゃん、メシどーすんの?」
「え?メシ?」
「うん。時差ボケで家から出れなくなったとして、なんか食う奴買い置きしてんの?」
「…………えっ!?」


慌てて冷蔵庫のドアを開けるけど、何もない…。
そう言えば出発前に腐ると悪いって、冷蔵庫内綺麗にした気がする…。


「か、」
「うん?」
「…カップラーメンが、2つ…」


何故2つなのか、って。
そんなのいつでも工藤くんの襲撃にあってもいいように、1つは工藤くんにサッと出せる用カップラーメンだからだ。
私のその言葉に快斗くんがぶふっと吹き出したのがわかった。


「おっけー、じゃあ明日、テキトーに買い出ししてそっち届けに行くわ」
「………えっ!?!?!?」


快斗くんの言葉に空耳でも聞いたんじゃないかって思った。
…「そっち届けに行く」?
そっちってどっち!?こっち!?!?


「えっ、いや、あ、あのっ」
「この前マンション教えてもらって、俺こう見えて記憶力最強に良いから道覚えてるしな」


大丈夫、大丈夫、と言う快斗くん。
…私が大丈夫じゃないんだけどっ!?!?!?
来るの!?
ここにっ!!??
この部屋に快斗くんがっ!?!?!?!?


「あおいちゃん嫌いな食べ物とかある?」
「えっ!?…い、いや、ない、けど?」
「おっけーおっけー!まぁ何持ってくかは俺にお任せってことで!」


んじゃあ明日な、って快斗くんは通話を終わらせた。
…はっ!?
快斗くん本当にここに来るのっ!?!?!?


「こ、こうしちゃいられない…!!」


勉強合宿の後すぐハワイに行って。
しかも遊びまくらせてもらって。
今やっと家に帰ってきて、本当はもうシャワー浴びて爆睡したい。
…でもそんなこと言われたら今から大掃除するに決まってるじゃんっ!!!!!
そう思った私は荷解きをしつつ、念入りな部屋の片付け、掃除に取り掛かり、全てが納得行くまで終わった頃にはすっかり夜も明けていた。

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bkm

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