キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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3度目の年末年始


フェチ


元旦のお昼もすっかり回ってから帰ってきたお母さんのそれはそれは温かい目に見送られ、黒羽家を後にした私。
と、言っても、翌日以降も快斗くんは米花町に来てくれたわけで。


「あおいちゃん、可愛い」
「んっ…」


ほら今寒いじゃん。
ちょっとくっついちゃうじゃん。
そしたら盛り上がっちゃうじゃーん。
そんなことして過ごしていたら気がついた。
快斗くんはやたらと私の身体をちゅっちゅっしてくる。
おっぱいとかさ、お、お尻とかさ?
そういうところはわかる。
じゃなくて、脇の下だったり、足の裏だったりもやたらとちゅっちゅっしてくる。
なんでなんでなんで。


「なんで、ってそりゃあ」
「そりゃあ?」
「あおいちゃんの身体で、俺がキスしてないとこあるの嫌だから」


…これがプロ!
そんなキスしてないとこなんてあって当たり前だと思うけど、プロにとっては違うらしい。
でもそれってイコール、快斗くんの独占欲というか、そういうのの表れな気もしなくもなく。
そういえば快斗くんて、新一くんに嫉妬してたし、実は案外独占欲強い人なのかもとか。
そんなことちょっぴり思った。
そんな日々もあっという間に終わりを告げ、今日から新学期。
…さすがに。
さすがにこれは報告案件だけど、学校で言うのもどうかと思った私は、放課後に緊急園子会議を開催してもらうことにした(メンバーは私、園子、蘭)


「あ、あのね、実は…」


マクドナルド米花駅前店2階でちょっと耳貸してと、ゴニョゴニョ話したところ、


「「っ!!」」


2人とも声にならない声を上げた。


「どーだった!?痛かった!?」
「痛、い、といえば痛かったけど、」
「けど!?」
「それがね、大きい声じゃ言えないけど、快斗くんたぶんプロなの」


私の言葉に、


「プロって何の…」
「どういうこと!?」


蘭は苦笑いして、園子はもっと詳しく!って言ってきた。
こういうのほんとは恥ずかしいんだけど、ふんわりとだけど、こうだったんだ、と話したら、


「あの尻フェチそんなテクあんの!?」


園子がそう言った。


「え?尻、えっ?」
「……………なんで園子そんなこと知ってるの?」


戸惑う蘭と、問う私に、


「中道入れて話してた時にそー言ってたのよ」


園子はそう言った。
そっか、園子と快斗くん仲良いって思ってたけど、中道くん入れてそんな話しまでしてたんだ…。
そりゃあ園子、快斗くんが白好きそうとか信頼できるとか言うよなぁなんて思った。


「あ、快斗くんほんとにちゃんとコンドーム用意してたよ」
「うん?」


一応そこだけは園子に伝えておこうと思って言ったけど、あの日園子は「今日会ったこと忘れるから」って言ってたからか、特に何も言ってこなかったのはさすがだと思った。


「好きだよ、あおいちゃん」
「…っ…」


そして週末。
うちに遊びに来てた快斗くんとくっついてたら、またちょっとにゃーにゃーする流れになってきて。
快斗くんの手がむにゅって私の左のおっぱいを掴んだ時、


「そ、そういえば、」
「んー?」
「快斗くん、て、お、お尻、好きなの?」
「………………」


この前園子に言われたことを尋ねてみた。


「なんでそう思ったのか聞いてい?」


私のおっぱいから手を離して、快斗くんが聞いてきた。


「なんで、って、」
「なんでって?」
「園子が言ってたから?」
「……………」


チラッと快斗くんを見たら、にっこり笑いながら私を見ていた。


「園子ちゃん、なんて言ってたの?」
「え?なんてって言うか、し、尻フェチ?」


そこまで言うと快斗くんは頭を抱えた。


「快斗くん?」
「それさー、中道が勝手に言ったことだから」
「え?」
「それを園子ちゃん鵜呑みにしてるだけ!」


俺別に尻フェチでもねーよ、と快斗くんが言う。


「ほ、ほんと?」
「え?」
「お、お尻、好き、とかじゃない?」


私の言葉に快斗くんは直ぐに返事をしてくれなくて。


「あ!べ、別に、お尻好きでもいいんだけど!」
「え?いや、だから俺は、」
「いい、ん、だけど、さ」
「…うん?」


ちょっと小声になってきた私の頭を、快斗くんは優しく撫ではじめた。


「…快斗くんがお尻好きでもいいんだけどさ、」
「うん」
「わ、私ほら、胸はちょっと大きめだから、さ、触り心地とか?自信ちょっとある、けど、お尻はどうだろ、って、」
「……」
「じ、自分でそんな意識したことないけど、あんまり触り心地、大きさとか?よくないような気もしなくもなくて、」
「……」
「快斗くんどうなのかなー、ってちょっと気になっちゃったっていうか、」


そこまで言ったら快斗くんは私の耳たぶをぷにぷにと触りながら大きな大きなため息を1つ吐いた。


「俺はさー、」


そして徐に口を開く。


「ぶっちゃけ胸も尻もデカかろうが小さかろうがどっちでもいーんだ」
「え?」
「別に胸や尻であおいちゃん好きになったわけじゃねーし、それ目当てであおいちゃんに触ってるわけでもねーし」


わかる?と聞いてくる快斗くん。


「あおいちゃんがあおいちゃんなら、胸や尻がデカかろうが小さかろうが気にしてねーよ」


真っ直ぐに私を見て、快斗くんはそう言う。


「むしろあおいちゃんにそんなこと気にしてる男だと思われたのがショックだなー」


そう言って顔を近づけるように抱き締め、ほっぺをグリグリッと私のほっぺにくっつけてきた。


「そ、そういうわけじゃ、」
「えー?ほんとにー?中道と同レベだと思ったんじゃねーの?」
「それはない」


即答した私に、


「ふはっ!さすが中道!」


快斗くんは爆笑した。


「じ、じゃあ別に尻フェチってわけじゃ、」
「ないからその話しはもう忘れよ」


そう言って快斗くんはまた顔とか頭とかちゅっちゅっしてきた。
…尻フェチって言われて、おっぱいは自然にこのサイズになったけど、お尻ってどうしたらいいのかわからなかったから良かった!
そういうエクササイズとかしなきゃいけないのかと思ってたから本当に良かった!!
そう思ったら自然と快斗くんの方に手が伸びてぎゅってしたら、快斗くんが笑ったのがわかった。

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