■あえて言うなら
お袋の気遣いもあり、元旦から満足するまでヤラせて頂いた俺は、しばらくそういうことしなくてもいいだろー、くらいに思っていた。
けど実際は、
「快斗くん、」
「どーした?あおいちゃん甘えんぼターン?」
「だ、って寒いし」
「あおいちゃん、可愛い」
「んっ…」
クリスマス以降、2人の時にあおいちゃんがやたらとくっついてくるようになった。
…そんなんされたら、頑張らないわけにはいかないわけで。
結局休みの間中、毎日ヤッてた。
我ながらさすがに引く。
でも勃っちまうんだから仕方ねー。
そんなある日のこと。
「快斗くん、てさ、」
「んー?」
「な、なんでそんなに私の身体中、ちゅっちゅっするの?」
自分でも意識していなかったことを聞かれた。
…そんなにしてたか?ヤバい、自覚ない。
「なんで、ってそりゃあ」
「そりゃあ?」
「あおいちゃんの身体で、俺がキスしてないとこあるの嫌だから」
何故か?と聞かれて強いて言うならこれだろう。
せっかく自分の物にしたのに、俺が触れてないところがあるなんてなんか嫌だ。
そう思った俺に、
「…プロ…」
あおいちゃんがボソッと呟いたことで、腹筋が震えた。
俺の行為を独占欲とか、束縛系とか、そういう感じに取ることなく、たった一言「プロ」で済ますことのできる女子高生は世界広しと言えどあおいちゃんくらいじゃないだろうか。
そして新学期も始まり、あおいちゃんとは平日に会えなくなって。
ぶっちゃけ「快斗くん性欲ありすぎ」とか言って引かれたりしたらと思った俺としては、ちょうど良いと思った。
「好きだよ、あおいちゃん」
「…っ…」
そして週末。
いつものようにくっついて来るから、いつものように押し倒すような流れになった時、
「そ、そういえば、」
「んー?」
「快斗くん、て、お、お尻、好きなの?」
そんなことをあおいちゃんは口走った。
…尻が好きかと聞かれて思い当たることが1つある。
「なんでそう思ったのか聞いてい?」
「なんで、って、」
「なんでって?」
「園子が言ってたから?」
やっぱりかっ…!!
「園子ちゃん、なんて言ってたの?」
「え?なんてって言うか、し、尻フェチ?」
あの女ぁ…!
あおいちゃんに変なこと吹き込むんじゃねーよっ!
「それさー、中道が勝手に言ったことだから」
「え?」
「それを園子ちゃん鵜呑みにしてるだけ!俺別に尻フェチでもねーよ!」
そう言った俺に、
「ほ、ほんと?」
「え?」
「お、お尻、好き、とかじゃない?」
なんでそんな念を押すのか、至極真面目な顔であおいちゃんが聞いてくるものだから、咄嗟に言葉が出てこなかった。
「あ!べ、別に、お尻好きでもいいんだけど!」
「え?いや、だから俺は、」
「いい、ん、だけど、さ」
徐々に小声になってゴニョゴニョと言い出したあおいちゃん。
「…快斗くんがお尻好きでもいいんだけどさ、」
「うん」
「わ、私ほら、胸はちょっと大きめだから、さ、触り心地とか?自信ちょっとある、けど、お尻はどうだろ、って、」
それはもしかしなくても、
「じ、自分でそんな意識したことないけど、あんまり触り心地、大きさとか?よくないような気もしなくもなくて、」
俺好みになってるのか心配してる、ってことで。
「快斗くんどうなのかなー、ってちょっと気になっちゃったっていうか、」
あおいちゃんて、実はめちゃくちゃ尽くすタイプの女だよな。
そうされて当たり前って女より、尽くそうとしてくれる子をデロデロに甘やかして俺なしじゃ生きれないくらいのダメ人間にする。
そういうのもいいかもしれない、とか。
傍から見たらそれは歪んでるのかもしれない感情を、この時初めて抱いた。
「俺はさー、ぶっちゃけ胸も尻もデカかろうが小さかろうがどっちでもいーんだ」
見る分にはないよりあった方がいいけどな。
見る分には。
でも結局トータルバランスの問題だと思うから、実際並んで歩くなら話しは別。
その子に合ったサイズってーのは確かに存在すると思う。
「あおいちゃんがあおいちゃんなら、胸や尻がデカかろうが小さかろうが気にしてねーよ」
見つめるあおいちゃんは、パチパチと忙しなく瞬きをしていた。
「むしろあおいちゃんにそんなこと気にしてる男だと思われたのがショックだなー」
「そ、そういうわけじゃ、」
「えー?ほんとにー?中道と同レベだと思ったんじゃねーの?」
「それはない」
俺の言葉に珍しく即答したあおいちゃんに思わず噴き出した。
「じ、じゃあ別に尻フェチってわけじゃ、」
「ないからその話しはもう忘れよ」
どこかホッとしたような顔をするあおいちゃん。
あおいちゃんのこのわかりやすく安心した顔も好きだ。
…あぁ、そうだな。
あえて言うならあおいちゃんフェチかもな。
そんなことを思いながら、あおいちゃんの服の中に手を滑らせた。
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bkm