キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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3度目の年末年始


親密に


クリスマス・イブに初めてにゃーにゃーしてから、快斗くんはうちに住むんじゃないかって勢いだった。
そりゃあさ、ずっと一緒にいれたら嬉しいけどさ、だってそんな同棲なんてそんなそんな私たちまだまだ高校生でそんなそんなそんな。
そう思った私は断腸の思いで快斗くんに帰ってもらった。
そして大晦日ってことは、


「あおいちゃん、いらっしゃーい!」
「よ、よろしくお願いします!」


今年も快斗くんちで、快斗くんのお母さんと3人で年越しをする。
ちなみに今年はすき焼き。
全部俺がやるから、って快斗くんが有無を言わさずすき焼きに決定した。


「美味しかったですねー!」


今年は快斗くんが全て作ってくれたから、片づけくらいはしようと、現在お母さんと2人で片づけをしている(快斗くんはお風呂)


「今年は気合い入ってたみたいだからー。それもすごく」
「へぇ、そうなんですね!でも確かに気合いが伝わる美味しさでしたね」


ニコニコニコニコと、お母さんがいつになくすっごいにこやかなことを薄っすら気づいてはいたけど、快斗くんの料理が美味しいからだろうと思った。


「お風呂お先ー。あおいちゃん入ってきてー」
「あ、でもお母さん先に、」
「いいのいいの!あおいちゃん先に入ってきなさい」
「じ、じゃあ、」


お母さんにも勧められて、私がお風呂に入ることになった。
…でもやっぱり快斗くんと同じボディソープってのはちょっとこう、におわせな気がして、持ってきていたマイソープを使った。
そして。


「「「あけましておめでとうございます」」」


カウントダウンが終わった深夜0時、年始の挨拶をした。
直後、


「はい、じゃあ解散!」
「…えっ!?」


快斗くんが私の腕を思いっきり引っ張った。
お母さんが噴き出した声がする。
チラッとお母さんを見たら、ごゆっくり、と言いながら手を振られた。


「え、ちっ、ちょっと快斗くん!」


そのまま快斗くんの部屋に連れて来られた私は、快斗くんにナニゴトかと聞いた。


「ナニゴトって、姫初めでしょ」
「はっ!?ち、ちちちちちちょっと!」


そう言ったが先か、私の頬を両手で包み込んでちゅうしてきた。


「ままままま待って待って!」
「何?」
「だ、ダメだって!だってお母さんが、」
「あの人これから初詣行くってさ」
「うぇっ!?」
「だからこの家に2人っきり!」


安心して、くらいな勢いで言う快斗くん。
いやでもそれ待ってだってそれってもしかして


「お、おおおおおおお母さん知って、」
「知ってるってか俺たちつきあってんだし、そりゃあ気遣うんじゃね?」
「えええええ」


ウソでしょ、お母さんそんなだって次からどんな顔してお母さんとお話すればいいの!?


「てゆーか、」
「えっ?」
「あおいちゃん、また俺んちのボディソープ使わなかったの?」


うぇあーってなってる私をよそに、快斗くんが私の耳辺りに鼻をくっつけてクンクンと匂いを嗅いできた。


「だっ!…って、快斗くんが使ってるボディソープ使うとかなんかすごいにおわせじゃん」
「におわせ」
「そ、そういうのはもっと大人になって親密にならないと…!」


快斗くんちではもうすっかり私と快斗くんがにゃーにゃーしてると思われてるのかと思ったらだってもうそんなそんなそんな


「わかった」
「うん?」


快斗くんが私から身体を離して言う。


「大人になる、ってーのはほら、いきなりどーこうじゃねーし、そこは時間が解決するだろうから?」


と、思ったら私の両肩を掴んでドサッ!とベッドに押し倒した。


「とにかく先に、もっと親密になろっか」


あおいちゃんが早く俺んちのボディソープ使えるようになるために、ってにっこり笑って快斗くんが言う。


「まっ!待って待って待って!」
「何?」
「だ、だめだって!そんなだめ!」
「何が駄目?」
「だ、って、そっそういうことしたら、」
「うん?聞こえな」
「だっだからっ!そういうことしたら私なんかこうすぐふわーってなっちゃってわけわかんなくなるから、そんなの元旦からダメだって言ってるのっ!だってそうでしょ!?快斗くんは余裕そうだけど、私まだそんな数回しかしてないのにすぐふわーってなって何にも考えられなくなるとかおかしいでしょっ!?おかしいって!!だからちょっとしばらくそういうことしないで様子見ないとおかしいからっ!!!」


ベッドに押し倒されながらも捲し立てて言う私に、快斗くんは身体を起こして、私のお腹辺りに腰を落とし座った。


「でもそれは、」


手で口元を隠していた快斗くんは、手を私の身体の脇について、もう一度私の方に顔を近づけ、


「俺の手口がプロだからじゃね?」


ニヤッと笑ってそう言った。


「やっぱりプロ…!」
「うん、もうそうみたいだから仕方ねーって」


そう思わね?って快斗くんが言う。
おかしいと思ったんだよ。
読んでたマニュアル本には「徐々に気持ち良くなる」とか「彼と少しずつ気持ち良くなるところを探そう」とか書かれてたのに、それどころか最初からもうぶっ飛ばしてきた感じのプロの手口で私これもうお嫁にいけない身体になったんじゃないのっ!?


「て、ことで、今年もよろしくな?あおいちゃん」


私の髪を1掬い右手に取って、ちゅって音を立てた快斗くん。
…プロだ。
この人プロなんだ!
私もうきっと快斗くんなしじゃ生きてけない身体にされたに違いないっ…!
なんて思ったのもつかの間で、あっ!!という間に何も考えられなくなった私の新しい、そして最後の年が始まった。

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bkm

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