キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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3度目の年末年始


親友からの助言


とてもとても参考になりそうなクリスマス特集記事を見つけてしまった私は、さすがにその記事をまるまる実践するのは憚れるので、ところどころ参考にするってことで落ち着いた。
それにあたり、定例園子会議で(まさかそんなこと考えてるとか恥ずかしくてさすがに言えないけど!しかも学校で!!)どんな服がいいかー、とか、ご飯どーしよっかー、とか。
そんなことを相談していた。
だってさ、こういうことに正解はないのかもしれないけどさ、答えほしいじゃん!!
後押しほしいじゃんっ!!
なんて言う私の声にならない声を察知したのかしてないのか、園子はものすごく親身に相談に乗ってくれていた(いつものことだけど)
そんなある日のこと。


「あれっ?園子?」
「え?えっ!?…あおい!」


学校がお休みな本日、お家の手伝いするとかしないとか言ってた園子とばったり偶然遭遇した。
ちなみに今日快斗くんは予定があってダメで、蘭は部活って言っていた。


「お家の用事もういいの?」
「えっ!?あ、う、うん」


ここは米花町なんだから、私がいて当たり前なのに、園子は私がいることにすごく驚いていた。


「あー、でも私この後また用が」
「園子!」
「えっ!?な、なに?」
「ちょっ、と、相談乗ってほしいんだけ、ど、」
「え…」
「今ダメ、かな?」


私がそう言うと園子は少し口をパクパクさせた後、


「わかった。少しだけよ?」


オーケーしてくれた。


「ありがと!ならさ、ここから近いし、スタバ行こ!私奢るし」
「え?い、いや別に奢られなくても、」
「いいからいいから!」


これから相談する内容を踏まえて、園子の飲み物を奢らせてもらうことにした。
飲み物を買って、店内の端っこの席に着いたら、


「で?相談て?」


園子が切り出してきた。


「クリスマスのことなんだけどさ、」
「あぁ…」


私の一言で何かを察したかのような声を出した園子に、この前学校で見せたクリスマスに着ようかなー、って言ってた服の写真を見せた。


「ほ、ほら、園子この前この服可愛いからこれにしたら?って言ってたじゃん?」
「んー?どれどれ?…あー、うん、はいはい」
「今見に行って思ったんだけどさ…」
「うん?」


チラチラと周囲を見て、誰もいないことを確認した上で、園子に耳を貸すようにジェスチャーした。


「この服、脱がせにくくないかな?」
「………………………」


そう言った私に、園子は耳を傾けたままのポーズで固まった。


「べ、別にそういうつもりで!ってわけじゃないんだよ?」
「…」
「でっ、でもほら、な、なにがあってもいいように?みたいな、」
「…」
「だけどさっき見に行ったら、確かに可愛いんだけど、ちょっと脱がせにくいかもって思って…」
「…」
「どう思う?」
「…」
「…………園子?聞いてる?」
「あ!う、うん、聞いてる聞いてる」


ぽん、と肩を叩いたことで園子は我に返ったようだ。


「そ、その前に1つ聞いてい?」
「うん?」
「黒羽くんとそーいうことするつもりあるってこと?」
「…ある、っていうか、」
「あるっていうか?」
「だっ、て、もう1年経った、し、いつそうなってもおかしくないと思うし?」
「……まぁ、うん、そーね」
「快斗くん、は、どう思ってるかわかんないけどさ、ほっ、ほんと、は、」
「ほんとは?」
「もういつでもいいのにとか思ってたなんて言えない、じゃん…!」
「………」
「だっ、だからクリスマスはいい機会かな、って」


私の言葉に、


「大賛成」


園子が前のめりにそう言った。


「だ、だよね!?…って、思ったら、やっぱりこの服はちょっとな、って」
「あおいは他にいいな、って服あるの?」
「あ、う、うん。えぇーっと…、あ、これ!さっき見に行って可愛いと思って撮ってきたんだけど、」
「どれどれー?…あぁ、うん。さっきの服よりあおいに合うと思うわ」
「そう?…ぬ、脱がせやすい、かな?」
「例え脱がせにくくても、彼器用だから大丈夫よ」


グッ!と親指を立てて園子は言う。


「園子っていつの間にか、すっかり快斗くんと仲良くなったね」
「まぁ話しやすいからねー、黒羽くん」
「…園子に京極さんて彼氏いるの知ってるけどさ、」
「うん?」
「す、好きになっちゃ、ダメだからね」
「………」
「快斗くん、ちょっとカッコいいんじゃなくて、すごくカッコいいから」
「大丈夫、彼のことタイプじゃないから」


にっこり園子は笑うけどさ。
キッド様キッド様言ってるの知ってるし、そのキッド様=快斗くんて知ってる身としては、さ…。
その後も、


「し、下着とかってどう思う?」
「黒羽くんは白が好きだと思うわ」
「え、なんで?」
「…白を好きそうな顔してる」
「白を好きそうな顔」
「そう」


なんて会話を交えつつ、よしじゃあそろそろお開きに、ってなった時のこと。
飲みかけのドリンク全部飲もうとしてる園子に、最後にもう1つだけ聞こうと口を開いた。


「あ、あのさー…」
「んー?」
「…こっ、コンドーム、って用意してた方がいいと思う?」
「ゴフッ!!?」
「園子っ!?」


飲みかけのドリンクを全部飲み干そうとしていた園子は、そのドリンクを盛大に噴き出し咽ていた。


「ゲホッ!ゴホッ!」
「ちょっ、大丈夫!?待ってティッシュ出す」
「あおい」
「え?」


ティッシュを出そうとカバンに手を伸ばした私の手首を掴み、


「そーいうのは黒羽くんに任せましょう」


園子はそう言った。


「いや、まず口拭こ?」
「こんなのこれでいいわよ」


グイッと手で口を拭った園子。
な、なんか今日の園子ちょっと変、ていうか、…豪快?


「いい?あおいはそういうこと気にしなくていいから。そこは黒羽くんに任せなさい」


口元を拭い、テーブルを拭き終えたら園子がそう言ってきた。


「え、で、でも別にそういうつもりじゃないから快斗くんだって、」
「そこはほら、黒羽くんを信じて」
「え、えぇー…」


わかった?と園子は念押ししてくる。
そういうものかなー?って思うけど、園子の「あんたは買わなくていいの!」っていう押し?圧?がいつになくすごくて、わかったと頷いた。


「ね、ねぇ!」


お店を出て、解散!てなる時、園子を呼び止めた。


「き、今日、の、こと、内緒だよ?」


そう言った私に、


「もち!2人だけの秘密ね」


園子と小指を絡めて指切りした。


「ら、蘭にも、まだ内緒だよ?」
「んー、じゃあこうしましょ。私今日あんたと会ったこと忘れるから、また何かあって話したくなったら、蘭入れて3人で最初から話す、ってことでど?」
「わ、わかった。それで」
「よし!約束ね」


そう言って指切りした園子とバイバイして、家路に着いた。

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bkm

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