キミのおこした奇跡ーAnother Blue


≫Clap ≫Top

3度目の年末年始


クリスマス特集


コノカネノネハ ワタセナイと、キッドが宣言した通り江古田の時計台は、針に埋め込まれていたダイヤが偽物だとわかり、市が安く買い取り今後もその場所で鳴り続けるそうだ。
…快斗くんにとってのはじまりの場所は、これからもずっとそこに在り続ける。
紅子も、その後何かあるかもって警戒してたけど、今のところ接触はない。
ホッしたような、残念なような…。
そして時計台の騒動が終わった、ということは、世の中クリスマスに向けて盛り上がっていく時期になる、ってことだ。
そもそもの事の発端は、中道くんからのプレゼント。


「え!?快斗くんに女の子紹介されたの!?」
「そー!その子と無事つきあえることになってさ!黒羽くんには感謝しかないんだけど、お礼って言ったらこれしか浮かばなくて!」


そう言って中道くんはA4サイズの綺麗に包装された物を私に手渡してきた。


「これを芳賀さんが身につけることが、引いては黒羽くんのためになる!ってね!」
「え?私?」
「そそ。ちょっと中見てみて!」


ニヤニヤ笑う中道くんに不思議に思いながら包装を解くと、

女が使う最高のセックステクニック

って書いてあった。


「それ、俺の彼女が持ってたのと同じ奴なんだけど、マジですげーから芳賀さんも試してみて!」
「い、いいいいいや、これはっ、」
「黒羽くんのために!」
「快斗くんのため、」
「そうっ!!」
「中道くん」
「うん?」
「これ快斗くんには内緒だよ?」
「任せろ!!頑張って!!」


中道くんから貰ったプレゼントが本当に役に立つのはもう少し先のことなんだけど。
それでもこの時から、プレゼントは…って考え始めたのは事実で。


「クリスマス?あー…うん、空けとくよ」


電話した時に少し早いんだけど、って切り出した時に快斗くんはそう言った。
この時の「あー」が「キッドの仕事がなければ」って言う言葉を飲み込んで出た、全てを物語ってる一言な気がした。
でも今のところは、な、だけかもしれないけど「空けとく」という確約を得たわけで。
と、なると、ですよ?
2人で過ごす、初めてのクリスマス、ってことだからそこはやっぱり、ねぇ?


「オメー最近ずっと、すっげー熱心に何か読んでっけど、どーした?」
「べ、別にどうもしないしっ…!」
「んー、どれどれ?」
「あ、ちょっ、ケータイ取らないでっ!!」
「…恋人と過ごすクリスマス特集…」
「見ないでよっ!!」


ここ数日の私の検索履歴は「クリスマス 過ごし方」「彼氏が喜ぶクリスマス」「恋人 2人きり クリスマス」なんてものばっかりだったわけだけど、そんなケータイ画面をまんまと新一くんに見られた。


「…まだ1ヶ月以上先のこと、今からどーとかって」
「べ、別にいいじゃん!だっ、だいたい新一くん、人のこと気にしてないで自分はどうなの?」
「どーって何が?」
「クリスマス、誰かと過ごすの?」


誰か、っていうか蘭とか、蘭とか、蘭とか?
なんて思って聞いてみたら、


「クリスマスはちょっと高木刑事に呼ばれてんだ」
「うわぁ…、クリスマスに刑事さんと…」
「でもちょうどいいかもな?」
「何が?」
「そんなに浮かれてるあおいがクリスマス前に別れて暇になったら可哀想だろ?」


そうなったらオメーも連れてってやるよ、とニヤニヤしながら言う新一くん。


「別れないし!縁起でもないこと言わないでっ!」
「別れなくともまた喧嘩するんじゃねーの?」
「しっ、しないし!」
「オメーの男見る目壊滅的だから、わっかんねーぞ?」
「だからそんなことないしっ!」
「あ」
「な、なに?」
「今年のクリスマスプレゼント、あおいの別れた報告でいいぜ」
「…っ、新一くんなんてクリスマスに事件まみれになっちゃえ!!」
「そのクリスマス最高じゃね?」


信じられない…!
クリスマスに事件に巻き込まれることが最高とか信じられない!!
快斗くんがそんな人じゃなくて良かった!
探偵じゃなくてほんとに良かった!!
蘭もこんな人でいいの?
ほんとにいいの?
クリスマスに事件最優先しちゃうような男でいいの!?
私は嫌!
絶対嫌!!
クリスマスならクリスマスらしく2人でゆっくり過ごしたいじゃん!!


ポチ


家に帰って、1人になってすることって言ったら、やっぱりクリスマスどうするか調べるってことなんだけど…。
いろんな特集を見て思う。

聖なる夜をラブラブに過ごそう☆

クリスマス、彼と極上のエッチ

クリスマスに彼を身も心も完全攻略!

クリスマスを恋人と過ごすって、つまりはそういうこと前提で特集を組まれていて…。
やっぱり…って思いつつも、よくよく考えたらもう1年、快斗くんとおつきあいしてるわけで。
その間にそういうことにならなかったわけでもないけど、私が待って、って言ったら快斗くん本当に待っててくれていて。
1年、て考えたら、もう、そろそろ…とか?思ったり思ったり思ってしまったり。


「なんて言えるわけないじゃん!!」


そんな葛藤をここ数日繰り返ししてる私の目に、

クリスマスに彼を誘うラブアクション

ものすごくタイムリーな記事が飛び込んできた。


「こっ、これだー!!」


そう思った私は、その記事を見失わないように、URLを即保存。
画面に穴があく勢いでその記事を熟読した。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -