キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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怪盗vs高校生探偵


深夜の遭遇


現在、深夜1時を過ぎようとした頃のマンション前道路。


「あ、ありがとうございました!」
「いやいや、こっちも遅くまでつきあわせて悪かった」
「い、いえっ!警視庁のヘリに乗るなんてこときっとないので、嬉しかったです!」


なら良かった、と目暮警部は言って車を走らせた(警視庁からの道順的に新一くんが先に降りた)
車を見送った後、ケータイを見たら、


「…うわぁ、着信履歴が…」


快斗くんからの着信履歴で埋まっていた…。
メールも着てたから見ると、ちゃんとマンションに送ってもらったかを心配してる内容だった。
時計台の犯行が午前0時で、新一くんとゴタゴタしてキッドが群衆に紛れたのは午前0時10分にもならない頃だった。
そしてケータイの着信履歴は1番早いので午前0時15分だったから、快斗くん逃げて速攻電話してきたんだ…。
て、ことは、中森さんと会ってない…?
それとも会ってもそんなに話し込むようなことにならなかった…、とか。
だけどあれは、「2人の思い出の場所」を再確認するってお話だったはずだけど…変わった、のか、な…?
とりあえず、部屋に着いたら連絡しよう。


「こんばんは、黒い子猫ちゃん」


そう思っていた私の前に、それはそれはスタイルの良い美人さんー小泉紅子が現れた。


「どっ、どどどどうやってここにっ…!」
「あなたの居場所くらいすぐわかるわ」


フフン、と鼻で笑いながら綺麗な長い髪をサッと肩の辺りから払うような仕草をした。
…何この人、無駄に色っぽい!!!


「な、ななななんの用ですかっ!?」
「もうわかってるくせに、おもしろいこと聞くのね」


待ってこの人、色気レベルが私が今まで見た人の中で群を抜いてない!?
快斗くん、ファンクラブ出来たとかなんとか言ってたけど、その理由わかる!
こんなお色気美女がクラスメートにいたら、私もファンクラブ入るもん!!


「あなた、私のこと知ってるの?」
「え?」


私が紅子の美女っぷりに興奮していたら、紅子がそう言ってきた。


「だって私が『ここに』現れたことには驚いたようだけど、『私が』現れたことには驚いていないでしょ?」
「そ、れは…」
「つまりあなたは私がどういう人間で、どういうことをしてるのか知っているんじゃない?」
「……や!ほら!それは快斗くんが紅子ちゃんのこと教えてくれて、」
「嘘ね」


私の言葉に、紅子は弧を描くように綺麗に笑った。


「ねぇ、教えてくれないかしら?」
「な、なにを?」
「あなたが黒羽くんにも隠している、その全てを」
「…べ、ベベベベつに、私は、」
「あなたはどこから来た、何者なの?」


この前会った時にも思ったこと。
紅子は確信を持って、私が「ここ」の人間じゃないと言っている。
…そしてそれを、私自身が知っていること、そして快斗くんにも黙っていることも、わかっている。
どうしよう、どうしよう、そう思った瞬間、


ピリリリリリ


ケータイに着信を知らせる音が鳴り響いた。


「残念、今日はここまでね」
「え?」
「また会いにくるわ、黒い子猫ちゃん」
「きゃっ!?」


紅子のいた辺りから、ブワーッ強い風が吹いたと思ったら、


「あ、それから今日のこと、黒羽くんには内緒よ」


その言葉と同時にピタッと風は止み、


「き、消えた…!?」


目の前にいたはずの紅子の姿がなくなっていた。
…これが、紅子が使う赤魔法…。


「もしもし?あおいちゃん?」


紅子がいた場所を呆然と見つめながらも、無意識に通話ボタンを押してしまった私の耳に、快斗くんの声が響いてきた。


「あおいちゃん?もしもし?おい、どーした?何かあった!?」
「も、もももももしもし?」
「あおいちゃん!大丈夫か!?何かあった!?」


なんとかケータイを耳に当て、声を出した。


「な、ななななんか、」
「何か!?」
「…変なの見た?」


紅子が黒羽くんには内緒、って言った手前、言うに言えず(私的にもなんとなく紅子と会ったと言わない方がいい気がした)


「変なの?…工藤新一といて殺人事件でも見た?」
「えっ!?いいいいいいやいや、殺人事件なんてそんなそんな、」
「何、本当にどーした?」
「いっ、いやなんか今突然人が現れて、突然消えた?」
「…………えっ?」


紅子ということを言わずに伝えたら、


「あおいちゃん、それってもしかしてこの世ならざる」
「違うよっ!!」


幽霊に遭遇してしまったような流れになってしまった…。


「いや、だって突然現れて、突然消えたんでしょ?」
「う、うん」
「じゃあやっぱり…」
「だから違うって!!」
「いやー、違わねーよ、それ…。こんな時間に死神の近くにいたから見ちまったんだって」
「し、死神?」
「工藤新一」
「あ、うん…」
「今日はまー、キッドの犯行でってことだったし、帰りは警視庁の人間が送ってくれるって言ってたからいいって言ったけど、もうこんな時間にアイツと会ったら駄目だからな」
「べ、別に新一くんとは2人でなんて」
「駄目なものは駄目」
「…」
「だいたいあんな死神とこんな時間に会うから幽霊みたいなの見ちまうんだって」
「だっ、だから違うって!」


快斗くんと電話しながら、無事自室に辿り着いても、幽霊に会った会わないの押し問答が繰り広げられた。

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bkm

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