キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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文化祭!


コミュ力モンスター


ほんとに大丈夫なのか心配になった江古田高校文化祭当日。
まぁ…1人じゃないし…と、気持ちを切り替えて園子、蘭と共に江古田に乗り込んだ。


「えぇ、っと…江古田高こっちみたいだよ」


地図を読む気がない園子と、地図が読めない私には、自称地図を読めるらしい蘭がとても貴重な存在だった。


「あ!あれじゃない?」
「それっぽい!近くに来たって、快斗くんに電話するよ」


そう言って、快斗くんに電話をかけた。


「はいはーい!あおいちゃん着いた?」
「もう少しで着くと思う!」
「おっけ!校門まで迎え行くから待ってて」


そう言われて通話終了ボタンを押すと、


「黒羽くん、来るって?」


園子が聞いてきた。


「うん。校門のところで待ってて、って」
「ほんと心配性ねー、黒羽くん」
「うん?」
「私らだけで勝手に中入って、そこら辺にいる男に絡まれると困るから校門で待ってろってことでしょ」
「そうなの!?」


園子の言葉に驚いて声を上げたら、呆れたように園子が息を吐いた。


「バカね、そうに決まってるでしょ」
「…私も少し、そう思うよ」


園子の言葉に蘭が苦笑いしながら頷いた。
…そう、なのかな、別に私絡まれたりなんて、あ!でも蘭がいるから伊豆の海の時みたいに声かけられる可能性がグッと上がっちゃうのか!
そっか、それは確かにマズいというか後々大変そうだし、校門合流が1番無難なんだな。


「あおいちゃーん!いらっしゃい!」


私がそんなこと思っていたら、快斗くんが手を振って駆け寄ってきた。


「園子ちゃん、蘭ちゃんも、この間ぶり!」
「今日はよろしく!」
「こんにちは」


園子と蘭もそれぞれに挨拶をして江古田高の中に入った。
ん、だけ、ど。


「うぉ!?黒羽、お前なんでそんな可愛い女の子たち引き連れてんの!?」
「俺の彼女と、その友達ー!絡んでくんなよ?」

「黒羽くーん!て、あれ?その子たち誰?」
「あ、先輩見てくださいよ、俺の彼女!すげー可愛くないです?後ろはその友達です」
「黒羽くん彼女いたのっ!?」

「おい、黒羽!お前クラスの模擬店の、」
「俺今彼女とその友達を案内してっから、他の奴に言ってー!」


数歩歩くと声をかけられをすでに5回くらい繰り返していた…(そのたびに「俺の彼女」って言われるからみんなに頭を下げていた)


「か、快斗くん、人気者だね」
「そう?普通じゃね?」


普通じゃ…ないと思う…。
現に園子が後ろで「さすがコミュ力モンスター」って言ってたし。
快斗くんはいつものように私の手を繋いで歩いてるけど、こんなにいろんな人から声かけられるなら手を離してた方が良いような気がする。


「んじゃまぁとりあえず、俺のクラスがやってるとこ行く?」


快斗くんが(なぜか)後ろをついて歩いてた園子と蘭を見ながら言った。


「行く行く。何やってんの?」
「ドリンク販売だよ。普通の奴からいわゆる『映える』グラデーションドリンクまで扱ってんの」
「へー!じゃあそれ買って写真撮ろーよ!」


ね、と園子が言う。
…良いんだけどさ、ドリンク買うのはさ、でもさ、快斗くんのクラスって言ったら、さ…。
って、思ってたところで、


「快斗いたー!思ったより客足よくないから宣伝してきて!」


快斗くんを見つけた中森さんの声が響いた。
咄嗟に繋いでいた手を引っ込めようとしたら、私が引っ込めるよりも早くギュッと快斗くんが手に力を入れて離してくれなかった。


「あ!あおいちゃんだ!こんにちは!…時計台のイベントの時ごめんね。青子たち、あおいちゃんが逸れたの気づかなくて…」


すぐ見つかったみたいで良かった、と中森さんは言う。
あの時のことは、私がうっかり逸れてしまったということになっているらしかった。


「黒羽くんのクラスメイト?」


そう言いながら園子が中森さんに近づいた。


「あ、うん。そうだけど…あなたは?」
「私はあおいの親友の鈴木園子ね。こっちが毛利蘭。黒羽くんがこの前うちの文化祭来た時に、話の流れで江古田の文化祭来ることになったのよ」
「なるほど!あ、私は中森青子です」


こんにちは、と頭を下げる中森さん。
…さすがだよ園子。
コミュ力高い人通しが絡むとこんなにスムーズに話進むんだ…。


「ごめんねー、クラスの出し物手伝わなきゃいけないんだろーけど、黒羽くん嫁が好きすぎて私らだけで回るの反対みたいなのよねー」
「えっ!?快斗そうなの!?」
「そーそー。わざっわざ校門前まで出迎えに来てくれたものね?」
「園子ちゃーん?そろそろ口閉じよっかー?」
「口閉じるも何も事実でしょ事実!」


ニヒヒ、と園子が笑いながら快斗くんを見る。
…この2人、いつの間にこんなに仲良くなったんだろ?


「でもさすがにそれじゃあ悪いから、グラデーションドリンク売ってるんでしょ?私らが買って、飲み歩きついでに宣伝するわね」
「ほんとに!?園子ちゃんありがとう!!」


中森さんにものすごく感謝された園子のコミュ力が怖い…。
蘭は当たり障りなくにこにこしてるし。
結局コミュ力ないの(というか、中森さん限定でコミュ力ゼロになるの)私だけなんじゃ疑惑が起こった。
コミュ力モンスターの集いに、心配していた中森さんとの接触はなんなく終わり、映えると言われたグラデーションドリンクを持ちながら他の模擬店も回ることになった。

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bkm

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