キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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文化祭!


本当の魔法使いは


「本当にすみませんでした」


蘭ちゃんの言葉通り中庭に出ると、ベンチにちょこんと体育座りしてるあおいちゃんがいた。
俺を見て、プクッと頬を膨らませたものだからますます座敷わらし感があがっている。
そんなあおいちゃんの目の前にしゃがみこんで謝罪した。


「快斗くん、いつもあんなこと言わないのに、なんであんな言い方したの?」
「そりゃあなんでって、」
「なんでって?」
「あおいちゃんの周りウロウロしてるからだろ?」
「…なにそれ!新一くんに嫉妬してるみたいに聞こえる」


ほんと、わかってねーなー…。
俺は王子でもなんでもない。
普通に嫉妬してイラつくそこら辺にいる男だ。


「みたいじゃなくて、してるけどな嫉妬。別にアイツに限ったことじゃねーけど」
「うん?」
「俺の彼女ちょー可愛いから、基本彼女の周りうろつく奴嫌い」
「えっ」
「…てくらい嫉妬する男だけど?」


俺の言葉に心底驚いた顔をしているあおいちゃん。


「えっ、や、なんで?」
「なんで?それこそなんで嫉妬してないって思ってたの?」
「えっ!?なんで、って、」
「なんでって?」
「快斗くん以上にカッコいい人なんていないから?」


…こういうところだ!
この子なんでこんなにこうなんだよ…!


「俺薄々思ってたんだけど、」
「うん?」
「あおいちゃん、たぶん魔法かなんかかかってんだって」
「…えっ?」
「じゃなきゃ俺のことそんな風に思うわけねーもん」
「…それたぶん、」
「うん?」
「ものすごい強力な魔法だと思う」


うわぁ、認めちゃったよこの子…。
マジかー、魔法かー、誰がかけた何の魔法だ。
それは俺的には解けた方がいいのか、解けない方がいいのかどっちだ?


「前に有希子さんが言ってたんだよね」
「うん?」
「神様も天使も、みんなが会えるわけじゃないかもしれないけど、この世の全ての人が魔法使いには会える、って」


有希子さん、て、確か工藤新一の母親だよな?
あんなクソ野郎育てた人間が「魔法使いには会える」って?


「この世には、見てるみんなを驚かせて笑顔にしてくれるとびきりの魔法を使える人がいる、って、有希子さんが教えてくれたんだ」


それを聞いて思い当たる「魔法使い」という存在が俺にもあって。


「みんなが会うことができる、マジシャンて呼ばれる魔法使い。そんな人にこんな身近で魔法かけられたから、ものすごい強力だと思うよ」


ふわり、と柔らかく笑いながらあおいちゃんは言う。
…なんだそれ。
俺が王子に見えるような魔法かけたのが俺自身だとでも言うのか?
そんなん、俺がかけられるわけねーだろ。
第一マジシャンでもねーのに、俺の心鷲掴みにする魔法かけてんのオメーだっての。


「そーいやさっき流れで園子ちゃんがうちの文化祭来るって話になってさ」
「えっ?園子が?」
「そ。どーせだから、あおいちゃん蘭ちゃんと3人で、って話になったけどダイジョーブ?」


園子ちゃん経由で聞くより、俺から言っておかないとと思って言ったけど、やっぱりあおいちゃんは少し微妙な顔をした。


「うちはまぁ…基本園子ちゃんとか中道みたいにグイグイ来る奴はいねーからさ。そこら辺安心していいぜ」
「え?中道くん?知り合い?」
「んー…、すっげー熱く語られた仲?」
「語り合うほど?何話すの?」
「…中道の好きなものについて?」
「ふぅん?」


まさか(主にあおいちゃんの)おっぱいについてなんて言えるわけない俺は嘘のない範囲で話した。
…そーいやアイツに女紹介するって言っちまったな…。
まぁテキトーに男探してそーな子紹介すりゃいいか。
あ、でもあおいちゃんが正義って言うくらいな奴だから、ある程度以上の顔とおっぱいねーと怒るか…。
あおいちゃんと同レベのおっぱいねぇ…あっ!


「1人ヤベー奴いる」
「ヤバい奴?」
「新学期始まってから転校してきた奴なんだけどさ。なんつーか…まぁ美人ちゃー美人なんだけど、それこそ魔法がどーの言ってんの」


夏休み明けに転校してきた女、小泉紅子。
占いだか赤魔法だかわけわかんねーの使って、俺をキッドだと見抜いた怪しい女。
アイツ、スタイルはいいよな。
…いや、やっぱりそれは駄目だな。
紅子を中道に紹介とかねぇわ。


「そんな美人さん、見てみたいけど」
「駄目」
「えっ?」
「あおいちゃんがあんなんなったら困るから近寄らないで」


意味わかんねー魔法で男を籠絡するような女に近寄ってほしくない。


「大丈夫だよー、私は魔法が使えないから!」
「いや、1番たち悪ぃの使うだろ」


俺だけじゃない。
それこそ工藤新一もそうだし、ある意味園子ちゃんも中道もあおいちゃんの使う魔法に籠絡されたようなもんだ。
これ以上そんな奴増やしてたまるか。


「とにかく!うちの文化祭に来ても俺か蘭ちゃんたちから離れないこと!わかった?」
「わ、わかった」
「よし!いい子だ」


顔を赤くするあおいちゃん。
あ、わかった。


「前髪だ」
「え?」
「ほら、貞子は前髪が目にかかっておどろおどろしい感じだけど、あおいちゃんは前髪短いから座敷わらしに見えんだって」
「………ざしきわらし?」
「あっ」


ヤベッ、と思って手を口に当てたけど時すでに遅く。


「もしかしてずっと座敷わらしって思ってたのっ!?」
「…ほ、ほら、あおいちゃん可愛いらしいから、」
「快斗くんのバカァ!!」
「いっ!?」


今度は脇腹をグーパンされた俺。
殴られながらも繋いだ手を離さなかったから逃亡されずに済んだことに、自分で自分を褒め称えた。

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bkm

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