キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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文化祭!


魔法にかけられて


「本当にすみませんでした」


教室から飛び出した私を追いかけてきた快斗くんにすぐに見つかった私は、現在中庭のベンチで謝罪を受けていた。
…別に仲良くしてほしいなんて思ってない。
思ってないけど、もう少しどうにかなったんじゃないかと思う(何故なら掴まれた手がちょっと赤くなってるから)


「快斗くん、いつもあんなこと言わないのに、なんであんな言い方したの?」


ベンチに体育座りしてる私の前でしゃがみこんで謝ってくる快斗くんに尋ねた。


「そりゃあなんでって、」
「なんでって?」
「あおいちゃんの周りウロウロしてるからだろ?」


何言ってんだオメー、みたいな顔で私を見上げながらそう言う快斗くん。


「…なにそれ!新一くんに嫉妬してるみたいに聞こえる」


私の言葉に快斗くんは盛大にため息を吐いて立ち上がった。


「みたいじゃなくて、してるけどな嫉妬」


驚いて見上げた快斗くんの顔は、どこか呆れていた。


「別にアイツに限ったことじゃねーけど」
「うん?」
「俺の彼女ちょー可愛いから、基本彼女の周りうろつく奴嫌い」
「えっ」
「…てくらい嫉妬する男だけど?」


知らなかったのか、って言うような顔をする快斗くん。


「えっ、や、なんで?」
「なんで?それこそなんで嫉妬してないって思ってたの?」
「えっ!?なんで、って、」
「なんでって?」
「快斗くん以上にカッコいい人なんていないから?」
「………」


私の言葉にパチン、と目元を手で覆って、もう1度大きなため息を吐いた。


「あのな、あおいちゃん」
「うん」
「俺薄々思ってたんだけど、」
「うん?」
「あおいちゃん、たぶん魔法かなんかかかってんだって」
「…えっ?」
「じゃなきゃ俺のことそんな風に思うわけねーもん」


快斗くんは人差し指で頬を掻きながらそう言ってた。


「それたぶん、」
「うん?」
「ものすごい強力な魔法だと思う」
「…そっかー、やっぱかかってたかー」


私の言葉を聞いた快斗くんが目を閉じながら頷いていた。


「前に有希子さんが言ってたんだよね」
「うん?」
「神様も天使も、みんなが会えるわけじゃないかもしれないけど、この世の全ての人が魔法使いには会える、って」


そう言えばシャロンは彼女の天使に逢えたのか、わからずじまいだな…。


「この世には、見てるみんなを驚かせて笑顔にしてくれるとびきりの魔法を使える人がいる、って、有希子さんが教えてくれたんだ」
「それって…」
「みんなが会うことができる、マジシャンて呼ばれる魔法使い。そんな人にこんな身近で魔法かけられたから、ものすごい強力だと思うよ」


快斗くんが高1の今怪盗キッドになったように、ちょっとずつ物語がズレてきてるとしても、シャロンが今後彼女の天使を助けることは、変わらないでほしいな。


「ねぇ、今日何時に終わんの?」
「え?今日は4時までだけど」
「それまでテキトーに彷徨いてるから、家行ってい?」
「…4時までだけど、終わったら打ち上げしよって園子に言われてる」
「あー…まぁ、だよなぁ…」


ガシガシと頭を掻く快斗くん。


「足、」
「うん?」
「ごめんね、痛かった?」


私の言葉に、


「すっげー痛かった。だからお詫びに明日空けといて」


快斗くんがニヤッと笑いながら言ってきた。


「もちろん!」
「じゃあ許す!」


快斗くんの言葉にホッとした。


「あ、そーいやさっき流れで園子ちゃんがうちの文化祭来るって話になってさ」


じゃあ帰る前にもう少し見て回ろうかって、快斗くんと校内を少し周っていた。


「えっ?園子が?」
「そ。どーせだから、あおいちゃん蘭ちゃんと3人で、って話になったけどダイジョーブ?」


チラッと伺うように見てくる快斗くん。
…そのメンツなら大丈夫なような、でも江古田高ってことはやっぱり大丈夫じゃないような、だけど快斗くんがこう言うってことは園子がもうすっかり乗り気だと思うし。


「だ、大丈夫…?」


私の言葉に快斗くんは頭にぽん、と手を置いた。


「うちはまぁ…基本園子ちゃんとか中道みたいにグイグイ来る奴はいねーからさ。そこら辺安心していいぜ」
「え?中道くん?知り合い?」
「んー…、すっげー熱く語られた仲?」


知らないうちに快斗くんは中道くんとも仲良くなっていたようだ。
さすがコミュ力高いだけある。


「あ、でも1人ヤベー奴いる」
「ヤバい奴?」


快斗くんが思い出したように口にした。


「新学期始まってから転校してきた奴なんだけどさ。なんつーか…まぁ美人ちゃー美人なんだけど、それこそ魔法がどーの言ってんの」


ヤバくね?いても近寄んないでね、と、ポロッと零した快斗くん。
でもそれって。
江古田高に転校してきた「魔法」って言葉を使う美人って。


「綺麗な人なんだ?その転校生」
「俺は好みじゃねーけど、クラスの奴らとか騒いでるし、ファンクラブできたみたいなこと言ってたし」


ファンクラブができるほどの美人な転校生。
それはきっと間違いない、小泉紅子だ。


「そんな美人さん、見てみたいけど」
「駄目」
「えっ?」
「あおいちゃんがあんなんなったら困るから近寄らないで」
「あんなん?」
「…」
「快斗くん?」
「…あんな男侍らせるような女になったら困る」


ムスッとして言う快斗くんはちょっと可愛い。


「大丈夫だよー、私は魔法が使えないから!」
「いや、1番たち悪ぃの使うだろ」
「うん?」
「とにかく!うちの文化祭に来ても俺か蘭ちゃんたちから離れないこと!わかった?」
「わ、わかった」
「よし!いい子だ」


ふわっと笑いかけてくれる快斗くんに、少し顔が熱を帯びたのを感じた。

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bkm

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