キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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文化祭!


予感的中


「蘭!小道具1つ見つかんないって聞いたよ!」


快斗くん、園子と別れて急いで教室に向かった。
ものの、


「あ!あおい、ごめん!別の奴にくっついてて気づかなかったんだ!見つかったよ!」


足が遅い+マキシ丈のワンピースがめちゃくちゃ邪魔で走りにくくて、教室に辿り着いた頃には私は用無しになっていた…。


「じ、じゃあ戻ろうかな…」
「うん、ごめんね。黒羽くん来るんでしょ?」
「実はもう来てるんだよね。小道具がないって言われて私こっち来なきゃだったから、今園子が代わりに案内してくれてるの」
「えっ!?園子と黒羽くんが一緒にいるの!?」
「そうなんだよ。2人ともコミュ力高いから大丈夫そうだけど心配だから早く合流したいな、って」
「誰のコミュ力が高ぇって?」


蘭と話してたら、後ろから何とも言えない圧をかけられた。


「…わ、わぁ新一くん、それ死神?ピッタリだね!」
「死神がピッタリとかどーいう意味だコラ」


確認するまでもなく、圧の元はやっぱり新一くんだった…。
避けたかった自体が再び襲ってくる気が…。


「じ、じゃあ私そろそろ、」
「まぁ待てよ。そう急ぐ必要ねーだろ。園子といるんだってな?そのコミュ力高ぇもう1人」
「ちょっと新一!」


くえすちょん、新一くんはいつから聞いていたのでしょう?
あんさー、最初からです。


「俺がいんのわかってて来てんだろ?良い度胸じゃねーか」
「…い、いやぁ、度胸も何も彼女の学校の文化祭に来てるだけで、」


うわぁ、これどうしようどうしたら切り抜けられるの。
園子助けて…!!


「おい、あおい」
「な、なに?」
「もう一度、はっきり言っておく。オメーにアイツは合わねぇよ」
「ちょっと新一!やめなさいよっ!」
「蘭は黙ってろ」


蘭、は、「新一くんを好き」とは言っていない。
ただ「気になる奴」がいるとだけで、名前は言っていない。
でも私と園子の中でそれが誰かなんて明白で。


「オメーなぁ、考えてみろよ。この数カ月で何回泣かされたと思ってんだよ!一緒にいる価値ねぇだろ!?」


その「明白な誰か」がこうやって目の前で私の恋愛事情に口を挟むのは、どう考えても蘭的によろしくないと思うわけで。


「ちっ、ちちちちょっと落ち着こ」
「そーやって話逸らしてんじゃねーよ。いいか?あんなんサッサと別れて」
「うっわー、すげー興味ある話してっけど、それ俺混ざっていいやつだよな?」


確かに、園子助けて!!とは思ったよ。
思ったけど、まさかこのタイミングで園子が(快斗くん連れて)来るとは思わなかった…。


「よぉ、久しぶりじゃねーか。工藤新一くん?」


園子が連れて来た快斗くんは笑っているけど、全く目が笑っていなかった。


「あー、どっかで見たことある顔だな?名前知らねーけど」


そして新一くんは1ミリも笑わず見下すような目を快斗くんに向けていた。


「あれっ?俺紹介されたはずだけど難しくて名前覚えられなかった?」
「無駄なことは覚えない主義なんでね」
「人の顔と名前を覚えるのは最低限の礼儀だろ。そんなことも知らねーとは、これだから金持ち坊っちゃんはたち悪ぃよな」
「あぁ、溢れ出る品の良さから金持ちってバレちまったか」


…に、逃げたいっ…!
それが今の私の嘘偽りない思いだ。
新一くんが口悪いのは今に始まったことじゃないからいいとしても、快斗くんてこんなチクチク言う人だっけ!?
チラッと蘭を見るとすごく困った顔で新一くんを見ていて。
チラッと園子を見るとすっごい楽しそうな顔でこっちを見てた…。


「あおいちゃん」
「え?」
「もう用済んだ?」
「え、あ、う、うん。済んだけど」
「んじゃあここにいる必要ねーだろ。行こうぜ」
「わっ!?」


バッ!と私の左手を取った快斗くん。


「おい、ちょっと待て。オメーまだ俺の話終わってねーだろ」
「うぉっ!?」


ガッ!と私の右腕を掴んだ新一くん。


「オメー聞こえなかったか?用済んだって言われただろ?」
「いっ!?」


グイッと私を引っ張る快斗くん。


「用は済んでも話が終わってねーんだよっ!」
「ちっ、ちょっ、」


ギュッと掴んだ手に力を篭める新一くん。


「諦め悪ぃ奴だな!」
「かっ、快斗くんっ!」


快斗くんの手にも力が入る。


「諦めるような経験したことないんでね」
「ちょっ、新一くん!」


ググッと新一くんが私の腕を引っ張る。


「負け犬は遠くで吠えるもんだぜ?」
「い、痛いって、」


同じように快斗くんも私を引っ張る。


「負け犬?あぁ、俺の目の前にいるやつか?」
「痛いって!」


ギュッと新一くんが手に力を入れた。
ところで、


「痛いって言ってるでしょっ!?」
「いだぁ!?」


来校者用スリッパを履いていた快斗くんの足を思い切り踏んで、


「へっ!ザマァみやがいってぇっ!!!」


新一くんのスネを思い切り蹴り飛ばした。


「っ!!」
「お、おまっ、思い切り蹴りやがってっ…!」
「2人ともバカじゃないのっ!?そんなに喧嘩したいなら私のいないところでしてっ!!」


蹲る2人を置き去りにして、教室を飛び出した。

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bkm

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