キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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文化祭!


条件


あおいちゃんの正面座位事件があってから、


「快斗くん!」
「おわっ!?」


あおいちゃんがやたら抱きついてくるようになった(それはたまにタックルレベルな勢いで)
この子甘え下手というか、甘え方がわからなかっただけで、やっぱりこうやって甘えたかったのかとかそんなこと思うと、嬉しくならないわけなくて。
ついついニヤけてしまいそうな顔を引き締めるのに必死だった。


「なんで正面からは抱きついてくれないの?」


そーいやいっつもバックハグだよなー、なんて思って軽い気持ちで聞いたわけだけど。


「だ、ダメだよっ!正面なんて、まだハードル高いって!」
「そっかー、ハードル高いかー。早くハードル越えれるといいねー」


俺との正面ハグはハードルが高いらしかった。
あの素晴らしいおっぱいをすでに揉ませてもらってんだけどなー…。
それでもハードル高いのかー…。
いつかこの子の語録で本出せる気がする。


「そーいやさぁ、」
「うん?」
「帝丹て文化祭いつ?」
「あー、今月末だよ」
「マジで?それ外部参加ありな奴?」
「え?どう、だろ?聞いてみないとわかんないけど、」
「参加ありなら俺行きたい!」


聞こう聞こうと思ってたことを、ようやく聞いてみたわけだが。
俺が帝丹の文化祭に行きたい理由なんて1つしかない。
工藤新一はじめとする帝丹のクソ野郎共に、俺の女に手出すんじゃねーぞって見せつけるためだ。


「う、うちの文化祭に?」
「おぅ」
「来たいの?快斗くんが?」
「行きたい!」
「お、おもしろくないんじゃないかな?」
「そんなことねーだろ。園子ちゃんとかめちゃくちゃ気合い入ってそーだし!」
「まぁ園子は…うん…そうだね…」
「だろ?えー、外部参加OKかなー?行けるといいなー!な?」
「えっ!?う、うん…」


何かを感じ取ったのか、歯切れの悪いあおいちゃんを押し切って、帝丹の文化祭に参加する方向で話しをつけた。
工藤新一の吠え面拝めるのが楽しみだ。
そして当日。


「あおいちゃーん!」
「快斗くん!迷わなかった?」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!」


校門前集合で、無事あおいちゃんと合流。
あおいちゃんは制服じゃなく、白いマキシ丈のワンピースを着ていた。
…これは衣装か?


「あおいちゃんのクラスはお化け屋敷って言ったっけ?だからその格好?」
「そうそう。私は事前準備班だったから衣装とかも着なくて良かったんだけど、せっかくだからみんなで着ようってなって。私は黒髪だから貞子なの」


そう言われて改めて見ると、雰囲気貞子目指しました、みたいに見えなくもないが、肌の血色の良さと童顔さからどこをどう見ても貞子って言うより座敷わらしだった。


「あおいちゃんは何しても可愛いねー」


まさか貞子だと言い張る本人に、座敷わらしだろそれ、なんて言えるわけもなく笑って流すことにした。


「あ!あおいー!」
「園子!抜けて大丈夫なの?」
「ヘーキ、ヘーキ!黒羽くん久しぶりー!」
「おー、園子ちゃん久しぶり」


そんなこと話してたら園子ちゃんがやってきた。
…これはわかる、ネコ娘だ。
なんで園子ちゃんがこのクオリティなのにあおいちゃんは座敷わらしなんだ…。


「あおい、さっき教室で蘭が探してたわよ?」
「え!?うそ!」
「ほんとほんと。小道具1つ見つかんないっぽい。行ってやんなさいよ」
「え、で、でも快斗くんが、」
「黒羽くんは私に任せて!」


この段階で嫌な予感はしたんだよな。


「園子ちゃんにテキトーに案内してもらってっから、あおいちゃんは早く用済まして来いよ」


けどまー、誕プレのお礼も言わねーとだし?
園子ちゃんの話に乗っかって、あおいちゃんと少し別行動をすることにした。


「この前誕プレサンキューな」
「あれ良かったでしょー?」
「おー、めちゃくちゃ写り良かったわ」
「でっしょー?私が厳選した奴だからね!」


トン!と自分の胸を叩きながら言う園子ちゃん。
この子財閥令嬢には見えねー、話しやすい子だよな。


「で?」
「うん?」
「俺に何か用?」


その言葉に待ってましたとばかりにニヤリと園子ちゃんが笑った。


「黒羽くん、江古田高なんでしょ?」
「そーだけど?」
「文化祭いつ?終わった?」
「…何もしかして来たいの?」


俺の言葉に園子ちゃんはそれまでのニヤけた顔をやめた。


「そうよ。興味あんの」
「うちの学校に?園子ちゃん彼氏出来たって聞いたけど?」
「男にじゃないわよ!」


失礼ね、と園子ちゃんは鼻を鳴らした。


「いるんでしょ?同じ学校に」
「誰が?」
「あおいにあんな顔させた女よ」


その言葉に、目を見開いて園子ちゃんを見た。


「…何か言ってた?」
「前も言ったでしょ?よほどのことがない限りあおいはそーいう愚痴は言わないわ」
「…だよな」
「だから代わりに見に行くって言ってんの。別に取って食おうってわけじゃなく、単純にどーいう女なのか興味あんの!」


真っ直ぐに俺を見る園子ちゃんは、まさに怖いものなしなお嬢様って奴だと思った。


「園子ちゃんて案外過保護だな」
「バカねー、私がじゃないわよ。アレを近くで見てたらみんな多かれ少なかれこうなるでしょ」


そう断言する園子ちゃん。
…あぁ、そうだな。
園子ちゃんがどーのじゃなく、確かにあれはつい肩入れしてしまう、周りが放っておかないタイプだ。


「んー…、じゃあ条件出していい?」
「条件?なによ?」
「園子ちゃんだけじゃなく、あおいちゃんと、それから蘭ちゃんも連れて来るなら呼んでやるよ」
「…は?なんで蘭も?」


俺の条件に片眉をあげる園子ちゃん。
そんなの、オメーの暴走止める人間が必要だからだろう、とは言えねーよな。


「他校に来るのに女2人より3人のがまだ安心だから」
「…黒羽くんて、」
「何?」
「見た目によらず心配性?」
「オメーに言われたくねーよ!」


いや驚いたわ、と園子ちゃんは言う。
…普通に考えてくれ。
自校の文化祭に他校の彼女の友達を1人だけ呼ぶのおかしーだろ?
なら彼女も呼ぶだろ?
でもあの子が暴走するオメー止められるわけねーだろ。
なら3人目呼ぶしかねーじゃねぇかよ!
なんて考え全く気づいてなさそうな園子ちゃんが、おっけーわかった、と言ってきたから、あおいちゃん蘭ちゃん不在の中、帝丹三人娘のうちの文化祭参加が決まった。

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bkm

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