キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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アブない夏物語


水着購入


怪盗キッドが完全復活してからと言うもの、


「快斗くん、眠い?電話切ろうか?」
「…や、ダイジョーブ、寝てない、ヘーキ」


たまに快斗くんの疲労度がものすごく上がってるのが伝わる。
そういう時の前後はだいたい、怪盗キッドが世間を賑わしているからこれはもう間違いないと思った。


「海?」
「そう。園子と蘭と行くの」


快斗くんがこの状態で、いくら夏休みだからって無理をさせたくない私の夏休みは、友達と過ごすというものになるわけで。


「女3人で?」
「うん、そうだよ」


本当はちょっと遠慮したいところなんだけど、園子の「ナンパされたいから海行くぞ」の号令で海に行くことになった。
別にナンパされたくない私と、ナンパされなくていい蘭を引き連れてナンパされたいというか出逢いを求める園子は夏だ!水着だ!イケメンだ!!ってことで私たちの伊豆行きが決定した。
なんてことまでは、さすがに快斗くんには言えずにいる。


「あおいちゃん、どんな水着着るの?」
「え?んー…今持ってるのちょっとキツくなっちゃったから、新しいの買おうかと思ってるんだけど、」
「わかった、一緒に買いに行こう」


今持ってるの(主に胸が)ちょっとキツくなっちゃったから、新しい水着がほしいんだけどなんて言った私に快斗くんがそう言った。


「え?一緒に行くの?」
「ダメ?」
「ダ、メ、じゃない、けど…」


そんな水着買うって、その場で試着したりするんだけど?え?快斗くんそれにつきあうってこと??それはちょっと恥ずかしくない???


「じゃあいつ行く?」


なんて思うのは私だけなようで。
あれ?快斗くんさっきまですごい眠そうにしてなかった?って思うけど、すっかり覚醒したようで、水着を買いに行く日を決めてその日は終わった。
そして買い物デート当日。


「これ可愛い!」


時期が時期だから水着コーナーにこれでもかー!!ってくらいの色とりどりの水着が置いてあって。
良さそうな物を端から見ていくんだけど、


「それはちょっとなー…」
「え!?だ、だめ?」
「んー…それよりこっち!」


快斗くんに尽くダメ出しされている。


「これ可愛いと思うけど…」
「いや絶対こっち」


快斗くんが薦めてくるのは、なんていうか…可愛さよりも日焼け対策がしっかりされてるもので、なんていうか…私的にだけど…私的に…はっきり言って全く可愛くない。
快斗くんの日頃のファションセンス見て、オシャレさんだなー、と思うことはあっても、いやその服はちょっと…なんて思うことなかったのに、水着に対してはすごく、いやこの水着はちょっと…ってなっている私がいる。


「あ、これいいじゃん」


快斗くんがそう言ったものを見たら、長袖ラッシュガードと下も腿の半分くらいまでの丈のショートパンツ付きの水着だった…。


「可愛くない!」


さすがにこのセンスには物申したい。
こんなので伊豆に行ったらナンパされたい願望ありありな園子にブチ切れられる。


「なんで?快斗くん普段のファションセンス普通なのになんで水着はこんなの薦めるの!?」


私は別にナンパされたいわけじゃないし、むしろされたくないけど、でもそれとはまた別に可愛い水着着たいって思いはあるじゃん!!


「だってさー、嫌じゃん」


快斗くんに物申したら、快斗くんはどこか照れたように首の後ろを掻きながら話した。


「女3人で海なんて、絶対ぇナンパされんじゃん。そもそも他の男にジロジロ見られるよーな水着、着てほしくねーし」


そこまで言うと快斗くんはちょっとムスッとした顔をした。
最近たまに思うんだ。
快斗くん実は、カッコいいだけじゃなくて、可愛いんじゃないか、って!


「ナ、ナンパは、わからないけど、でもほら、蘭がいるし何かあっても、ね?」
「…」
「それに私なんてジロジロ見られないから大丈夫だよ!」


ね?と快斗くんを諭すように言うと、


「…はぁぁ…」


快斗くんは大きいため息を1つ吐いた。


「今日3番目に見た奴」
「え?」
「譲歩できてアレ」


快斗くんは人差し指で、恐らく3番目に見た水着がある方を指刺した。
…3番目に…どんなの見たっけ…?


「こっち」


私の思いに気づいたらしい快斗くんは、その水着がある方に向かった。


「ん」


たくさんある水着の中から1つを取り出し、それを私に渡してくる。
…あぁ!確かにこれ見た!!可愛いって思った!!
それはいわゆる体型カバーに分類されるような胸元もお腹も隠れてる水着で、ワンピースっぽく見えるから可愛いくて思わず手に取った奴だった。


「んー…でもそのデザインならあおいちゃんにはこっちの色の方が合うんじゃね?」


ガチャガチャとかかってるハンガーをずらして、快斗くんはもう1着水着を手渡してきた。


「いいの?」


まだちょっとムスッとしてる顔の快斗くんに聞くと、


「だからー、譲歩できてそれ。あとはダメ。胸出過ぎ。布面積少なすぎ。絶対ダメ」


そう言ってきた。


「わかった。これ試着してみる!」


快斗くんオススメの水着は確かに私が選んだ物よりも、私の肌に合っている気がした。
胸元もお腹回りも隠れてるから安心安全だし、これに決めていざ伊豆の海へ!

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bkm

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