キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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蘇る怪盗


第一報


園子のお家でガールズトークを繰り広げた夕方。
蘭と2人、帰路についていた時、


「既に皆さんの耳に入っているのではないでしょうか?引退説、死亡説様々な噂が飛び交いましたが、実に7年ぶりに姿を現しました!怪盗1412号、通称怪盗キッドです!!」


その言葉を理解するよりも先に、街頭ビジョンに目が行った。


「覚えている方も多いかと思います。あの怪盗キッドが7年ぶりに犯行予告を出しました!」


大型ビジョンに映し出されるのはキッドマークがついているカード。


「あぁ、最近このニュースで持ち切りだよね」


隣を歩いていた蘭も街頭ビジョンに目をやりながらそう言った。


「最近?」
「あれ、あおいニュース見てないの?最近この白い怪盗がまた活動してる、って話題になってるよ」
「…最近て、いつくらいから?」
「え?うーん…1〜2週間くらい前からニュースで見るようになったかなー?」


きっとネットニュースに書いてあるよ、と蘭は言う。
自分で言うのも何だけど、ニュースなんてほぼ見ない。
…物だから、このニュースを全く知らなかった。


「帰ったら見てみる」


そう言った後、蘭と少しお話をして解散になった。
急いで家に向かって、ネットニュースを確認すると、蘭が言うように、10日くらい前から怪盗キッドの名前が記事に出ていた(その頃の私は快斗くんの誕生日プレゼントに荒ぶっててそれどころじゃなかった!)
7年ぶりに姿を現す、とか、世紀の大怪盗復活、とか。
そんな見出しが踊っていた。
…でも原作の怪盗キッドの復活は8年ぶりだったはずだ。
快斗くんが高校2年の時の出来事。
それがなんで1年も早まってしまったのか…。
確かに私の存在がいることで、何かが変わってしまうのかもとか思っていた。
それでもニューヨークの事件は起きて、ベルモットーその時は通り魔だったけどーを助けるっていう流れは変わらなかった。
新一くんの言葉もそのままだったし。
…でも、蘭はあの時怪我をしてしまった。
厳密に言えば、ベルモットを助けたのは私と新一くんで、蘭はその時落ちそうになった私の身体を支える形になったっていうのは、否定の出来ない事実なわけで。
ちょっとずつ、何かが変わってる、とか…?
そもそも、怪盗キッドが現れたってことは、これはもう快斗くんキッド?
でも、復活後のしばらくは寺井さんがキッドになってたはず。
でもでも、目撃者の証言だと「摩訶不思議な奇術」って書かれてるし、やっぱり快斗くん?
でもでもでも、快斗くん全然そんな素振り見せないし…ハッ!これがまさか噂のポーカーフェイス!?


to:黒羽快斗
sub:少しでいいから
本文:お話したいです


とりあえず今日は法事って言ってたけど、そんな1日中法事なわけはないし、今もう夕方だから送っても大丈夫だよね!?
って思った私は快斗くんにメールを送った(ちなみに誕生日おめでとう電話は日付変わる頃に済んでいる)
そしたら5分もしないうちに電話がかかってきた。


「は、はい…!」
「あおいちゃん、おつかれー!今日友達と会って楽しかった?」


電話の向こうの快斗くんは、やっぱりいつもの快斗くんで。
えー、これわかんない!どっち!?今誰が怪盗キッドなの!?でもダイレクトに聞けなくない!?


「快斗くん、」
「うんー?」


でも知りたい…!ヒントほしい!!って思った私が無い知恵振り絞って出した質問は、


「げ、元気?」


なんでそれを聞いたんだ、っていう物だった…。


「ぶはっ!おー、俺ちょー元気だよ!てか夜も電話したじゃん!」
「あ、うん…だよね…」


快斗くんは私の唐突な質問に爆笑した。
…もっと上手く聞き出したいのにっ!


「なに、あおいちゃん。寂しくなっちゃったの?」


俺に会えなかったから、なんて快斗くんは言う。
…そうだけど違うの!!


「寂しいっていうか、」
「うん?」
「快斗くんどこで何してるかな、って…」


コソコソ探るなんてこと私に向かないから、いっそのこと直接的だけど聞いてしまえ…!と開き直った私。


「え?…部屋でパソコン弄ってたけど?」


だけど(当然のことながら)快斗くんの答えは満足できるものではなくて。
これどうやったらわかるのかな…。
快斗くんがすでに怪盗キッドなのかどうか探るために今快斗くんの頭脳がほしい…!


「どうした?何かあった?」
「何、にもない、けど、」
「けど?」
「気になっちゃった、から、」
「…そっかー、気になっちゃったかー」


快斗くんの頭脳とまでいかなくても、新一くんの頭脳でもいいからほしい…!
もう…!もうっ!!


「俺明日行こうか?」


私が歯ぎしりギリギリしてたら、快斗くんが優しさを見せてきた。


「来てくれるの?」
「もちろん!じゃー明日さぁ、」


電話で話してても、らちがあかない。
ならもう本人を前に聞くしかない。
そう思った私は快斗くんとの約束を取りつけた。

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bkm

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