キミのおこした奇跡ーAnother Blue


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蘇る怪盗


ガールズトーク


快斗くんのお誕生日当日。
週末だけど快斗くんと会う予定のない私は、ここぞとばかりに園子の号令の元、蘭と共に鈴木家を訪れていた。


「で?あおい決めたの?プレゼント!」


そうじゃないかな、って思ってたんだけど、やっぱり話題はそうだった。


「決めた、っていうか…あ、あげた、よ?」
「え?なにをあげ」
「マジでェェエエ工!?!?」


蘭の言葉をかき消すように園子が叫んだ。
…やっぱり学校で言わなくて正解だったと思う!


「ちょ、詳しくっ!!」
「だから何の話?」
「あ、快斗くんの誕プ」
「黒羽くんとヤッたのよ!!」
「えっ!?!?」
「ヤッてないっ!!」
「じゃあ何あげたっての!?」
「ちょっ、園子一旦落ち着いて、」


目をギランギランにさせた園子に、若干引き気味の蘭の静止が入った。
…蘭がいてくれて本当に良かった!!


「だ、だからっ…!最初に言っとくけど、さ、最後までは、してないから…!」
「じゃあ何やったのよ!?」
「園子落ち着いて、」
「だって蘭も思わない!?あんなに頻繁に会ってるのにキスしかさせないのよ!?黒羽くん可哀想でしょ!」
「え、えぇー…」


何故かこの事に関して快斗くんの肩を持つ園子。
この状況でも私の肩を持ってくれてらしい蘭は、園子の言葉に同意しかねていた。


「さ、最後、まで、は、してないけどっ!…ち、ちょっ、と、進んだかなー、って、」
「ちょっとって!?」
「む、胸、は…って、いったい!!」


目がギランギランな園子を前に、話すという選択しかない私は正直に話したんだけど、徐に園子に右のおっぱい鷲掴みにされた。


「胸か…!」


私の胸から手を離した園子は、そう言いながら自分の胸を触った。


「やっぱりもうちょっと胸を強調するような服に替えようかしら」


何か思うところがあるようで、園子はこの日を境に、結構ボディラインが出るような服を好んで着るようになったと気づくのはもう少し先の話だ。


「あーあー、私も誰かいないかしらー」


散々騒ぐだけ騒いだ後で、園子が頬づえつきながらそんなことを言った。
園子のこれはもう中学の時からのことで。
園子は特に男の人が好き!とかじゃなくて、鈴木財閥なんていうとんでもないお金持ちの家に生まれたから、近寄ってくるのはだいたい「鈴木財閥」が目当てな人たちばかりで(現に園子の周りの男の人は野心家そうな年上が多い)
だからこそ、こうやってよく出逢いを求めるような発言をする。
だから、また始まった、くらいな気持ちでいたんだけど。


「…そうだよね。彼氏、とか、憧れちゃうよね」


初めて蘭がこういう話しに乗っかってきた。


「…蘭も憧れるの?」


びっくりして思わず聞いてしまった私に、


「えぇー?そりゃあ憧れるよー。特にあおいの話し聞いてると、黒羽くん優しい彼氏みたいで、いいなー、って思うよ?」


ちょっと恥ずかしそうに言う蘭。


「蘭、は、いないの?好きな人」


ニューヨークの事件を経てから、初めて蘭に、そのことを聞いた。


「…い、いないわよ、嫌ねー、もう!」
「私、」
「うん?」
「蘭も園子も、…親友、って、思ってるから、快斗くんのこと話すんだよ」
「…うん」
「それで蘭はいないの?」
「…えっ!?」


じーーーーっと、蘭を見ると、蘭は顔を赤くして目を彷徨わせた。


「な、なんでそんなこと言うの、」
「だって蘭は今まで園子の話しに乗っかって来なかったもん。園子が彼氏ほしー、って言っても笑ってるだけだったじゃん」


私の言葉に蘭は観念したかのように大きな大きなため息を吐いた。


「あおいは人のこと、よく見てるね」


それまで頬づえついてた園子も、おっ、と思ったのか蘭を真正面に見据えた。


「…好き、とか、まだわからないけど、気になる奴は、いる、かな…?」


コホン、と片手を軽く握り口元を隠しながら咳払いをした蘭。
蘭は誰のことかは言わない。
でも園子も私も、誰のことかはわかっていて。
だから蘭も、私たちがわかってる、って、気づいてるのかもしれないけど…。


「何よ何よ!結局相手すら見つかってないの私だけじゃない!」


誰も「彼」の名前は言わないけど、そうなんだと受け止めた不思議な空気だった。


「そもそも園子ってどんな人がいいの?」
「そうねー、あんたの彼氏みたいに料理できる男で、蘭みたいに強くて、新一くんみたいにストイックなところとかもいいわね」
「え、そこに私の名前なくない?」
「だからあんたの彼氏みたいにって、」
「それは快斗くんみたいに、ってことでしょ?そうじゃなくて、蘭みたいにとか新一くんみたいにとかあるなら私要素あってもよくない!?」
「あおいの要素ー?………あー、そうね。あおいみたいに素直で可愛げのある男がいいわ!」


園子はニヤリと笑う。


「…つまり?料理できて強くてストイックで素直な男の人、ってこと?」
「え、園子それいないよ。そんな人いない。目覚まそ?」
「あんただけには言われたかないのよねっ!」
「いったーい!!園子のおでこパチン、ほんとに痛いんだからね!?」
「あおい、大丈夫?今すっごい良い音したけど、」
「叩きやすいのよ、このおでこ!蘭も叩いてみる?」
「やめてよ!!」


蘭が誰を好きだとか。
園子がどんな人がいいとか。
快斗くんの誕生日に、そんな女子トークをずっと繰り広げていた。

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bkm

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