NARUTO


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ゆびきり


7


「ユナ」
「はい?」
「結婚してくれ」


そんなこと思っていた時に耳に入った風影様の言葉に思わず目を見開いた。


「…」


もうこれは間違いない。


「式を済ませた後でなんだと思うかもしれんが、一応、言っておいた方がいいかと思ったんだが…」


軽く目を伏せながら言う風影様を見て、息を吸い込んだ。
瞬間、


「我愛羅ー!」


まさに場外から、声が響いた。


「飲んでるか!?」
「…ナルト、今大事な話の途中で、」
「この酒めっちゃめちゃ美味いってばよ!!」


さぁ飲めとでも言うように、風影様のグラスにお酒を注ぐナルトに、


「…」


風影様は困ったような顔をしながらも、その行為を受け入れていた。


ーオレは、愛と言うものを知らずに育ったー


「あのっ、」


ナルトが注いだお酒のグラスを口に持っていこうとしていた風影様に声をかけた。


「私は、たぶん、大事にされて、育ちました」
「…」
「両親こそ、早くに亡くなってしまったけど…、それでも祖母の手で大事に育てられたと思います」


ー最近になってようやく『友』と言う者の存在や『兄弟』の有り難みがわかるようになってきたくらいだー


「その祖母も、3年前に亡くなってしまったけど…」
「…」
「だけど、祖母が教えてくれた『家族の有り難み』なら知ってます」


ーそのオレが『ごく普通の家庭』などと言うものを築くなど出来ないと思っているー


「それが『ごく普通の家庭』だったかって言われたら困りますが…、」


ーだが…ー


「でもっ、」


ーそれでも構わないなら、生涯傍にいてくれないか?ー


「それでも…いいですか?」


私の言葉に、


「…」


風影様は一瞬視線を彷徨わせた後、手に持っていたグラスをぐぃっと一気に傾けた。


「ナルト、空いたぞ」
「え?あ、あぁ…。てゆうか今大事な話してたんじゃ…?」


ナルトがチラッと私を見てきた。


「ユナ」
「は、はい!?」
「お前も飲むか?土影から結婚祝いに贈られてきた酒だ。美味いぞ」


そう言いながら、私にグラスを差し出してきた風影様。
一瞬、そのグラスを見つめたものの、


「い、いただきます…!」


先ほど風影様がそうしたように、私も一気にグラスを傾けた。
グラスを口から離したら、おー、と言うナルトと、少し目を細めてこちらを見ていた風影様。


「そう言えばナルト。風影様とは火影になった暁に盃を酌み交わすって言ってなかった?今お酒一緒に飲んじゃっていいの?」
「ぐっ…!我愛羅も気をつけるんだってばよ!ユナってたまに痛いところついてくるから!」
「あぁ…だが次に飲むのはお前の結婚が先か火影になるのが先か…。どちらが先だろうな?」
「6代目はカカシさんって話だし、ナルトのその手の話は全く聞かないし。どっちもずーーーーっと先かもしれませんよ?」
「そうかもしれないな」
「我愛羅まで酷いってばよっ!今に見てろよ!?俺ってカカシ先生のなき後7代目火影になるからなっ!」
「…『おめでたい席』で、カカシさん殺しちゃった…」
「え?」
「随分と短命な火影だったな」
「え?え?…俺って何か言葉間違えた!?で、でもほら、酔ってるし!我愛羅もユナももっと飲めってばよ!」


そう言いながらお酒を薦めてくるナルトに笑顔で答えた。

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bkm

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