NARUTO


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ゆびきり


6


「オレは、愛と言うものを知らずに育った」


風影様の過去について、多くのことを知らない。
私が知っているのは「人柱力」と言うことで、とても孤独な…かつてナルトがそうであったような幼少期だったようだと言うことだけ。


「最近になってようやく『友』と言う者の存在や『兄弟』の有り難みがわかるようになってきたくらいだ」


ただナルトよりももっと過酷な幼少期を過ごしたらしいと言うことだけは、私の耳にも入っていた。


「そのオレが『ごく普通の家庭』などと言うものを築くなど出来ないと思っている」


オレ自身普通がわかっていないのだから、と私を見ることもなく風影様は言う。
淡々とそう語る風影様に何を言ってみようもなく、少し唇を噛み、続きを聞いた。


「だが…、」
「…」
「それでも構わないなら、生涯傍にいてくれないか?」


それまで私を見ることなく話していた風影様は、私の目を見据えてそう言ってきた。


「…」


これは、どうすればいいんだろう…。
どんな求婚をするのか、って聞いたのは私だ。
風影様はそれに答えてくれただけなはずなんだけど…。


「…」


少しだけ唇が震えている気がしながら、何か言わなければと口を開こうとした。
その時、


「…と、言う。オレならな」


風影様がポツリ、と言葉をつけ加えた。


「え?あ、あぁ、そう、なんです、ね…」


その言葉に辛うじて返事をしたものの、顔が熱くなるのを感じた。
風影様は私の問いに答えただけなのに、それをそのまま自分に言われてるのだと勘違いをおこしてしまったのだから、顔に熱も集まるというものだ。
…だけど私は今「本当に求婚するつもりならなんて言っていたか?」と聞いたわけだけど、風影様はさっき相手が私なら問題はない、と言っていてそれってつまり今回のことがなかったらいつかは私に言ってくれていたんじゃないか、って思えなくもないけどそうなると今の言葉ってあれ?


「ユナ」
「はいっ?」


そんなことを脳内で考えていた私に、風影様が急に声をかけて来たものだから思わず声が裏返った。


「お前ならどう言われたい?」
「え?求婚されるなら、ですか?」
「あぁ」
「…私、なら…、」


以前私を見ている風影様からまるで顔を隠すかのように無意識に頬に手をあてた。


「私は、シンプルがいいです」
「シンプル?」
「はい」


手のひらに伝わる自分の頬の熱は、いつもよりも高く感じた。


「今回のこともあるし…、誰が聞いてもわかる言葉がいいです」
「…例えば?」
「え?そう、ですね…結婚しよう、とか、結婚してくれ、とかですかね?」


熱いのは私の頬か、この部屋の熱気か…。


「ユナ」
「はい?」
「結婚してくれ」


そんなこと思っていた時に耳に入った風影様の言葉に思わず目を見開いた。

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bkm

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