NARUTO


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ゆびきり


44


「…1人だと、意外と広い…」


戸締り完璧だし、さぁ寝ようと言う時。
寝室に入ったものの、いつも隣にいる人がいないだけでベッドがものすごぉぉく広く感じた。


「…」


そのまま目を閉じたものの、なかなか寝つけず…。
だからって今さら以前私が使っていた部屋に行くのも億劫で。
明日からは向こうの部屋で寝ようか、なんて考え至りながら眠りついた。




「これで今回の会談は全部終わったじゃん」
「…そうだな」
「我愛羅、もう後は帰るだけなんだから、」
「カンクロウ」
「うん?」
「未だ結論が出ないんだが、帰ったら外から見えないように風呂場を改装した方がいいか、いっそ引っ越した方がいいのかどちらがいいと思う?」
「(何を悩んでるかと思ったら…。いっそ好きにしたら良いじゃん…)」
「話を切り出すにしても、あそこに住むようになってわずか4ヶ月で引っ越しと言うのは不自然じゃないか?」
「(我愛羅、気を使う場所はそこじゃないじゃん…)」
「ならば改装か?だがなんと言って風呂場だけ改装すればいい?うかつに口にしては先日のことがユナにバレてしまう」
「(一応砂の目で見ちまった後ろめたさはあるんだな…)」
「かと言ってあんなに容易に見える間取りをあのまま、と言うのはオレ的に納得がいかん。どれが最善だろうか…」
「(一見すげぇ真面目な話してるように聞こえるけど突き詰めると、嫁の風呂覗いちまった罪悪感から来てるだけなんじゃん?て、気づいてねぇんだろうな…)」
「おい、カンクロウ聞いているのか?」
「…あぁ、うん、俺だったら引っ越しは止めるな(そんなことくらいでいちいち引っ越してたら生涯何度引っ越さなきゃなんだ、って話じゃん)」
「ならば改装か…。だがユナになんと言えば納得してもらえるだろうか…」
「あー、もうそこはテキトーに大名のところで見た風呂場が良かったからそれに変えるとでも言えばいいんじゃん?」
「…カンクロウ」
「うん?」
「オレは今、お前のことを心から見直した」
「(尊敬したとかじゃなく『見直した』なのかよ…。いやこんなことで尊敬されても困るだけだけど、我愛羅から見た俺って一体…)」
「問題も解決したし、帰るか」




私も一応、くノ一としてやってきたから敵が近づいて来たらわかるわけだけど。


「…んっ…」
「悪い、起こしたか?」


考えてみれば我愛羅は敵なわけじゃないんだから、すぐ近くに来るまで気づくことが出来なくても仕方ないのかもしれない。


「…があら?」
「まだ荷解きも残っているし、すぐ出て行く。寝てていい」


そう言って我愛羅は私の両瞼を片手で覆うように触れてきた。
結局我愛羅が旅立った翌日から自分の部屋で寝ていた私のところに、帰宅した我愛羅はやってきたわけだけど。
…さすが風影とでも言うのか、抜き足が高度な上爆睡してたから、こんな近くに来るまで全く気づかなかった…。


「おかえり、があら」
「…ただいま。それと、」
「うん?」
「おやすみ、ユナ。良い夢を」


そう言い私の目を覆いながら、額に口づけ、来た時と同じように音もなく我愛羅は部屋から出て行った。



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bkm

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