NARUTO


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ゆびきり


43


「4泊5日?」
「あぁ」


我愛羅との初デートと言うものも無事に終えたある日の夕飯で、我愛羅が近々泊まりがけで風の国
大名の元へ行くことになったと告げてきた。


「そっか…、大変だね。気をつけて」


木の葉の火影様もたびたび大名に呼び出されていたし、影になったらそういうこともあるんだろうな、くらいの認識だった。


「必要であれば行く前にこの家の結界を強める」


ご飯も終わり、食器を片づけ始めていた私の耳に、我愛羅がおもしろいことを言ってきた。
元々火影様の自宅がそうだったように、この里でも里長である風影の家は強めの結界が張られている。
…ものだから、特に必要ないと思った。


「大丈夫だよ、そこまでしなくても。…木の葉とは違うかもしれないけど、ここもそこまで治安悪くないでしょ?」
「…だが、」
「大丈夫、大丈夫。私もこう見えて上忍試験を受けろって言われてたくノ一だよ?何かあっても一応は対処できるから心配しないで」


私が上忍試験を受けなかったのは、そのまま忍界大戦へと突入し、大戦終結後はこうなったから上忍試験どころじゃなかったからだ。
でも先生から上忍試験を受けるようにと言われていたくらいの忍術や経験はあるつもりだ。


「…お前がそう言うのであれば…」


どこか納得していないような、そんな表情をしていたものの、我愛羅は了承の言葉を口にした。




「バキ」
「どうしました?風影様」
「オレの家の結界を強めてもらえるか?」
「え?えぇ…まぁ、それくらいならすぐ出来ますが、何か問題でも?」
「問題が起こってからでは困るから強めてくれと言っている」
「(そりゃそうか…)わかりました、今夜にでも」
「頼む」




「…結界、何かした?」
「オレは何もしてない」
「そう…?」


翌朝、どことなく、いつもと違う雰囲気がこの家を包んでいて、了承の言葉を口にしたのにこの人何かしたのかと我愛羅に聞くものの、何もしていないようだった。
…でもやっぱりどこか違う雰囲気があるし、誰かが結界を弄ったんだと思う。
じゃあ誰が?となった時、思い当たるのは曰く世話焼きな義理の姉兄なわけで。
今度会った時にでも聞いてみようか、なんて思った。


「昨夜も言ったが何かあればバキを頼ってくれ。バキにも伝えておいた」


我愛羅が風の国の大名の元へ行く当日。
出発前に我愛羅が念を押すように言ってきた。


「わかってる。…でも昨日も言ったけど、そんな心配するようなことにはならないから大丈夫」
「…念には念を、だ。何もなければそれでいい」
「はいはい」
「…では、行ってくる」
「うん、気をつけて」


そう言って、我愛羅は出て行った。
…まぁ、本当に何もないだろうけど、戸締りだけはいつも以上に気をつけようと、去っていく我愛羅の背中を見ながら思った。




「どうした我愛羅?思いつめた顔して。明日の会談で心配事でもあるんじゃん?」
「カンクロウか…。いや、明日の会談と言うか…」
「うん?」
「…ユナは大丈夫だろうか?」
「………」
「オレの帰りが遅かったことはあっても、ユナが砂隠れに来てから丸1日1人で過ごすなんてこと今回が初めてだろう?何かあったらと思うと、」
「忘れてるのかもしれねぇが、」
「うん?」
「ユナは木の葉でも屈指の水遁遣いだったし、何かあっても自分でなんとか出来るくらいの忍術は持ち合わせてるじゃん?(しかもバキの話だと家の結界強めたとか言うし、何があるんだって話だ…)」
「しかし…少しでも様子がわかれ、ば、」
「…我愛羅、もしかして、」
「…」
「いや、待て。心配なのはわかる。わかるがそれは、」
「………」
「(聞いてねぇ…)」
「…っ!?」
「どうした!?」
「…ユナが、」
「(まさか本当に、)ユナに何かあったのか!?」
「…………」
「我愛羅?」
「…ユナが、」
「うん?」
「ユナが風呂に入っていた…!」
「(…俺の可愛かったはずの弟が、)」
「オレは別にそういうつもりで見たわけじゃ、」
「(本格的に律儀で生真面目な変態になってきた…)」
「だがなんだこの言い知れぬ罪悪感は…!」
「それが覗きってことじゃん?」
「違う!オレは風呂を覗いたわけじゃなくユナは大丈夫なのかと見ただけで、」
「結果的に風呂を覗かれたんだから大丈夫じゃないじゃん…?」
「だから風呂を覗いたんじゃない!1人の時に倒れてるよりはいいだろう!?」
「1つ聞くが、」
「…なんだ?」
「…ユナが砂隠れに来てから倒れたことあったか?」
「ないな。いつも元気に過ごしている」
「なら今回も早々に倒れたりしないからもう砂の目を使うのは止めろ。少なくとも俺の目の届く範囲でユナに対して砂の目を使うな(じゃないとバレた時、俺まで変態扱いされるじゃん…)」
「(むしろ今回のことで本人が倒れるどうこうより、ユナの風呂を覗きに来る輩がいる可能性も出てきて余計心配になったんだが…)」




「戸締り、オッケー」


全ての施錠を確かめ、体を休めるべくベッドへと向かった。



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bkm

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