■ 45
「ん…、ふぅああ…」
翌朝、1つ大きなあくびをしながら起き上がった。
…昨夜はあのまま眠気に勝てず寝てしまったけど、予定より早く我愛羅が帰ってきたと言うことは朝食を作る必要が出てくるわけで。
急いで階下に向かい朝食の準備をした。
「これでよし、と」
いつもなら朝食準備が出来たくらいに我愛羅は階下に降りてくるんだけど、今日はまだ降りてくる気配すらない。
今日の仕事については何も聞いてないけど、もしあるんだとしたらそろそろ起こしに行かないとと思い、我愛羅が寝ているはずの部屋へ向かった。
「我愛羅ー?朝だよ?」
ドアを開けながら言うものの、ベッド付近で何かが動くような気配は全くなく…。
そのまま部屋に入ってベッドに近づいた。
瞬間、
「っ!?」
驚きのあまり体が震えた。
…この人、うさにゃん抱きしめて寝てる…。
先日、自室で寝ようとした時、なんとなくくましゃんを持って行ったのは私だ。
だからここにはうさにゃんしかいない。
………でもそういうことじゃなくて、何可愛いことしてるのこの人…。
「…我愛羅?」
「…っ…」
がっしりと両手でうさにゃんを抱きしめ横向きで寝てる我愛羅に、ためらいがちに声をかけると、
「…」
ゆっくり目を開け腕の中のうさにゃんを見て、次に私を見て、もう1度うさにゃんに目を向けた。
「…」
「わっ!?」
と思ったら、うさにゃんをポイっと自分の背の方へと追いやって、ベッド脇に立っていた私の腕を引っ張り、それまでうさにゃんにしていたように私を抱きしめてきた。
「我愛羅?」
「こっちがいい」
何言ってるの、とツッコミを入れたくなるようなことをすごく小声で口籠るように呟いた我愛羅。
…これは寝惚けてるんだろうか、それとも素なんだろうか?
まだイマイチ判断しきれない私は、そのまま我愛羅腕に手を回した。
「…ユナ」
「うん?」
「おはよう」
その後しばらくしてゆっくり目を開けたと思ったら、数日ぶりにおはようのキスをしてきた。
「おはよう。ゆっくり眠れた?」
「…」
「え?な、…ん…」
私の言葉に一瞬沈黙が訪れたと思ったら、我愛羅が頬を掴んで
「昨日の分」
「昨日?…ん…」
「一昨日の分、」
「…ふっ…」
「その前の分だ」
何度もキスをしてきた。
…あぁ、この人おはようのキス「毎日」するものだって思ってるんだ…。
「ユナ、留守中何もなかったか?」
「うん、大丈夫だったよ?」
「そうか」
私の頬を掴んだまま聞いてきた我愛羅に笑顔で答えると、再び私を抱きしめてきた。
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bkm