■ 42
「ユナ」
「うんー？」
「買えて良かった。ありがとう」
我愛羅が目を細めながらそう言ってきたものだから、
「なら良かった！次はお夕飯のお店？どこにする？」
なんだか嬉しくなって我愛羅の腕に抱きついて歩き出した。
「おい、見たか今日の風影様！」
「え？見てないけど…何かあった？」
「今来てる行商隊の市でユナ様の髪をまとめあげてカンザシを挿すと言う行為を見せたらしい」
「『あの』風影様が！？」
「そうなんだよ！その後その露店が大盛況で、」
「というか、あの2人一緒に出掛けることなんてあったのね…」
「…そう言われればそうだな」
「喧嘩も多いようだし、あまり仲が良くないのかもって噂もあったけどそういうことをしているならそうでもなかったのね」
「単に時間がなかっただけじゃないか？今どこも忙しい時期だし」
「ならお子様の話も近々聞けるかしら？風影様とユナ様のお子様ならどう転んでも顔の良い子になるだろうし楽しみだわー！」
「（忍びは顔じゃない、忍術だ…）」
「おはようござます、風影様。久しぶりの休日、静養出来ました？」
「おはよう。…あぁ、楽しいものだった」
「なら良かったですね」
「むしろ何故もっと早くデートをしなかったのか少し後悔したくらいだ」
「（そりゃあんたが仕事馬鹿だったからだろう…）そう思うなら、今後休みにはユナ様を誘われて出掛けるといいですよ」
「そうだな。…あぁ、そうだ。先日から来てる土の国の行商隊、都合がつけばまた呼んでくれ」
「（あぁ、えらい口の上手いカンザシ商人がいたらしいよな…）今回の市は随分と盛況だったようですね」
「そうだな。売り物も珍しく足を止める者が多かった」
「（そりゃあんたがユナ様の髪まとめ上げてカンザシ挿してる現場に遭遇したらみんな足を止めるだろう…）そうなんですね。行商隊長と予定合わせてみます」
「頼む。…それから、」
「はい？」
「ユナは腕を組みたいタイプだったようだ」
「（なんでそれを俺に言う！？）…そうなんですか？意外ですね」
「…木の葉の女はそういうタイプが多いのかもしれない」
「（あぁ…解釈そっちにいったか…）でもまぁ、楽しかったようで何よりです」
「お前には本当に世話になった。ありがとう」
「（感謝された…！？）いえっ、とんでもない！またいつでも聞いてください」
「そうか、助かる」
「え、えぇーっと、サボテンの育て方、と…」
我が家にやってきたサボテンは、基本我愛羅が育てるだろうけど、我愛羅が不在の時はやっぱり私が見なければいけないわけで。
結婚後初めての我愛羅のお休みが開けた日、砂隠れの図書館に行き、サボテンの育て方が書かれている本を必死に探していた。
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bkm