NARUTO


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ゆびきり


35


「近々テマリの計らいで休みを貰えることになった」


うさにゃんが我が家にやってきて10日くらい経った日の夕食で、我愛羅がポツリと呟くように言った。


「本当!?」
「あぁ」


ここに来て間もなく4ヶ月、ようやくこの人にも「休日」と言う日が与えられるようだ。


「あ、あのね、」
「うん?」
「せっかくだから、どこか行きたいなぁ…なんて、」
「…行きたいところがあるのか?」
「そういうわけじゃないけど…」


私たちは世間一般のおつきあいと言うものをすっ飛ばして結婚してしまったわけで。
…そりゃあその時の知り合いの中では好意的な位置にいたのは確かだけど…。
でも世間の恋人たちがするようなことをして来なかったわけで。


「里内でいいから、デ、デート、とか…してみたいなぁ、なんて…」


せっかくのお休みなんだし!なんて思って口にしたわけだけど…。


「………」


我愛羅からは沈黙と言う形での返答がきた。


「……だ、だめ?」
「駄目も何も、」
「う、うん?」
「デートと言うのは結婚前の男女がするものだろう?」
「…」


我愛羅が口にした言葉に、咄嗟に次の言葉が出てこなかったのは、決して私に非があったのではないと思う。


「…デートっていうのは、」
「大体、里内などいつも視察で見て回ってる。休みの日まで見て回る必要などないだろう。そんなことより久しぶりにゆっくり寝ていたい」
「………」


そう言い終わると味噌汁に手を伸ばし口にした我愛羅。
…………「そんなこと」?
今この人、「そんなこと」って言った?
そりゃあ風影として里内の視察も仕事の一環でしょうけど?
私がデートしたいって言ったことに対して「そんなこと」?


「すまん、醤油取ってくれ」
「…」
「ユナ、醤」


ダンッ!


私の近くにあった醤油の瓶を明らかに怒りをこめて我愛羅の方へと置いた。


「…何を怒ってる?」
「別に何も怒ってない」
「そんなわけないだろう。何を怒ってる?」
「だから別に何も!」
「オレは言ってくれなければわからない」
「…」
「何かが気に障ったなら」
「別に何も怒ってないって言ってるでしょ!?だいたい怒ってるって思うなら少しは自分で原因考えなさいよっ!それがわかるまで私に話しかけてこないでっ!!!」


フン!と我愛羅から顔を背けて自室に向かった。




「(今日は明らかに我愛羅が暗い上、他の側近からお前が聞けって目で訴えられて俺も大概辛いじゃん…)な、なぁ、我愛羅、」
「…なんだカンクロウ」
「お前なんかあった?なんか今日は様子が変じゃん?」
「(カンクロウが聞いた!)そ、そうですよ!私も気になっていたんですが、」
「別に何も」
「いや我愛羅、何もってお前、」
「…と、言われた」
「は?」
「…だ、誰に?」
「ユナに」
「「(またそれか…)」」
「明らかに怒っているんだが、何に対して怒っているのかわからない。聞いても『別に何も』と言われた上…」
「言われた上、どうしたんじゃん?」
「…話しかけてくるなと言われた」
「(結構深刻?)なんでそんなことになったんです?」
「わからない。今度休みが貰えると言う話をしていたんだが…」
「(そうそう、そのせいで俺しばらく休みないじゃん…)そこをもう少し詳しく」
「…休みが貰えると言ったらユナがデートしたいと言ってきた」
「(くっそ、新婚が…!)いいじゃないですか、可愛らしい」
「だがデートと言うのは結婚前の男女がするものでする必要がないだろうと言った」
「…は?」
「え?」
「そもそもデートをするにしても里内で、とユナは言っていたが、里内なら視察で見て回っているから休みの日まで見て回る必要がない。そんなことより寝ていたいと言った」
「…それ本当に言ったんですか?」
「あぁ」
「その後にユナがキレたんじゃん?」
「よくわかったな。その通りだ」
「風影様…(明らかにあんたが100%悪い…)」
「(ユナがキレて当然じゃーん…。これでまた前みたいな騒動になったら俺がテマリに怒られるんだろ…?どうしたらいいじゃん…)」




今朝、我愛羅がすっごく何かを言いたそうにしていたのを綺麗に無視して、今だイライラの収まらない心をどうしてくれようかと思っていた。

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bkm

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