NARUTO


≫Clap ≫Top

ゆびきり


30


「いいか、風影様にユナ様の話題を出すなよ」
「あぁ、昨日出て行く宣言されたそうだしな」
「穏やかな方だと思ったんだが、意外と気性が荒いのかもしれん」
「女は怖いからな…っと、おはようございます、風影様」
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「(良かった、普通なようだ)今日の予定ですが、」
「その前にいいか?」
「はい?」
「…今後4日か、最低でも5日に1度は早く帰れるように…夕飯の時刻頃帰宅出来るよう協力してほしい」
「4〜5日に1度、ですか?」
「あぁ。…でなければ離縁される」
「「!!?」」
「頼めるか?」
「(そうか、ユナ様はそれで手を打たれたんだな…)もちろんです!」
「(夕飯遅れたら離縁か…。やはりユナ様はあぁ見えてお強いのかもしれぬ)及ばずながら私も協力させていただきます」
「助かる」



「テマリ、どうした?みんなを集めて」
「来たか、我愛羅。じゃあ、今言ったように今日から我愛羅の仕事の一部をここにいる者に振り分ける」
「え?」
「全員異論はないそうだ」
「(異論なんてさせないだけじゃん…。今日から帰宅何時になるんだ…)」
「待て、テマリ。どういうことだ?」
「聞いた通り、仕事を振り分ける。お前は働き過ぎなんだよ。休みなく働いているお前の話をしたらみんな快く引き受けてくれたぞ」
「(俺一言も快いこと言ってないじゃん…)」
「だがなテマリ、」
「だがも何もない。お前のこの3ヶ月間の働きを振り返れば、毎日18時に帰宅させることくらいどーってことないはずだ」
「18時!?だがそれでは仕事が、」
「だから振り分ける、と言っている。お前が真夜中までかかって1人でやっていたことを複数に分ければ1人あたりの帰宅時間もせいぜい2時間遅くなるくらいだろう」
「(俺だけ明らかに振り分け量多いのに2時間で帰れるわけないじゃん…)」
「…カンクロウも同意してるのか?」
「(してない、なんて言えるわけないじゃーん…)あぁ、お前ももう少し休むことを覚えろ」
「……テマリ、カンクロウ。みんなも、すまない…ありがとう」
「(我愛羅が感謝した…!)いいんだ。もっと早く気づくべきだった。昨日ユナに言われるまでお前が1日も休みがなかったなど知らなかったんだ」
「…あぁ、ユナが…」
「だから今日からでも、早く帰ってやれ」
「そうだな」



「では奈良、この書簡を火影殿に頼む」
「リョーカイ」
「それと、」
「あ?」
「…昨日はユナが世話になった」
「…」
「お前には本当に感謝している」
「(なるほど。その後もそれなりに上手くいったみてぇだな…)そりゃどーも」
「だが次の使者はお前じゃなく日向ヒナタにしてくれ」
「…俺じゃあ、力不足でしたかねぇ?」
「いいや、十分過ぎる。だからこそ日向ヒナタにしてくれ」
「(あぁ、嫉妬ね)そりゃあまぁ『火影様』が決めることなんでね」
「…そうだったな」
「(昨日のことといい、コイツもすっげぇ『人間らしく』なってきたよなぁ…)」



「はい、いらっしゃ…おやまぁ、風影様じゃないですか!うちにご用で?」
「…歩いていたらそれが見えてな」
「あぁ!ちょうど一昨日入ってきたものなんですよ」
「…それをくれ」
「え!?…ユナ様にですか…?」
「あぁ」
「(いるかな、これ…)じゃあ贈り物用に包みますね」
「頼む」




「ど、どうしたの!?」


夕方、そろそろ夕飯食べてお風呂にでも入ろうかなぁ、って時。
玄関が開いた音がして行ってみたら、我愛羅が立っていた。


「…今日からテマリの計らいで、早く帰れることになった」


こんな時間に我愛羅がここにいるなんてこと、今の今までなかったから、驚きを隠せなかったが、その言葉を聞いて、昨日のテマリ義姉さんを思い出した。
…本当にいろいろとしてくれたんだ…。
後で改めてお礼にいかなければ、と思った。


「ユナ、これを」
「え?」


昨日のこともあるし、何か手土産を持参して、なんて考えていたら、我愛羅が持っていたやたら大きい袋を私の前に差し出して来た。


「…何?これ…」
「誕生日プレゼントがまだだったと思ってな…」
「…これ、開けていい?」
「あぁ」


我愛羅の言葉に、胸を高鳴らせて袋を開けたら、


「帰る途中、見つけた」


我愛羅のくまのぬいぐるみと負けず劣らずな大きさのうさぎのぬいぐるみが出てきた。


「昨夜、どこに行ったのかわからなくなったと言っていたし…」


そのうさぎは右耳に可愛いリボンをつけてるところを見ると、女の子のうさぎなんだろう。


「…」


真っ白い、シミ1つついていないふわふわのうさぎのぬいぐるみ。


「…すまない」
「え?」


咄嗟に言葉が出てこず黙り込んでいた私に、すごく申し訳なさそうな声が響いた。


「誰かの誕生日に何かを贈ることなど今まで1度もなかったから気に入らないかもしれない」


そう言った我愛羅を見ると、軽く目を伏せどこか…不安そうな顔をしていた。


「…」


この人はどんな顔してこれを買ったんだろうか…。


「…ありがとう」
「え?」


それを思うとすごく嬉しくなった。


「すっごく嬉しい!」
「…そうか」


私の言葉に我愛羅がホッとした顔をしたのがわかった。

.

prev next


bkm

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -