NARUTO


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ゆびきり


2


「それにしても、我愛羅も言う時は言うじゃん?」
「…何の話だ、カンクロウ?」
「何のじゃないって!なぁ?テマリ」
「あぁ…。まさか我愛羅が人前であんな求婚するなんて思ってなかった」
「…求婚?誰に?」
「え?だ、誰に、って、ユナに言ったじゃん?」
「オレが?いつ?」
「いつ!?いつって、里に帰る前、木の葉の忍と別れを惜しんでる時にユナに向かって、」
「………求婚した覚えはないが?」
「いやだってアレは、」
「あの言葉にそんな意味は篭めていない」
「ソ、ソレはマズいじゃん…?」
「何がだ?」
「え!?何がって、だってあんな場所で、」
「ユナもそのつもりで返事をしたわけではないと思うぞ」
「そのつもりがないって…テマリ!」
「…マズいぞ、我愛羅」
「何がだ?」
「うちのくノ一ならまだしも、風影のお前が他里のくノ一、それもあんな大勢が聞いていた中で言ったあの言葉に『そのつもりがなかった』なんて、もしユナがそのつもりになっていたら火影がなんて言うか…」
「…ユナもそのつもりはないと、」
「それは我愛羅がそう思ってるだけで、実際はユナに聞いてみないとわからないじゃないか!」
「…それはそうだが、」
「テマリ、どうする?」
「…………木の葉の出方を待つ」
「まぁ…それが無難じゃん?」
「お前たちが言うような事態にはならないと思うが」
「いいからこれに関して我愛羅は黙っててくれ!下手したら木の葉からうちの信用がなくなりかねないんだぞ!」
「…まぁ、好きにしろ」




「我愛羅に求婚されたって?」


それから半日もしないうちに、5代目火影綱手様から呼び出しがかかった。
その呼び出しに対応すべく綱手様のところに行くと、どこか楽しそうとも取れる顔をしながら私に聞いてきた。


「私はそういう風には受け止めなかったんですが、シカマルがそうだって言い張り綱手様の耳にまで入ることになってしまって、私自身戸惑いを隠せません」


綱手様に嘘を言ってもどうにもならないので、今の本心を掻い摘んで話したわけだけど、


「シカマルだけじゃない。うちのくノ一が風影から求婚されたようだと至るところから報告が着てる」


実に良い笑顔で綱手様は言った。


「…シカマルにも言いましたが、」
「うん?」
「風影様の性格からして、あの言葉にそういう意味は篭められていないと思うんですが、」
「それはお前が思うだけで本当のところは我愛羅にしかわからないだろう?」
「…それはまぁ…、そうですけど、」


確かに結局のところは風影様にしかわからない…。


「それより、だ」
「はい?」
「ユナ。お前はどうしたい?」
「え…?」


俯き始めた私は、綱手様のその言葉に、再び顔をあげた。


「これがシカマルたちの言う通り我愛羅の求婚だったとしたら、お前はどうしたいんだ?」


綱手様は真っ直ぐに私を見据え聞いてきた。


「…わ、たし、は…、」




「我愛羅!火影からお前宛に手紙が着てる!」
「ほんとかカンクロウ!?内容は!?」
「え!?い、いや、我愛羅宛だし俺が先に見るわけないじゃん…」
「我愛羅、内容は!?」
「……………まぁ…、要約するに式はいつにするのかと言う内容だな」
「だから言っただろう!?我愛羅の意思がどうであれ、あの言葉はそういう風に受け止められるんだっ!」
「テマリ、どうするつもりじゃん!?」
「どうするも何も砂隠れの長である風影が妻を娶るんだ!それ相応の準備をしないと里の者にも木の葉の者にも示しがつかないだろう!」
「テマリ」
「なんだ!?」
「これはユナの意思か?」
「そんなことはどうでもいいことだっ!」
「ど、どうでもいいことないんじゃ、」
「カンクロウは黙ってろ!いいか、我愛羅よく聞け。公衆の面前で風影であるお前が他里のくノ一に求婚と取れる言葉を口にし、そのくノ一は了承と取れる言葉を口にした。その後でお互いにそのつもりはなかったなど言ってもそれを聞いていた奴らが納得するわけがないだろう!現に火影がその意思表示をしてきてる。そうなった以上たかが中忍のくノ一の意思がどうであれ関係ない。お前の言葉は求婚でユナはそれに了承した。今さらうちからアレは誤解だと言えば風影自身はもちろん木の葉からの信用問題に関わる。木の葉からも誤解だなど言ってくるわけがない。他里の『影』からの求婚を1度でも了承しかつ自里の『影』にそれを承諾されたくノ一がそれを取り消すことなんてできるわけがないからな。双方の面子を保つためにも、お前たちはそう遠くない日に結婚する。わかったな?カンクロウ!こうしちゃいられない、上役を集めろ!」
「(オレは、)」
「風影が妻を娶る。その話し合いだ」
「(本当にそんなつもりはなかったんだが…)」




ーお前はどうしたいんだ?ー


遠くに見上げた火影岩が月明かりに照らされていた。

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bkm

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