NARUTO


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ゆびきり


25


「…この道は、結婚が決まってしばらくした時にナルトと通った道だ」


少し後ろを歩いていた私に気づいたのか、我愛羅は歩調をやや遅くしそう話しかけてきた。


「その日、木の葉の使者として珍しくナルトがやってきた」


我愛羅は私を見ることなく、前を向いて歩きながら話を続けた。


「ナルトが砂隠れの美味い飯を食わせろと言ってきたから、夜2人で出かけた」


私の隣に来て淡々と話す我愛羅の顔を時折盗み見るように見ながら聞いていた。


「そこでナルトに聞かれた。結婚すると言うが大丈夫なのか、と」


それに気づいているのかいないのかわからないけど、真っ直ぐ前を向いたまま我愛羅は話し続けた。


「オレはなんとかなるだろう、と言ったがその返事を聞いたナルトは怒りながら、なんとかなるならないではなく、ユナのことが好きなのかどうかの問題だろうと言ってきた」
「…」
「だからオレは好きか嫌いかで言うのであれば間違いなく好きの部類だと答えた」
「…それは、」


その答え方は、と言いそうになったところで、我愛羅は気づいたのか、待てとでも言うかのように手で私を制止した。


「そう言ったらナルトに呆れられた。今まで好きな女はいなかったのか、と問われ逆に、最近になってようやくナルトのような友や、姉、兄を思う気持ちがわかってきたオレに好きな女がいたとでも思ったかと聞き返した」


私が話を遮らないと判断したらしい我愛羅はそのまま続けた。


「ナルトはしばらく考えた後で例え話を持ち出してきた」
「…例え話?」
「あぁ。…オレがあの日言葉を交わした相手がユナではなく、春野サクラだったとしても結婚したか?と聞いてきた」


そこまで言うと我愛羅は1つ息を吐いた。


「今こうしてユナとしているようなことをユナではなく春野サクラとするということを考えてみたが全く想像がつかなかった。そもそも考えることすら馬鹿馬鹿しいと思い、そのままナルトに伝えた」
「ナルトはなんて?」
「別に何も」
「え?」
「そうか、とだけ言ってその話は終わった」


我愛羅が言い終わったところで、我が家が見えてきた。


「後になってナルトのその話を思い出しもう1度考えてみても、やはり春野サクラでは考えられなかった。だがそれは春野サクラがどうこうではなく…、お前以外の女とどうこうなると言うのが想像つかなかった」
「…そ、れは、」
「それはつまり、オレは初めからユナ以外の女を娶る気がなかったと言うことだし、そもそもお前以外の女を抱くと言う想像が、」
「そこはもういいから!」


思わず大きな声で制止した私を、我愛羅は少し驚いた顔で見た。


「ほ、ほら…、そこらへんは、さっき聞いた、し?」


1度は冷めたはずの体温が、また一気にあがった気がした。
…そう何度も私以外抱く気がないだの、抱くつもりがないだのと言われても対応に困ると言うか、でもその言葉自体は嬉しいような気もするし…。
ただはっきりわかるのは、それ以上恥ずかしいこと言わないで、と言うことだった。
我愛羅はそうだったな、と呟き家の鍵を開けた。
あぁ、もう顔の熱が取れない!なんて思い、手で顔をパタパタと仰ぎながら家の中に入って行った。


「ユナ」
「うん?」


顔の熱が早く収まれと、手のひらで頬を触っていた時、


「オレの部屋に来ないか?」


我愛羅から声をかけられた。

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bkm

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