■ 17
我愛羅ボイコットを始めて1週間が経った時、
「お!いたいた!」
それでも冷めた朝食だけは提供している私は、我愛羅に会わないようにコソコソと食材を仕入れに外出していた。
「よ!ユナ、久しぶり」
「…シカマル…」
その途中で、結婚式の翌日木の葉に帰って行ったシカマルに出会った。
「元気だったか?」
「…シカマルー!!」
「のわぁ!?」
心のどこかで、あの家でだけは泣くものかと思っていたような部分があった私は、懐かしい顔を見た瞬間ブワッと溢れ出るものを感じて思わずシカマルにタックルするように抱きついていた(その行動にシカマルは半歩身を引いた)
「…うちの弟の嫁に何手出してんだ?」
「違うだろっ!!あんた今のちゃんと見てたか!?」
「…」
「その扇子しまえって!!」
「人妻に手出してんじゃないよ、さっさと離れな」
「ち、ちょっと待ってくれ!おい!!ユナ!!離れろっ!!」
「…」
「あ?何言ってっか聞こえな」
「もうっ、木の葉に帰りたいっ…!」
抱きつく私の頭を抑えて離れようとしていたシカマルは、その言葉を聞いた瞬間、その手を止めた。
「…ユナ、何かあったのか?」
シカマルの隣から聞こえた声に、そちらを向くと、
「…テマリ義姉さん…!」
「!?」
テマリ義姉さんが立っていた。
「(我愛羅が結婚してから任務続きでユナと会って話してる時間もなかったが、考えてみたらそうだよな。弟の嫁なんだからユナからしたら私は義姉だ。…けどうちの2人いる男どもから『姉さん』など呼ばれたことがないから妙にむずかゆい…)」
「ユナ、私で良かったら話を聞く。でもここじゃなんだから人目のつかないところに行こう」
テマリ義姉さんの言葉に泣きながら首を縦に振った。
「…それでなんでお前も着いてくるんだよ?」
「は!?ここでお別れしろってのか?そりゃねぇだろ!俺はまぁ…友人代表で話聞いてやろうかと思って、」
「じゃあお前、役に立てよ?」
「え?」
テマリ義姉さんに促されるまま、砂隠れの里では珍しいらしい個室完備の甘味処の暖簾を潜った。
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bkm