NARUTO


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ゆびきり


16


あまりにも自分が惨めに思えてきて、「勿体無い」などと思う心のゆとりもなく食卓に並んでいたもの全てをゴミ箱に捨て、自分の部屋に閉じこもった。
惨めな考えにしか向かわない自分に嫌気がさして、頭から布団を被ったものの、眠りついたのは外がほんのりと明るくなってきた頃だった。


「…ん…」


だからなのか、ここに来て初めて、我愛羅に朝ご飯を作ることなく、昼近くまで寝ていた。
モソモソと布団から起き上がり1階に行くと、昨晩飲み過ぎて食べれなかったのか、昨日私が使い、洗わず放置していた食器が置いてあるだけで、我愛羅が何かを食べて出て行った痕跡はなかった。


「…」


なんだか全てが馬鹿馬鹿しく感じて、全てがどうでもよくなったような気がした。
その日の夜のうちに翌朝分のご飯の支度をして、眠りについた。
翌朝目が覚めたのは、部屋の扉のノック音でだった。


「ユナ、行って来る」


その言葉に返事をすることもなく、頭から布団を被った。
その日の夜も、前日同様に翌朝の分のご飯の支度をして部屋に篭った。
ウトウトとし始めた日付が変わる直前、再びノック音が響いた。


「ユナ、起きているか?」


時計を見たらまだ「今日」だ。
それは本当に珍しいことだ。
この人がその日のうちに帰ってくるなんて、ここに来てから本当に数えるほどしかない。


「いるんだろう?」


でも今の私には全てがどうでもよかった。


「話がしたい。開けていいか?」


ドンッ!!


我愛羅にそう言われた瞬間、近くにあった本を部屋の扉目掛けて思い切り投げつけていた。


「……話したくなったら呼んでくれ」


少しの沈黙の後、我愛羅はそれだけ言うと、自分の部屋に戻ったようだった。




「我愛羅、この書類間違えてるじゃん?」
「どこがだ?」
「ほら、ここの数字が、」
「…あぁ、すまない。書き直す」
「………ここ数日こういうミス多いけど何かあったのか?」
「…」
「水臭ぇな。兄弟なんだから悩みあったら聞くから何でも言えばいいじゃん」
「…お前に話しても何の解決にもならない」
「(兄に向かってその言葉傷つくじゃん…)でもほら、聞いてみないとわかんねぇだろ?」
「………」
「我愛羅、」
「……ユナが、」
「え?」
「…ユナが口を聞いてくれない」
「………あぁ、うん。それは本当に俺に言っても何も解決しないじゃん…」
「…」
「でもほら、夫婦のことは夫婦にしかわかんねぇって言うし、よく話し合えば、」
「ただ口を聞いてくれないだけじゃない」
「うん?」
「……オレが家にいる時はずっと部屋に閉じこもって、もう5日、まともに顔を見ていない」
「それどっか悪くて寝てるとか」
「それはない」
「なんで言い切れるんだよ?」
「朝晩確認してる」
「確認?てまさかお前砂の目で、」
「…」
「…我愛羅、それは…」
「部屋の中で倒れられてるよりはマシだろう!?」
「(俺の弟は実は律儀生真面目な奴なんだと思ってたが、最近そこに変態が加算されそうで怖いじゃん…)」




私がすることの全てが馬鹿馬鹿しく感じて、全てがどうでもよくなっていた。

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bkm

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