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変態に恋、されてしまいました


盗撮が犯罪って知ってますか?


「おはよー」
「あ、く、工藤さん!」
「え?」
「お、おはよ、名前ちゃん!今日早いね!」
「え?そう?いつも通りじゃない?」
「あ!あー!ほんとだ!もうこんな時間!席つかなきゃね!」
「え?なになに?」
「ううん、なんでもない!さー今日も授業頑張るぞー!」


いつも通り学校に行ったら、みんなが何故かそわそわしてた…。
いつもなら「名前おはよー!」とか尻尾振りながら飛びついてくる快斗も、何やら自分の席で真剣に考え事をしているようだった。


「ね、ねぇあーちゃん、ほんとに何かあったの?」
「ないない!名前ちゃんの気のせい気のせい!」
「で、でもさぁ。快斗くんもなんか変?」
「あ!さてはついに快斗に」
「それはナイ!」


クラスのみんなは概ね快斗の味方で。
快斗が私に人目を憚らず口説いてくるようになってから、みんな敵のようになっているけど、でもこんな風に「隠し事」があるようなそぶりは今まで見せたことなかった。
それは青子を筆頭に。
いつも真っ直ぐぶつかってくる子たちなのに、今日は快斗や青子だけじゃなく、みんな変。


「ねぇ、あーちゃん」
「なにー?」
「何隠してるの?」
「え!?」
「みんなで私に何か隠してるでしょ?」
「そ、そんなことないよ?」
「嘘!私そこまでバカじゃないよ!みんななんかよそよそしいし、あーちゃんも…快斗くんも、なんか、変」
「う、う〜ん…」


青子、困ってます!!
っていう表情を全面に出しながら唸るものの、ほんとのことは言おうとしない。


「…教えてくれないならいい」
「名前ちゃん…。でもね、これはきっと」
「黒羽っ!!犯人わかったぞ!!」


一際大きいその声に、クラス中が入り口に視線を向けた気がした。


「どこのどいつだっ!?」
「2年の写真部の奴らだってよ!今教室にいるって」
「オメー顔知ってるか!?」
「ああ、見ればわかる」
「案内しろっ!」


がたがたと、勢いよく教室を飛び出して行った快斗。
その勢いがすでにただ事じゃなかった。


「な、なになに?何があったの?」
「…名前ちゃん、青子たちも行こう!」
「え?」
「大丈夫!何かあっても青子がぎったんぎったんにしてあげるから!」
「え?え?」


青子に半ば強引に引きずられて2年の教室前廊下に来ると、きっとたぶん、快斗たちがいるのであろう教室前は人だかりが出来ていた。


「ふっざけんじゃねー!!買ったヤツの名前全員言え!!俺がまとめてぶっ飛ばしてやるっ!!」


そう叫んでいるのは、間違いなく快斗で。
何がなんだかわからない私は、青子のセーラーの裾を掴んで事の成り行きを伺った。


「ネガだけじゃ気がすまねー。カメラごとぶっ壊す!今すぐ出せ!」
「た、ただのシャレだろ!?そんな熱くなるなよ!」
「ふざけんじゃねーよ!!何がシャレだ!撮られた方の身になりやがれっ!!!」


…話の流れから、快斗に怒られてる2年生は、誰かの写真を撮ったらしく、それに快斗がぶち切れているようだった。


「あーちゃん、誰の話してるの…?」
「…これ、昨日の放課後うちのクラスの加藤くんが見つけたって」
「…え、ええっ!?なにこれー!!??」


青子から渡された3枚の写真にはそれぞれ、制服、体操服、そしていつの時かわからない私服姿の私が写っていた。


「…名前ちゃんの写真、高く売れるんだって。昨日加藤くんがそれ見つけて、快斗に連絡してそれで今日みんなで犯人探そうって。…自分の知らないところで隠し撮りされた写真が出回ってるって知ったらいい気しないでしょ?だから青子がみんなにお願いして名前ちゃんには黙っててもらったの」
「そう、なんだ…」


こんな事態になってるなんて、考えもしなかった!
だって、隠し撮りされるようなことなんて、前の世界じゃなかったから!!


「じゃあ、快斗くん、私のために怒ってくれてるんだ…」
「…うん。買った人間も1人残らず見つけるから協力してくれって快斗がみんなに頭下げてきたの」
「…そう」


この写真のために、あんなに怒ってくれてるんだ…。


「いいか、この際だからはっきり言っておく!俺に無断で名前の写真を撮るんじゃねーよっ!!」


うん?


「名前の写真を撮りたきゃ俺に話しを通せ!わかったか!?」
「いやいやいやいや!ちょっと何言ってるの!!」
「…名前なんでここに、て、青子オメーかよ!連れてくんじゃねーよ!」
「だって名前ちゃんみんながよそよそしいって気にしてたし…」
「だからってこんな知らなくていいことわざわざ教えなくていーだろ!?」
「待って、私を置いて話を進めないで!」
「安心しろ名前!例え俺に頼み込んできたとしても俺は許可なんかしない」
「いやだからなんで快斗くんに話通すの?」
「ダイジョーブ!オメーは俺が守ってやっから!」
「え?」
「俺以外で名前を隠し撮りしようなんて輩はぎったんぎったんにしてやるっ!!おら、買ったヤツの名前全員吐けっ!!」


おかしい。
明らかに後半がおかしい。
何かがズレてる。
それはわかってる。
でも、


−オメーは俺が守ってやっから−


そんなこと言われた経験のない私は、


「なんか嬉しい自分が嫌…」


芽生え始めた感情に戸惑うばっかりだ。





「…おい、聞いたか今の?」
「聞いた!ついに工藤さんが洗脳されはじめた!」
「黒羽の猛攻が始まってから10日か…。意外と時間かかってるな…」
「これはもう一度オッズを決めなおして仕切りなおしが必要じゃね?」
「よし、みんなに声かけろ!もう1度工藤名前でトトカルチョだ!!」



U盗撮が犯罪って知ってますか?

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bkm

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