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女王様な彼女の台詞


理由?そんなものないよ


「キミ何飲むの?」
「え?コーヒーだけど?」
「そう。じゃあ私煎茶ね」
「…俺コーヒー飲むんだけど」
「そう。煎茶よろしく」
「…」


工藤家での役割分担もだいぶ出来上がってきた。
立ったついでに工藤くんを使うという役割も、工藤くんはしっかりこなしてくれる。


「どーぞ、煎茶です」
「ありがと」


なかなか優秀な執事を手に入れた気分だ。


「なんか俺最近、女王様と同居してる気分なんだけど」
「そう?私執事と同居してる気分だわ」
「…」
「…」
「…名前さんて、」
「なに?」
「その性格でよく今まで生きてこれたよな」
「キミほど裏表ないもの」
「いや、俺は確かに裏表あるかもしれねぇけど、そんなに横柄じゃねぇし」
「え?何か言った?」
「横柄って言ったんだよっ」
「え?キミが?自分のことよくわかってるじゃん」
「…オメーにだけは言われたくねぇ台詞なんだけど」


うっすらそんな気がしていたけど、工藤くんは弄るとかなりおもしろい。
この子たぶん、普段は王子面してるせいであんまり弄られなれてないんだな。
こう言っちゃなんだが、すごい弄り甲斐のある子だ。


「あ、俺今日出かけます」
「へぇ、そう」
「…はい、そうです」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…何?」
「…普通どこに行くとか聞かねぇか?」
「興味ないし」
「…あーそうですか」


事件現場だとあんなにきびきびしてて大人の男を前面に出してるのに、なんでこう普段は少年に戻るんだ。
わかりやすい反面…ぶっちゃけ面倒な部分だ。


「で?」
「え?」
「どこ行くの?」
「…興味ねーんじゃなかったのかよ」
「興味ないけど聞いてほしそうだったから」
「…別に聞いてほしいわけじゃねーし」
「そう?じゃあ聞かない」
「…」


だったらそんな拗ねたような顔しなければいいのに。
この子って、普段はすんごい躾の行き届いた血統書つきの忠犬だけど、たまに雑種のようないじけ方をする。
これだから年下は困る。


「で?」
「あ?」
「ほんとはどこに行くの?」
「…聞かねぇんじゃなかったのかよ!」
「だってキミが拗ねるから」
「拗ねてねーしっ!」
「そう?じゃあ聞かなくていいのね?」
「…」


工藤くんがいらいらしながらコーヒーを飲んでる。
そういうところが、ほんとまだまだ。


「聞いてほしい?」
「遊ぶんじゃねーよっ!!」
「いやだってキミで遊ぶとおもしろいし」
「ふざけんじゃねー!」
「うん、いたって真剣に遊ぶとおもしろいと思ってる」
「テ、テメー…」


工藤くんが拳を握り締めながらプルプルしてる。
私の言葉1つでここまで反応してくれるから、ほんと弄り甲斐のある子だ。


「だいたい、」
「うん?」
「俺で遊んで楽しいわけ?」
「うん、すごく」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…んで、」
「え?」
「なんで俺で遊ぶんだよっ!」
「え、なんとなく暇つぶしにちょうどいいから?」
「…オメーってやつはっ!!」


今日も工藤家には、工藤くんの苦悩の雄叫びがこだまする。



W理由?そんなものないよ

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bkm

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