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女王様な彼女の台詞


私自身がルールだけど


「名前さん…」
「んー?」
「何時間風呂に入ってんだよ」
「え?…2時間?」
「さらっと言ってんじゃねーよっ!!」


工藤家のジャグジー(テレビつき)が病みつきになリ、すっかり長風呂が習慣化したこの頃。
時にお湯たっぷりでジャグジーを。
時にお湯すくな目でテレビ見ながら半身浴を。
なんてセレブな毎日だ。
なんて思っていたら、工藤くんに何時間入ってるかって聞かれた。
だから2時間だって言ってんのに、なんで怒る。


「オメーなぁ、共同生活してんだからそんな長風呂すんなよ」
「何、キミも入りたかったの?」
「いや、俺は開いてる時間に入るからいーんだけど。そうじゃなくてだな、普通に心配になんだろ?」
「何が?」
「何がじゃねーよ!あんまり長ぇこと出てこねーと浮いてんじゃねーかって気になんだろ!」
「…覗くだけならタダだって言ったじゃない」
「覗かねーって言ってんだろーがっ!!」
「興奮するな、少年」


そうそう浮いてたまるか。


「だいたい、そんな心配ならそのインターホン使えばいいでしょ」
「え?」
「それ。お風呂に繋がってるんでしょ?そこから声かければいいじゃない」
「…え、これそういう使い方すんのか?」
「…はぁ?キミそれなんだと思ってたの?」
「いや、使ったことねーし、なんのためについてんのかと思った」
「…キミ実は貰われっ子なんじゃないの?」
「失礼なこと言うんじゃねーよ」


自分ちにある機能をわかってなかったなんて!
ジャグジーといい、なんでこの子にこんな宝の持ち腐れを預けたんだ、工藤先生。


「名前さん、これどうやって使うの?」
「は?キミ機械弱いの?」
「いや、念のため」
「んー…。あ、ほら。ここをこうして、これで浴室に繋がるんじゃない?」
「ほんとかよ」
「じゃあキミ試しに浴室行って」
「はぁ?なんで俺が」
「キミが試したいって言ったんでしょ」
「…言ってねぇし」
「ほら、早く行きな」
「…はいはい」


奥の方でパタン、と音がしたから恐らく工藤くんが浴室に着いたんだろう。
じゃあ、これを押して、と。


「はい」
「ほら、繋がったでしょ?」
「なるほど。今度からこれ使います」
「そーして」


それにしても、浴室内線がテレビ電話…。
まぁ実際に入ってたら湯気やらで見えないだろうけど、これは少年大興奮だな。
…黙ってよう、おもしろそうだ。


「じゃ、私お風呂に入ってくるから」
「どうぞ」


ああ、今日もジャグジーが気持ちいい。
こんな日はアンパンマンか?


ピピピピピ


あの男さっそく内線使ったな。
…入ってから1時間、てとこか。
ま、妥当なところだ。


「はい?」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫」
「…あれ?」
「何?」
「…なん、か、あれ?」
「…どうした?」
「いや、なんかディスプレイ画面が白くなって」
「ああ、それ湯気」
「へぇー、湯気」
「うん」
「…はっ!!?」


お、意外に早かったな。


「ゆ、湯気って!?」
「ほら、これで見えるでしょ?」
「んなっ!!?」
「あ、タオル巻いてるから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃねーだろ!!」
「なに、タオル取った方がいい?」
「取るんじゃねーよっ!もう切るぞ!?」


あーあー。
電話越しのタオル姿くらいで興奮しちゃって。
あの子ほんとこれから彼女できんのかね。


ピピピピピ


「…なに?」
「もう結構経ったけど逆上せてねー?」
「大丈夫だけど、キミ、」
「はい?」
「ディスプレイ部分、手で押さえてるね?」
「…悪ぃかよ」
「別に覗くだけならいいって言ってるのに」
「覗かねーって言ってんだろ!逆上せる前に早くあがれよ!」


あの子は私の父ちゃんか?
なんだってあんな口うるさいんだ。
これじゃゆっくりジャグジーを満喫した気分になれないじゃないか。


ピピピピピ


「キミもうかけて来るな!」
「はぁ?人が心配して」
「風呂に入った気がしないんだよ!内線は1日1回!それ以上かけてくるな!!」
「はぁ!?何勝手に決めてんだよ!」
「私の脳内で話し合って決めた。勝手にじゃない」
「それを勝手にって言うんだろーがっ!!」
「とにかく2回目以降はもう出ないから」
「あ、おい、ちょ、待っ」


ああ、これでゆっくりジャグジーを満喫できる。
やっぱり将来住むならジャグジーつき1軒家がいい。
…買えそうな男を捜そう。


V私自身がルールだけど

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bkm

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